おすすめ塗料や注意点とは?外壁サイディング塗装の基礎知識を全て解説!

外壁サイディングのメンテナンス方法として、表面の塗装があります。サイディングがどんな状態になったら塗装すべきか?塗料にはどんな種類があるか?などサイディング塗装の基礎知識をしっかり解説していきます。

まずはサイディングボードの基礎知識を知ろう!

最近の新築住宅に最も使われている外壁材はサイディングボードです。まずはこのサイディングボードの基礎知識について見ていきましょう。素材別に耐用年数が異なりますので、メンテナンス時期に来たら適切に塗装を行いましょう。

サイディングボードは素材別に4種類

サイディングボートには素材別に4種類に分けられます。それぞれに使用されている材質や特徴は以下の通りです。

サイディングの種類特徴
金属系サイディングガルバリウムやアルミ、ステンレスに塗装した表面材に、
断熱材を裏打ちした構造。
耐久性や耐凍害性が高く手入れしやすいが価格が高め。
窯業系サイディングセメント質80%と繊維質20%を混ぜて板状に成形。
自然な風合いが魅力でデザイン性が高い。
木質系サイディング天然木に専用塗料を塗った外壁材で風合いが良い。
価格が高めで水に弱いためこまめなメンテナンスが必要。
樹脂系サイディング塩化ビニール製で劣化や変色に強い。
軽くて施工しやすいが取り扱い業者が少なく普及していない。

サイディングボードの耐用年数について

サイディングボードは上に示した素材別に、耐用年数やメンテナンス周期が異なります。自分の家に使われているサイディングの種類を確認して、適切な時期でのメンテナンスや張り替えリフォームをおすすめします。

サイディングの種類メンテナンス周期耐用年数
金属系サイディング10~15年15年
窯業系サイディング7~10年10年
木質系サイディング7~10年10年
樹脂系サイディング10~20年30年

サイディングボードの外壁構造は二種類

サイディングボードを外壁に張りつける工法は二種類。この工法によって通気性などが異なってきますので、同じ材質のサイディングボードを使っていてもメンテナンス周期が異なる場合があります。

工法の種類施工方法や特徴
通気工法外壁下地に防水シートを張った上に、通気用の胴縁を取り付ける。
胴縁には取付金具「ハットジョイナー」を設置してボードを張る。
防水シートとボードの間には胴縁の高さ分の隙間(通気層)ができる。
これにより壁内の湿気を外へ放出することができる。
直張り工法胴縁を取り付けずに、防水シートの上に直接ボードを張りつける。
通気層が全くないため、内部に湿気がこもりやすく劣化の原因となる。

サイディングボードは上記の工法で壁に張りつけた後、ボードのつなぎ目部分にシーリング材を充填します。これは伸縮性のあるゴム状のもので、つなぎ目部分から雨水が中にしみこむのを防ぐ役割があります。

このシーリング材も経年と共にへたったり、ひび割れや剥がれが生じます。そのためできればサイディング塗装と同時期に、シーリングを打ち換えすることをおすすめします。

工事の前に知ってほしい!サイディング塗装の基礎とは?

サイディングについての基本が分かったところで、今度は塗装に使う塗料の基礎を解説していきます。どんな時に塗装が必要か、塗料にはどんな種類があるのかをよく知って適切に選びましょう。

こんな時に塗装が必要!サイディングの劣化症状

長年外壁として風雨などから家を守ってきたサイディングには、年月とともに様々な劣化症状が現れてきます。このサイディングからのサインを見逃さずに、適切な時期に適切なメンテナンスを行いましょう。

劣化症状詳細
つやが無く変色している新品の輝きやつやがなくなり、色褪せた感じがする。
表面の塗膜が剥がれている恐れがあるため塗装を考える時期。
チョーキング現象手で表面をこすると白いチョークのような粉が付く現象。
防水効果がなくなったサインで、塗装のいいタイミング。
はがれ・ひび割れ塗装に剥がれやひび割れがある外壁は雨水が侵入する恐れが。
場合によっては塗装以上の処置が必要になるため早めに対応。
コケ・カビ・藻が発生雨や湿気の多い地域では、コケやカビが発生することも。
撥水効果の高い塗料を選んで塗装するのがおすすめ。
サビの発生主に金属系サイディングで起こる現象。
潮風や酸性雨、傷などによって表面の金属がサビてしまう。
腐食してしまう場合もあるためなるべく早く対応する。

外壁サイディングに上記以外の症状が現れたら、塗装ではないリフォームが必要になることも。至急専門業者に見てもらって、適切な処置を施しましょう。

サイディング塗装におすすめの塗料

次にサイディング塗装におすすめの塗料について見ていきましょう。今はサイディングに合う塗料も様々な種類や機能を持っています。サイディングの材質によって異なる短所をカバーできる塗料を選びましょう。

下の表は一般的な外壁塗装に使われている合成樹脂を原料とした塗料です。合成樹脂塗料は耐用年数の長さが塗料の価格に比例します。

塗料の種類特徴耐用年数費用相場
(1缶当たり)
アクリル低価格だが耐用年数が短め
定期的な塗り替えが必要
4~7年1,500円前後
ウレタン防水性や耐候性に優れている
耐用年数は10年ほどだが総合的に○
6~10年1,700円~
 2,200円
シリコン種類が多い・風雨に強い・耐久年数が長め
コスパが良い塗料で外壁塗装に最も使われる
8~15年2,200円~
 3,000円
フッ素防汚性があり光沢感により外観を保てる
高価だが耐用年数が長め
12~18年3,800円~
 5,000円

上記の塗料以外にも高機能な塗料が販売されています。価格は合成樹脂塗料に比べて高めですが、汚れが付きにくい機能や遮熱効果のある塗料は外壁リフォームにおすすめです。

塗料の種類特徴耐用年数費用相場
(1缶当たり)
光触媒塗料セルフクリーニング機能を持ち耐用年数が長め
塗りムラがあると効果を発揮しない
15~20年4,000円~
 5,000円
無機塗料セラミックやケイ素を主成分にした塗料
半永久的な耐久性や防汚性を持ち、カビの発生を抑える
20~25年4,500円~
 6,000円
遮熱塗料紫外線を反射することで室温の上昇を抑える
節電や建材の劣化に効果があるが費用がかかる
15~20年5,000円~
 5,500円

サイディング塗装に使う塗料の種類が決まったところで、次は塗料の持つ機能について見ていきましょう。この機能は選ぶ塗料によって複数持っている場合もあります。

自分の家の外壁にふさわしい機能の塗料を選んで、適切にメンテナンスをしたりメンテナンス周期をなるべく長くするようにしましょう。

機能付き塗料特徴
高耐候塗料無機ハイブリッドアクリルや無機配合型フッ素を使用。
初期費用がかかるが耐用年数が20年程度と長くコスパが良い。
防水塗料外壁のひび割れ箇所に塗ると雨水の侵入を予防する。
低汚染塗料外壁の汚れを雨水などで洗い流す機能がある。
親水性の高い塗膜が外壁と汚れの間に入り込んで塗りたての美しさを保つ。
防カビ塗料塗っておくだけでカビの発生を予防する機能。
多彩模様塗料塗ると立体感のある模様を付けられる。
個性的で意匠性の高い外壁にしたい時におすすめ。

サイディング塗装に必要な道具や工法とは

サイディング塗装にはどのような道具を使い、どんな施工方法があるかご存知ですか?リフォームが適切に施工されているかチェックする上でも覚えておきましょう。

サイディング塗装にはこんな道具を使う

サイディングの塗装には下記のような道具を使用します。ただし業者や施工法によってこれらの道具の種類は変わることがあります。

  • 塗料(下塗り材)
  • 塗料(中・上塗り材)
  • 足場(平均的な二階建てに使用)
  • マスカー(巻長さ25m)
  • シーリング材
  • コーキング材
  • 刷毛
  • ローラー

サイディング塗装の手順や工法をご紹介

サイディング塗装はおおむね下記のような手順で進んでいきます。二階以上の住宅であれば、家の周囲に足場を組んで作業を行います。

  1. 足場工事や養生工事を行う
  2. 表面の汚れやごみを高圧洗浄で落とす
  3. やすりや電動工具で古い塗膜を剥がす
  4. 外壁のひび割れをコーキング材で補修
  5. 塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本
  6. 点検、足場解体

サイディングに塗装する場合の工法は二種類。最近では下段の多彩工法による施工も増えてきました。

塗装工法詳細
手塗り工法ローラーや刷毛を使って手で塗装する方法
多彩工法複数の色を使ったり凹凸により立体感を出す工法

サイディング塗装の費用相場や日数

実際にサイディング塗装にはどの位の費用や日数がかかるのでしょうか?外壁の劣化具合や面積によって大きく異なりますが、今回は一般的な二階建て(建坪30坪)の住宅を例に見ていきましょう。

サイディング塗装の費用相場は?

先にご紹介した通り使用する塗料の種類や機能によって費用相場は変動します。次に塗り替えが必要になる時間の長さが費用に比例すると考えて、適切な塗料を選びましょう。

塗料の種類アクリルウレタンシリコンフッ素
費用相場180,000円~250,000円~300,000円~500,000円~

次に施工にかかる費用を見ていきましょう。

工事内容単価
足場工事600~800円/㎡
飛散防止ネット100~200円/㎡
高圧洗浄100~300円/㎡
養生費250~400円/㎡
付帯塗装工事650~1,200円/㎡
シーリング工事600~1,200円/m
廃材処分費30,000~50,000円
現場管理費30,000~50,000円

建坪30坪の戸建て住宅の工事費用相場は平均すると70万~100万ほどかかります。これに塗料代と人件費を足せばトータルの費用相場となります。

サイディング塗装の費用相場=塗料代+工事費用

つまり全体で90万~150万ほどを見ておけば大丈夫でしょう。あまり安すぎる見積もりは塗り回数が少ないなどの手抜き工事の可能性も。しっかりと見積もりを取って、工事内容や価格を確認しましょう。

サイディング塗装に最適な時期や施工日数

サイディング塗装にはおおむね1週間~2週間程度の施工日数がかかります。日数にある程度の幅があるのは、外壁塗装が天候や気温に大きく左右されるため。そこでサイディング塗装に適切な時期や工事を依頼するタイミングについても解説していきます。

時期塗装の時期
春(3~5月)雨が少ない春は外壁塗装のベストシーズン。
湿度や気温が安定している時期。
夏(6~8月)梅雨時期は雨が多いため適さない。
湿度や気温が高い日本の夏は避けた方がいい。
秋(9~11月)台風シーズンの9月を除いてはOK。
冬(12月~2月)気温が5度以下になると塗料の乾燥が遅くなり機能が発揮されない

上記の表でも分かるように雨が比較的少なく、気温や湿度が安定している春や秋(9月以降)がサイディング塗装のベストシーズン。

ただしこの時期はどこの業者も予約が入っていて、ぎりぎりで依頼すると適切な時期に工事をしてもらえないことも。したがって半年ぐらい前を目途に業者探しを始め、施工希望日の2か月前には工事の契約を済ませておきましょう。

サイディング塗装の注意点とは?

ではサイディング塗装をする際の注意点を見ていきましょう。塗料の選び方や日々のメンテナンスにも関わってくることですので気を付けましょう。

費用が安いからとDIYをするのは危険

費用を抑えたいからとDIYでサイディング塗装をするのはお勧めできません。確かに自分で外壁塗装をすれば費用は塗料や道具代だけで済みます。しかし二階以上の住宅を施工するには足場を適切に組む必要があり、塗りムラがあっては塗料の機能を十分に発揮できなくなります。

とかくDIYでは塗装技術が無いため、そのような塗りムラや厚さの不均等が発生しがちです。適切な厚みを持たせないとせっかくの塗装の機能も台無しになってしまいます。

また直後はきれいでも1年経たずに塗膜が剥がれたり、目地が取れてしまうということも。DIYが得意だと自負している方でも、サイディング塗装は専門の業者に依頼しましょう。

弾性系塗料はサイディング塗装に向かない

モルタル壁のひび割れによく使われる弾性系塗料は、サイディング塗装には適さないことを覚えておきましょう。弾性系塗料とは塗るとゴムのように伸び縮みする塗料のこと。

サイディングの表面は直射日光などで高温になりやすい特徴があります。その表面に弾性系塗料を塗ってしまうと、熱で塗膜が柔らかくなり水分の蒸発と共に塗膜が膨らんで剥がれの原因に。せっかくサイディング塗装をしたのにすぐに剥がれてしまったということが無いように注意しましょう。

塗装済みサイディングボードはメーカーに確認

塗装済みのサイディングボードにはむやみに塗装をせず、住宅メーカーに確認することをおすすめします。特に新築時、メーカーの製造時に何かしらの塗装を施したサイディングが使われている場合があります。

  • 光触媒塗料
  • 無機塗料
  • フッ素コーティング

上記のような塗装はそれ自体で汚れを落としやすくしたり、撥水性を高める効果があります。その上にさらに塗装をしてしまうとせっかくの機能が発揮できなくなったり、剥がれやすくなることも。したがって新築購入時にすでに塗装されているかも?と感じたら、住宅メーカーに塗り替えしても大丈夫かを確認しましょう。

塗装後のメンテナンスにも気を付ける

サイディングを塗装してもらった後は、なるべくその状態を保つためにもこまめなお手入れを心掛けましょう。基本的なメンテナンス方法は土埃や鳥のフンなどが付いて汚れたなと感じたら、ホースで水をかけて柔らかいブラシでこするだけ。

それでも落ちない汚れには台所用の中性洗剤を使って優しくこすり落としましょう。その際にはなるべくサイディングの表面に負担をかけないようにすることがポイントです。

通常なら半年に一度のペースで十分ですが、海岸沿いや雨が多い地方では一年で3~4回の掃除がおすすめ。もし自分で掃除するのが難しい場合は、専用の業者に依頼して高圧洗浄をかけてもらってください。

塗装時のシーリング補修はしっかりと

サイディング塗装の際にはシーリングも忘れずに補修してもらってください。シーリングの劣化は内部の腐食や雨漏りの原因となることも。シーリング工事には以下のような工法がありますので、業者に状態を見てもらって適切に工事をしましょう。

シーリング工事特徴費用
打ち増し工法既存コーキングの上からコーキングを施工600円~/m
打ち替え工法既存コーキングを剥がして新しくコーキングを打つ1,000円~/m

クリア塗装ができないサイディングがある

クリア塗装が適さないサイディングがあるので注意が必要です。クリア塗装とは透明な塗料を使う塗装方法のこと。サイディングボードのデザインや色目を生かしたまま塗装できるので最近人気の塗装方法です。

しかしあらかじめ光触媒やフッ素塗料が塗装されたサイディングには使えません。またサイディング表面の状態が悪いと、施工できないことも。もしどうしてもクリア塗装をしたいなら、外壁の表面に劣化が始まる前のタイミングで使いましょう。

サイディング塗装の費用を抑えるポイント

最後にサイディング塗装の費用を抑えるコツをご紹介していきます。できるだけ安く工事をしたいという方は必見です。

屋根と外壁を同時に塗装する

屋根塗装と外壁塗装を同じタイミングで行うと費用を抑えられます。そのポイントは足場の設置費用にあります。通常屋根塗装や外壁塗装で使う足場の設置費用は10万~20万円程度。それぞれの工事に必要な費用が、同じタイミングですると半分の価格に抑えられるという理由からです。

地方自治体のリフォーム支援制度を利用

都道府県や市区町村には様々なリフォーム支援制度があり、その制度を利用することでリフォーム価格を抑えることができます。支援制度はそれぞれの地方公共団体や年度によっても異なります。

サイディング塗装にリフォーム支援制度を利用したいという方は、地方自治体のホームページを確認するか、担当窓口へ直接お問い合わせください。

住宅火災保険を使ってサイディング塗装

住宅の火災保険の種類によっては、保険の補償が受けられるケースがあります。ただしこれにはどのような原因でリフォームが必要になったかが重要となります。一般的な「住宅火災保険」や「住宅総合保険」の条件について見ていきましょう。

保険の種類/条件火災落雷風災害水害水漏れ飛来・落下
住宅火災保険×××
住宅総合保険

上の表のように火災や災害、飛来物によって外壁塗装が必要になった際に適用されます。ただし経年や老朽化による劣化では保険が使えません。外壁に付いたコケやカビ・サビなどは適用対象外となりますのでご注意ください。