おすすめの選び方や施工方法別の費用とは?サイディングの基礎知識を徹底解説!

今や住宅の70%以上に採用されている外壁材がサイディングです。今回はサイディングの基礎知識についてご紹介するとともに、メンテナンスのサインや選び方などを解説していきます。外壁をサイディングにしようかとお考えの方はぜひ参考にしてください。

これさえおさえればOK!サイディングに関する基礎知識

「そもそもサイディングって何?」という方もいるかもしれません。そこでこちらではサイディングの基礎知識について詳しく解説していきます。

サイディングとは建物の外壁に張る仕上げ材のこと

サイディングとは建物や住宅の外壁に張る仕上げ用の板材のことを指します。「サイディング」や「サイディングボード」などと呼ばれ、工場であらかじめ成形されたボードを壁の大きさに合わせてカットして、現場の壁に張って仕上げていきます。

サイディングボードは胴縁と呼ばれる板材に釘やビスを使って固定します。この釘やビスはボードの裏側に固定するため、表面からは分からないようになっています。それぞれのボードのつなぎ目にはシーリング(コーキング材)を埋め込み、雨漏りやボードの剥がれを防ぎます。

サイディングは軽くて耐久性が高く単価が安いのが特徴。施工に特殊な技術やテクニックが必要ないため、誰が張っても仕上がりが均一になります。このような背景から日本の住宅で多く取り入れられるようになり、現在では約7割以上の新築住宅で採用されています。

サイディングとモルタルの違いとは?

サイディングが登場する前までは、モルタルで外壁を仕上げることが一般的でした。モルタルとは砂・セメント・水を練って作る外壁材で、左官職人の手によって手作業で施工されます。

そもそも外壁の施工方法には「湿式(しっしき)」と「乾式(かんしき)」という2種類があります。「湿式」にはモルタルをはじめとする塗り壁やタイル張りがあり、「乾式」の代表はサイディングです。こちらは湿式の代表格モルタルと乾式のサイディングを比較したものです。

外壁材メリットデメリット
モルタル耐火性が高い施工費や材料費が高い
ヒビが入りやすい
施工に日数がかかる
サイディング軽量で耐久性がある
デザインや色が豊富
施工費や材料費が安価
短期間で施工できる
熱を吸収しやすい
コーキングのメンテナンスが必要

モルタルは時間が経つと表面にヒビ割れやクラックが入るようになります。さらに重量もあるので建物への負担も増えます。

一方のサイディングはモルタルよりも軽く、窯業系なら1/2以下、金属系なら1/10以下の重さです。これにより建物の耐震性が高まるということは言うまでもありません。

サイディングの種類は主に4種類

サイディングボードにはその素材の違いにより窯業系・金属系・木質系・樹脂系の4種類に分けられます。それぞれの原材料はこちらです。

サイディングの種類原料・材料
窯業系サイディングセメント質80%と繊維質20%を原料として板状に成形した外壁材。
金属系サイディングガルバリウム鋼板をはじめとする金属を成形したもの
木質系サイディング天然木を材料にして、木ならではの自然な仕上がりに。
樹脂系サイディングプラスチックを板状にした外壁材。

一つの住宅に一種類のサイディングを使うのが一般的ですが、窯業系+金属系などと組み合わせることも可能です。ただし窓サッシに接する部分の処理方法が異なるため、雨仕舞はキチンと行うように注意しましょう。

では4種類のサイディングのそれぞれの特徴と㎡当たりの費用相場を順番に見ていきましょう。

窯業系サイディングの特徴と価格

サイディングと言えばこの窯業系サイディングというほどサイディングのシェア8割以上を占め、多くの住宅に使われています。セメントに木質の繊維を混ぜ合わせて、デザインや色が豊富なのが特徴です。

特徴詳細
耐震性密度が高く硬質だが軽い素材のため、建物にかかる負担が少ない。
金具留め工法ならさらに耐震性が高まる。
耐火性建築基準法に基づいた防火性能試験をクリアした「防火外壁材」。
炎や熱を45分から1時間程度遮ることが可能。
デザイン・
色が豊富
戸建て住宅の70%以上に普及しており、デザインや色が豊富。
木目・レンガ・石積み・タイルなど本物そっくりの質感が出せる。
初期費用が
おさえられる
ボード自体の価格が低く、施工費が掛からないため初期費用が安い。
蓄熱性特に黒色では真夏の表面温度が60度に達することも。
断熱性をアップさせる工事が必要に。

㎡当たりの単価は3,000円~5,000円前後。最近では防汚機能のコーティングを施した商品も発売されています。

金属系サイディングの特徴と価格

ガルバリウム鋼板・アルミ・ステンレスなどの金属を表面材として、断熱材を間に挟み、裏面材にラミネート紙を張り合わせた外壁材。素材ごとの特徴はこのようになっています。

  • スチール系・・・焼付塗装で厚みがあるほど高耐久。風が強い地域におすすめ。
  • アルミ系・・・軽量で柔らかく施工しやすい。さびにくく見た目がすっきりしている。
  • ステンレス系・・・高価だが耐久性や耐候性が抜群に高い。

そして金属系サイディングの特徴はこちらです。

特徴詳細
メンテナンス頻度が低い材料が金属ということで長期間メンテナンスしなくてもOK。
耐水性水を通さない性質のため耐水性が高い。
耐候性気温変化の激しい地方や寒冷地でも劣化しにくい。
デザインが豊富加工技術が発達して、レンガ風やタイル風のボードが登場。
軽量窯業系サイディングの1/4の軽さ。
重ね張り工法も可能。

金属系サイディングの㎡当たりの単価は4,000円~6,000円です。窯業系サイディングと比べると施工後のメンテナンスが手間いらず。軽量な素材ゆえ、モルタル壁の上から重ね張りする外壁リフォームが人気です。

樹脂系サイディングの特徴と価格

アメリカでは外壁材の半数以上がこの樹脂系サイディングで施工されています。アメリカではメジャーな外壁材ですが、日本での普及はこれからというところ。ただし日本でも北海道や東北北部といった寒冷地を中心に徐々に普及し始めています。

特徴詳細
劣化しにくい樹脂成型しているので変化しにくい。
耐候性サビずに塩害や凍害にも強い。
塗り替え不要色褪せや変色に強く、長期間の塗り替えが不要。
目地の補修がいらないシーリングを使わず施工しているので補修が必要ない。
軽くて施工しやすい窯業系サイディングの1/10の軽さ。
重ね張りでも施工可能。

㎡当たりの単価は7,000円~9,000円 前後。全体的に軽く薄い構造のため、遮音性は他のサイディングと比べると劣ります。また施工実績がほとんどないため、取り扱える業者が少ないのもデメリットです。

木質系サイディングの特徴と価格

天然木を使用し、塗装を施して外壁材として仕上げています。ただし木を使っているということで、水に弱くこまめなメンテナンスが必要という特徴があります。

特徴詳細
耐熱性特殊加工で耐熱性能に優れた仕上がりに。
デザイン性天然木を使用しているため、他と同じデザインがない。
耐水性が低い水分を含んだ状態では木が腐る恐れがある。
価格が高め窯業系・金属系サイディングに比べると金額が高い。

木目の外壁になるということで、木の持つ質感やぬくもりの感じられるデザインが木質系サイディングの最大の魅力。デザイン重視の外壁にしたい方にはおすすめの外壁材です。

㎡当たりの単価は6,000円~8,000円ほど。こまめな再塗装などのメンテナンスをいとわず、「おしゃれな外壁にしたい」という場合にいかがでしょうか?

これまでご紹介した4種類のサイディングについて一覧でまとめました。サイディングの種類を選ぶ際の参考にしてください。

種類窯業系
サイディング
金属系
サイディング
樹脂系
サイディング
木質系
サイディング
デザイン性
耐久性
耐震性
耐火性
耐凍性
遮音性
防水性
施工性

サイディングの耐用年数とメンテナンス頻度

サイディングのみならず外壁材は紫外線や雨風にさらされ、排気ガスやホコリなどによって日々汚れていってしまいます。たとえ耐久性の高い塗装を施したとしても、その効果は永遠ではありません。

こちらはサイディングの種類ごとの耐用年数やメンテナンス頻度です。

種類窯業系
サイディング
金属系
サイディング
樹脂系
サイディング
木質系
サイディング
耐用年数20~40年20~40年20~50年15~30年
メンテナンス頻度7~15年10~15年10~30年5~10年

メンテナンスには日々のお手入れから定期的な塗装、シーリングなどの補修や全面張り替えまで劣化状況に応じた対処が必要となります。住宅メーカーや施工会社による点検はもちろんですが台風や大雨の後、地震が起きたらご自身の目で確認するようにしましょう。

サイディングの性質上、ひび割れなどの劣化症状はモルタルに比べて発生しにくくなっています。とはいえ定期的な塗装や耐用年数が過ぎたらサイディングボード自体を張り替える必要があります。

サイディングにこんな症状が現れたら!補修や張り替えが必要

耐用年数が近づいたり、メンテナンス時期が来たサイディングには数々の劣化や不具合が生じてきます。これからご紹介する症状はご自身でもある程度確認できますので、注意してチェックするようにしましょう。

メンテナンス方法サイディングの状態
シーリングの打ち替えシーリングのひび割れ
シーリングが破断している
シーリングに凹みがある
塗装ボードの色褪せ
触るとチョークのような粉が出る(チョーキング)
表面にひび割れや剥がれが発生
重ね張り・張り替えボードの一部に剥がれや反りがある
ボードに大きな穴や亀裂がある

上記のようにサイディングボードにチョーキングなどの減少が見られたら、塗装をすべきタイミングです。また大きな穴が開いていたり、一部に反りや剥がれを見つけたら大規模な補修や貼り替えが必要な時期が近付いていると考えましょう。

このような不具合を見つけたらなるべく早めに専門業者に相談して、現状を見てもらうようにしてください。

サイディング選びに迷ったら…選び方5つのポイント

上でご説明した通り、サイディングには素材別に4種類あります。そしてそれぞれの種類ごとに色やデザインが豊富に展開されています。

いざサイディングを選ぼうと見本帳を開いて見たら、種類が多すぎてどう選んだらいいのか分からない…という方に、ポイントごとに選び方をご紹介。自分が外壁に何を求めるのか?という重視ポイントを見つけられれば、サイディング選びもスムーズに進むでしょう。

デザインや色で選ぶ

外壁は家の顔、デザインや色で選びたい!という方には普及率ナンバーワンの窯業系サイディングをおすすめします。サイディングの中でも80%以上のシェア率を占める窯業系サイディングは、各メーカーが独自のデザインや多彩な色柄のバリエーションを展開しています。

こちらは外壁の色がどんな印象を与えるかという一覧です。自分の家の外観をどんなイメージにしたいかによって色を選んでみましょう。

  • 白系・・・清潔感のある外観になる
  • グレー系・・・モダンな印象を得られコンクリート風に仕上がる
  • 黒系・・・黒一色はシックな印象に、淡彩色と組み合わせるとメリハリが出る
  • 茶系・・・木やレンガを連想させ落ち着いた雰囲気に
  • ベージュ系・・・土壁のようなナチュラルな建物になる

次にサイディングの主な柄と見た目の印象を解説していきます。上記の色と合わせることで一層個性的な外観に仕上げられます。

サイディングの柄見た目の印象
石積み調大き目の石柄は洋風、細長い石柄は和風に仕上がる。
落ち着いた外観を演出。
レンガ・タイル調洋風な外観の家に仕上がる。
木目調色により印象が異なり、アクセントとしてもおすすめ。
塗り壁調ランダムな塗りムラは自然な印象に。
無地はすっきりとした外観を演出。

費用の安さで選ぶ

費用の安さは外壁リフォームをする上で重要なポイントです。外壁に幾らお金をかけてもいいという方以外はおおよその予算の中でなるべく安く仕上げようと思うはず。そこでおすすめなのが窯業系と金属系の二種類のサイディング。

初期費用の安さで選ぶなら窯業系サイディングになります。サイディング本体の価格が安いのはもちろんですが、広く普及しているということで施工費も抑えられます。また施工には特別な技術が必要ないため、人件費もかからないのが特徴です。

もう一つが金属系サイディングです。こちらはコストパフォーマンスを重視する方におすすめ。初期費用は窯業系より高めですが、メンテナンス時期が長く張り替えまでの期間が長いのがその理由です。

初期費用の安さで選ぶなら窯業系サイディング、コスパで選ぶなら金属系サイディングと、費用の安さをポイントにするならこの二種類の中から選んでみてはいかがでしょうか?

サイディングの工法で選ぶ

サイディングの工法には、既存の外壁を撤去して新しい外壁を張り替える「張り替え工法」と既存の外壁の上からあたらしい外壁を重ねる「重ね張り工法」の二種類があります。

張り替え工法は手間や費用が掛かるのですが、サイディングの種類を選ばず工事ができます。一方の重ね張りは既存の外壁を撤去する手間や費用が安く済みますが、軽い外壁材を選ぶ必要があります。

そこで重ね張りするには、サイディングの中でも最も軽い金属系サイディングがおすすめ。外壁を重ね張りする場合、建物に余分な荷重がかかるため地震の際などに揺れやすいなど耐震性に不安が生じてしまいます。その点では窯業系サイディングの1/4の重さの金属系サイディングなら、耐震性も問題ありません。

サイディングのメーカーで選ぶ

サイディングのメーカーによって選ぶというのも一つのポイントです。各メーカーでは独自にセルフクリーニング機能を持つサイディングや、劣化しにくいサイディングを開発しています。そのような信頼と実績があるメーカーのサイディングなら品質も間違いないでしょう。

こちらは市場シェア率が高いメーカーとその主力ブランドです。

主力メーカー主力ブランド
ニチハ窯業系:プレミアムシリーズ・メモリア・ミライア
金属系:センターサイディング
ケイミュー窯業系:レジェール
金属系:はる一番
朝日トステム外装窯業系:カーディナル・AT-ウォールプラス
金属系:Danサイディング
樹脂系:オレゴンプライド・グランドリバー
アイジー工業金属系:IGサイディング

メンテナンスのしやすさや耐用年数で選ぶ

サイディングのメンテナンスのしやすさや、耐用年数の長さで選ぶのもおすすめです。たとえリフォーム費用が安くても、こまめなメンテナンスが必要で、その修繕費が高いと結果的にお得ではなくなってしまいます。

そこでシーリング補修などのメンテナンスがほとんど必要ない樹脂系サイディングはいかがでしょうか?初期費用はサイディングの中で最も高額ですが、大がかりなメンテナンスが必要ない樹脂系サイディングなら手間もかかりません。

サイディングを選ぶ際には、あらかじめ長期的なメンテナンススケジュールを立てておくと、将来どの位の費用がかかるのかが目に見えて分かるようになります。

サイディングのリフォーム方法別費用相場を解説

サイディングを実際に張る場合のリフォーム価格やメンテナンス費用をご紹介していきます。外壁リフォームやメンテナンスの参考にしましょう。

サイディングの張り替えは外壁を一新

既存の外壁を撤去して新しくサイディングを張り替える場合、サイディングの種類によって価格が大きく変わってきます。こちらはサイディングの種類ごとの㎡当たりの費用相場です。

種類単価
窯業系サイディング3,000円~5,000円/㎡
金属系サイディング4,000円~6,000円/㎡
木質系サイディング6,000円~8,000円/㎡
樹脂系サイディング7,000円~9,000円/㎡

次に施工にかかる足場費用や撤去費用、張り替えの施工費を見ていきましょう。

工事内容費用相場
足場費用150,000円~200,000円
既存壁撤去費用800円~1,000円/㎡
張り替え施工費2,000円~3,000円/㎡

施工する外壁の面積を100~200㎡で見積もると、総額で150万~250万円ほどが相場となります。

ただし既存の壁にアスベストが使用されている場合、以下のような撤去費用が追加で発生します。

処理面積単価
300㎡未満20,000円~80,000円/㎡
300~1,000㎡15,000円~45,000円/㎡

費用を抑えたいならサイディングの重ね張り

既存の壁はそのままに、重ねてサイディングを貼る場合は貼り替えよりも費用は安く抑えられます。というのも既存壁の解体や撤去など処分に伴う費用が掛からないため。

既存のサイディングを調査して、軽微な劣化であればそのまま重ね張りが可能です。こちらは重ね張りにかかる施工費の相場です。これにサイディング価格がプラスでかかります。

工事内容費用相場
足場費用150,000円~200,000円
重ね張り施工費2,500円~3,500円/㎡

外壁の面積が100~200㎡の住宅では、総額で120万~200万ほどかかります。一方で施工前よりも住宅の外壁が重くなり、耐震性が落ちることがあります。また施工後に壁からの水漏れなどが発生した場合、原因を調査するのが難しくなるというデメリットもあります。

10年に一度はサイディングを塗装しよう

ほとんどのサイディングでは定期的なメンテナンスとして、塗装が必要になります。サイディングの塗り替えは下地をチェックして問題が無ければ施工可能。使う塗料の性能や種類によって、相場の価格がこのように異なります。

塗料の種類価格相場
アクリル塗料1,000円~1,200円/㎡
ウレタン塗料1,800円~2,500円/㎡
シリコン塗料2,500円~3,500円/㎡
フッ素塗料3,500円~4,500円/㎡

サイディングの塗り替えでは下塗り・中塗り・上塗りの合計3回塗装を行います。同時にシーリングの補修もするのが一般的です。

工事内容費用相場
足場費用・養生費150,000円~200,000円
高圧洗浄・下地補修20,000円~100,000円
施工代700円~1,000円/㎡

外壁の面積100~200㎡の、塗装費用の総額は80万~150万円前後。基本的に重ね張りや張り替え費用よりも安く済むため、外壁に劣化を発見したらこまめにメンテナンスすることが大切になります。

シーリングの劣化には打ち直しが必要

サイディングボード同士を固定するために使われているシーリングも、経年劣化によってヒビが入ったり断裂することがあります。それを放っておくと隙間から雨水が入り込み、サイディング自体が劣化するだけでなく住宅の構造自体に悪影響を及ぼします。

そのためシーリングの劣化を発見したらなるべく早めに補修するようにしましょう。100~200㎡の外壁では20万~50万円が相場です。

工事内容用相場
シーリング補修2,000円~2,500円/㎡

サイディングは外壁におすすめの仕上げ材

サイディングボードは施工のしやすさや費用の安さから、モルタルに変わって多くの住宅の外壁に取り入れられるようになりました。サイディングはデザインや色が豊富で好みの柄を選びやすいのもメリット。こまめなメンテナンスを心掛けて、家の顔である外壁をいつまでもキレイな状態にキープしましょう。