サッシ材質の選び方とは?サッシリフォームの基礎知識&費用相場を教えます!

古くて開けづらくなったサッシは、劣化しにくく断熱性の高いサッシにリフォームしませんか?今回はサッシのリフォームについて、材質ごとの特徴や費用相場、選ぶ際の注意点について詳しく解説していきます。

サッシについての基礎知識を解説

サッシのリフォームについて解説する前に、サッシの素材ごとの特徴や施工方法、サッシの寿命について見ていきましょう。

サッシとは窓のどの部分を指す?

サッシとは「サッシュ」ともいい、窓に用いる建具のことを示す言葉として一般的に使われています。しかし具体的には窓のどの部分を指すのかご存知ですか?

窓は木製の「窓枠」にアルミや樹脂製のレールが付いた「枠」が固定され、「障子」と呼ばれるガラスとその周りの部分をはめ込んで使います。障子は引き違い窓であれば、室内側の「内障子」と屋外側の「外障子」という名称になります。

サッシという言葉は、内障子と外障子に枠を加えた部分を指す場合もあります。しかし建具業界では、障子と呼ばれるガラスとその周囲の部分をサッシと呼んでいます。

サッシには素材別に5種類ある

サッシにはガラスを囲む部分に使っている素材別に5種類に分けられます。それぞれ特徴やメリットが異なりますので、サッシを選ぶ際の参考にしてください。

アルミサッシは軽くて強い

アルミ製のサッシは金属製ということで、軽くて耐久性が高いのが特徴。他にもアルミならではのメリット・デメリットがあります。

メリットデメリット
・軽量なのに強度がある
・耐候性・防火性に優れている
・開閉操作が楽にできる
・さびにくい
・熱伝導率が高く断熱性がない

唯一ともいっていいデメリットは、熱伝導率が良い金属製ならではのもの。一方で絶えず風雨にさらされているサッシの素材としては、耐候性が高くサビにくいという大きなメリットがあります。

ただし長い時間ホコリが付着したままにしておくと、そこから腐食することがあります。定期的にメンテナンスを心掛けて、アルミサッシの寿命を延ばしてください。

スチールサッシは耐火性に優れている

スチール製のサッシは耐久性や耐火性に優れているため、工場などの窓によく使われています。

メリットデメリット
・耐火性に優れている・耐候性が悪い

ただし一般住宅では近年の需要はほとんどありません。

樹脂サッシは断熱性が良い

石油を原料とした塩化ビニル樹脂製のサッシは、断熱性がとにかく高いのが特徴。複層ガラスと樹脂サッシの組み合わせで、単層ガラスのアルミサッシよりも3倍以上の高い断熱性を発揮するという調査結果もあります。そのためアルミサッシを樹脂サッシに交換するだけで、光熱費がかなり節約できます。

メリットデメリット
・断熱性や気密性が高い・経年劣化が早い
・強度はアルミよりも弱い
・アルミサッシよりも厚みがある

このような特徴から、寒い北海道では住宅の窓の9割以上にこちらの樹脂サッシが採用されています。

ただし樹脂サッシはそのままではアルミサッシよりも強度が落ちます。強度を補うために構造が厚めになっているのがデメリットになります。

木製サッシは自然の風合いが魅力

天然の木そのままを使った木製サッシは、温かみのある雰囲気や風合いが魅力。木製サッシのメリットやデメリットはこちらです。

メリットデメリット
・天然木の雰囲気や風合いが感じられる・腐食や摩耗に弱い
・耐火性・耐久性が低い

ただし住宅の不燃化に逆行する素材のため、新築住宅ではあまり使われていません。ただ最近では気密性を高めた構造や、経年劣化を防ぐ工夫がされている木製サッシも開発されています。

複合サッシは異なる素材の組み合わせ

内側と外側で異なる素材を組み合わせられる複合サッシは、素材の持つ長所を十分に発揮できます。例えば室内側は風合いの良い木製サッシにして、外側は断熱性の高い樹脂サッシにするなど。見た目や機能を兼ね備えた形となり、サッシリフォームでも積極的に取り入れられています。

メリットデメリット
・内側と外側で素材を変えられる
・素材の持つメリットを生かせる
・費用が高め

サッシの寿命や交換のタイミングとは?

サッシの寿命はどの位で、交換のタイミングはいつになるのでしょうか?サッシは戸車やクレセントなど、様々な部品から成り立っています。部分的に破損したり劣化しても、そのパーツを交換することで比較的長く使うことが可能です。

サッシメーカーからパーツを取り寄せて交換することになるのですが、そのメーカーからの入手が難しくなるのが40~50年前後と言われています。そのためサッシの耐用年数や寿命も同じくらいと考えてよいでしょう。

具体的には以下のような症状が現れたら、サッシのリフォーム時期となります。

  • 窓の開閉がしにくい
  • サッシが変形している
  • カギがかけずらい
  • 防犯性に不安がある
  • 結露に悩んでいる

とはいえ定期的にパーツ交換をしたり、メンテナンスすることで思っている以上にサッシを長持ちさせることができます。

サッシ交換方法は2種類ある

サッシの交換方法には「カバー工法」と「はつり工法」の2種類があります。それぞれのメリットや施工方法について見ていきましょう。

カバー工法は費用を抑えられる

カバー工法とは既存のサッシ枠の上から新しいサッシをかぶせる施工方法のこと。既存の枠を取り外す手間を省けますので、工事日数や費用を節約できます。施工時間は数時間~1日程度で一軒すべてのサッシリフォームが完了するほど短期間で済みます。

ただもともとある枠の上からサッシをかぶせるということで、窓の開口部分が一回り小さくなるのがデメリットです。リフォーム時の騒音や粉じんが最小限に抑えられるため、マンションでのサッシリフォームに多く採用されています。

はつり工法は窓枠ごと交換

今ある窓枠ごと撤去して新しい窓枠と交換する工事を「はつり工法」といいます。窓とその周辺の壁を取り壊さないと窓枠を外せないため大がかりな工事なりますが、既存の窓と同じサイズのものを取り付けられます。

施工日数は一つの窓につきおよそ1日程度。家じゅうの窓を全てリフォームするとなると工期が1週間程度かかり、場合によっては別の場所に住まなければいけなくなることもあります。

ただもともとの窓枠の形にとらわれず、新しいデザインや色あいの窓枠に変えることも可能。また断熱性が高いサッシへの交換も簡単で、窓の機能を高めたい方にはピッタリの施工方法です。

サッシリフォームにかかる費用相場を解説

サッシリフォームにかかる費用について、施工方法ごとに解説していきます。サッシリフォームをお考えの方は参考にしてください。

サッシの種類別・本体価格とは

まずはサッシの種類別に本体価格の相場を見ていきましょう。

サッシ種類価格相場
アルミサッシ8万~25万円
樹脂サッシ6万~15万円
木製サッシ5万~12万円

木製サッシが一番安く5万~12万円ほど、次に樹脂サッシで6万~15万円となります。アルミサッシが最も高く8万~25万円が相場です。

ただし窓のサイズによって一枚当たりのサッシ価格が変わり、使用するガラスの機能や窓数によって本体価格は変動します。

サッシの部品のみを交換する場合

サッシのパーツに不具合が生じたら、部品交換で対応できます。それぞれのパーツはホームセンターなどでも購入できますが、自宅のサッシに合う部品を探す手間やスムーズな使用感を得るには、プロにお任せした方がリフォーム後のトラブルを防げます。

サッシの主な部品名称とその役割はこちらです。

  • 戸車・・・障子の下部に取り付け開閉時の滑りを良くする部品
  • クレセント・・・半回転させて開け閉めするサッシのカギ
  • 外れ止め・・・障子が浮き上がってレールから外れるのを防ぐ金具
  • 障子ストッパー・・・移動させた時に障子同士がぶつからないようにする部品
  • グレイジングビート・・・ガラスと枠の間にはめるパッキンのようなゴム

上記のような部品を交換する際にかかる費用は下記の通りです。

工事内容費用相場
サッシのビート交換1万~2万円
戸車交換5千~1万円
クレセント交換1万~2万円

グレイジングビート交換とクレセント交換を業者に依頼すると1万~2万円ほどかかります。戸車交換は5千~1万円程度で交換できます。

サッシ本体を新しい物に交換

サッシ本体を新しくするリフォームではサッシのサイズや施工方法によって、以下のような費用がかかります。

工事内容窓サイズ費用相場
カバー工法小窓(70×90㎝)
腰窓(170×120㎝)
掃き出し窓(170×180㎝)
4万~6万円
6万~10万円
8万~12万円
はつり工法小窓(70×90㎝)
腰窓(170×120㎝)
掃き出し窓(170×180㎝)
8万~15万円
15万~30万円
20万~40万円

腰窓をカバー工法で交換すると6万~10万円、はつり工法だと15万~30万が相場です。背の高さほどの掃き出し窓の場合はカバー工法で8万~12万円、はつり工法では20万~40万ほどかかります。

ただし既存のサッシの状態や新しくしたいサッシの材質によって費用は変わります。また窓枠やサッシの状態によってはカバー工法でリフォームできない場合もありますので、詳しくはリフォーム業者へお尋ねください。

既存サッシに追加して二重サッシにリフォーム

今あるサッシに内窓をプラスして二重サッシにリフォームする方法があります。これは壁や窓枠を撤去する必要がなく簡単な工事で済みますので、短期間で費用も安く仕上がります。

防音・断熱・防犯などの観点からも人気のサッシリフォームで、内窓を取り付けただけで冬場の結露が解消されたというケースがあります。内窓設置リフォームにかかる費用はこちらです。

工事内容費用相場
内窓設置工事8万~20万円

内窓設置工事は8万~20万円前後が相場ですが、高性能な遮熱ガラスなどを使うと費用が高くなります。ただ施工は一か所当たり二時間程度で完了します。

サッシごとペアガラス用に交換

既存のサッシをペアガラスのサッシに交換する工事も人気のあるリフォームです。サッシ枠は問題ないがサッシ自体が劣化している場合などに有効です。

工事内容費用相場
ペアガラス入れ替え工事4万~10万円

ペアガラス交換工事の費用は4万~10万円が平均の価格となっています。

サッシリフォームをする上での注意点とは?

サッシリフォームをする場合、いくつかの注意点があります。これからサッシリフォームをお考えの方は、特にご注意ください。

マンションでは規約でリフォーム出来ないことも

マンションでは管理規約により、サッシのリフォームができない場合があります。というのも分譲マンションでは、所有者が自由にリフォームできる「専有部分」と、リフォームが勝手にできないマンション全体の持ち物「共有部分」とに分かれています。

外に面しているサッシはお住いのマンションによっては管理規約で「共有部分」とみなされていることが多いため、勝手に別のものと替えることができません。既存のサッシであればガラスだけの交換ができる場合もありますが、複層ガラスやペアガラスは普通の単層ガラスよりも厚みがあるため、使えないことがあります。

もちろん管理規約でサッシ部分が「専有部分」と決められているマンションではリフォームが可能。ですが工事で騒音やホコリが舞って近隣住民とトラブルになる恐れがありますので、サッシリフォームの前には管理組合に報告をしたり、近隣の方にあいさつするなどしてから工事を行いましょう。

メンテナンスのことも考えてサッシを選ぼう

サッシは部品の交換やこまめな掃除で寿命を延ばすことができます。そこでメンテナンスしやすいサッシにするのも、サッシ選びのポイントになります。

アルミサッシのメンテナンス方法

サビにくく耐候性が高いアルミサッシが一番メンテナンスしやすい素材となります。軽い汚れであれば水拭きした後に乾拭きをして水分を取ってください。しつこい汚れには薄めた中性洗剤で汚れを拭きとった後に、しっかり洗剤を落とします。

いくらサビないとはいえ、ホコリが溜まった状態で水が入るとサッシの表面が腐食してしまいます。サビを発生させないためには、半年に一度程度の掃除で汚れやほこりを落としましょう。

樹脂サッシのメンテナンス方法

アルミサッシに比べて傷が付きにくい樹脂サッシは、レール部分のホコリや汚れをそのままにしておくと細かい傷が付く原因となるため、こまめな掃除が必要。

硬く絞った雑巾で全体を水拭きした後、細かい隅のホコリは歯ブラシなどを使って取り除きます。水拭きで落ちない汚れには薄めた中性洗剤かアルカリ性洗剤を使用。最後に硬く絞った雑巾で全体を拭いて乾拭きしたら完了です。

サッシを新しくすると窓枠の古さが目立つことも

サッシ部分は新しくしたものの、古びた窓枠とのコントラストで一層目立ってしまうことがあります。とはいえ木枠から新しくするとなると、最低でも10万円以上の費用が掛かってしまうことも。

そこでサッシをリフォームするタイミングで窓枠の塗装をしてみてはいかがでしょうか?もちろんプロに依頼すればきれいに仕上がりますが、自分でDIYでもできます。木部専用の水性塗料や溶剤塗料を使用して、3度塗りすればOKです。

サッシは機能性を重視して賢くリフォームしよう

サッシのリフォームは部品を交換するだけの簡単なものから、サッシごと二重サッシにする方法など様々な方法があります。いずれの場合もサッシの機能を高める目的で行われるものですから、その機能を最大限に引き出せるように素材やリフォーム方法を適切に選びましょう。