サッシリフォームの前に!知っておくべき4つの注意点や費用を抑えるポイント

住宅のサッシをリフォームするには10種類もの法があることをご存知ですか?ガラスの選び方や施工方法で、より快適に過ごせるリフォーム術をご紹介。費用の目安や安く抑えるコツも解説していきます。

リフォームの前に!窓サッシの種類や特徴を知ろう

実際に窓サッシのリフォームを行う前に、サッシにはどんな種類があるのかをご紹介していきます。窓サッシの特徴や適している場所を理解することで、窓サッシのリフォームを成功させられますよ。

窓サッシには10種類ある

窓サッシの種類は、その形状や窓の開き方によって大きく10種類に分けられます。それぞれのメリットやデメリットを知って、最適な窓サッシを選びましょう。

窓サッシの種類特徴
片開き窓部屋の内側や外側に開く窓で気密性や防犯性が高い。
内開き窓は室内にスペースが必要。
両開き窓二枚の窓を観音開きで開閉する窓で解放感があり風の通りを良くする。
防犯性や安全性に劣るためストッパーを付ける等の工夫が必要。
上げ下げ窓二枚の窓を上下にスライドさせて開閉する。
防犯性がとても高いが外面のお手入れがしにくいのがデメリット。
引き違い窓日本の住宅でよく使われ、二枚の窓をそれぞれ左右に動かして開ける。
採光面積が広く、安価で種類が多いのがメリット。
外面の掃除がしにくく開け閉めの動作が大変。
滑り出し窓窓枠の溝に沿って縦方向や横方向に窓を動かして開閉する。
風通しはいいが雨を遮る効果はあまりない。
たおし窓窓枠の下部を支点にして内側や外側へ倒して開閉する。
水廻りの換気用に設置され高所での採光や換気にも便利。
突き出し窓窓枠の上部を支点にして開閉する窓。
雨が入る心配が少なく防犯性もあるが、通気性にやや劣る。
ルーバー窓羽状のガラスを何枚か組み合わせ、ハンドル操作で開閉する窓。
トイレやお風呂で使用され室内が見えにくいが防犯性が低い。
天窓トップライトとも呼ばれ、天井にある採光用の窓。
夏場の直射日光や経年による雨漏れなどの心配がある。
出窓部屋から突き出した形の窓で空間に奥行きが生まれる。
出窓へのリフォームは高額になり、冬は結露が発生しやすい。

サッシの素材別特徴やメリット・デメリットとは?

次にサッシ枠の素材ごとの特徴について見ていきましょう。どんな設置場所が適しているかや自分の家にはどんなサッシが合うか想像して、窓リフォームの参考にしてください。

サッシの種類メリットデメリット
アルミサッシ軽量で強度がある
防火性や耐候性が高い
さびにくい
こまめに掃除しないと腐食する
定期的なメンテナンスが必要
樹脂製サッシ断熱性が高く結露ができにくい
防音効果がありデザインが豊富
強度が弱く重みを感じる
アルミサッシよりも高い
木製サッシ質感や風合いが良い腐食しやすくメンテナンスが必要
耐久性に劣る
複合サッシ室内と室外で素材が変えられる
見た目や機能が選べる
価格が高い

ガラスの種類や機能について

サッシ枠が決まったら次はそこに設置するガラスの種類を選びましょう。ガラスの種類には無色透明の一般的な板ガラスから、室内が見えずらい加工のガラスまであります。浴室やリビングなど、部屋の機能に合わせて選んでみてください。

ガラスの種類特徴
フロート板ガラス無色透明で表面が平らな一般的な透明ガラス。
透視性や採光性が良い。
型板ガラス表面にデコボコした型模様を付けた不透明なガラス。
視界を遮りプライバシーを確保できるので浴室やトイレにおすすめ。
すり板ガラスガラスの片面に摺り加工を施した不透明なガラス。
柔らかな光が入るが水をかけると透き通ってしまう。
網入りガラスガラスにワイヤーが入り、割れても破片が飛び散らない。
防火用としておすすめだが防犯機能はない。

続いては最近特に種類が増えた機能ガラスの種類をご紹介していきます。防犯や断熱・防音や結露予防に効果があるガラスを上手に選んで、窓サッシ自体の機能を高めましょう。

ガラスの種類特徴
強化ガラスガラス表面に圧縮層を持たせることで強度や耐熱性を確保。
板ガラスの約5倍の荷重にも耐えられ、割れても粒状になり危なくない。
合わせガラス二枚以上の板ガラスの間にフィルムの中間膜を挟んで圧着。
ガラスの飛散を防げ、紫外線カットにも効果がある。
防犯ガラス二枚以上の板ガラスの間に防犯用の特殊中間膜を挟んだガラス。
ガラスが破損しにくく飛散も予防、UVカット効果もある。
防音ガラス二枚の板ガラスの間に音を通しにくいフィルムを挟んだガラス。
音を熱エネルギーに変換して、外の騒音や室内の音漏れを防ぐ。
複層ガラス二枚の板ガラスの間に空気の層を挟んだガラス。
省エネ・断熱・結露予防に効果的。
Low-E複層ガラスガラスの間に金属膜(Low-E膜)をコーティング。
断熱性能がアップし、外からの日差しをカットする。
真空ガラス二枚のガラスの間が真空層になっているガラス。
魔法瓶と同じ原理で断熱性・遮音性を高め結露を防ぐ。

サッシ交換工法は「はつり工法」と「カバー工法」の二種類

窓サッシを交換する場合、施工方法が二種類あります。それぞれ工期やかかる費用が異なりますので、設置場所に適した交換工法を選びましょう。

サッシ交換工法工期
はつり工法既存の窓枠を撤去して窓枠事交換。
壁を取り壊す必要があるため工期や費用がかかる。
1日
カバー工法既存の窓枠に新しい窓枠をかぶせる工法。
短期間で交換でき費用を抑えられるが
開口部が一回り小さくなる。
2~3日

サッシの耐用年数や交換時期とは?

サッシ交換リフォームを考えるきっかけとして、窓サッシの機能を高めたいという理由が挙げられます。具体的にサッシを交換する理由として次のようなことが考えられます。

  • 窓を増やして風通しを良くしたい
  • 窓サッシの種類を変えて使い勝手を良くしたい
  • 結露・防音・防犯対策のため
  • 建物自体の耐震補強のため

実はサッシの耐用年数は20~30年ほどと言われています。もちろんサッシの種類や使用状況などによって差がありますが、おおむね以下のような状態になったらサッシの交換時期だと考えましょう。

  • サッシ自体が歪んでいる
  • サッシの一部分が壊れた
  • 窓ガラスのひび割れ
  • サッシ部分の腐食やサビ

上でご紹介した機能を一つでも追加したい場合や、現状がこのようなサッシはなるべく早めに交換することをおすすめします。

窓サッシの交換費用やリフォーム相場・日数とは

実際に窓サッシをリフォームする際の費用は窓ガラスやサッシの種類、交換工法、窓のサイズやサッシの枚数によって変動します。今回はリフォーム別の施工費の相場や工事日数について目安をご紹介していきます。

窓サッシのパーツのみを交換

窓サッシは様々な部品から成り立ち、毎日開け閉めする場合はそれらの消耗が激しくなります。それぞれの部品自体は数千円台でホームセンターでも購入可能ですが、細かい調整などを考えるとプロの業者にお任せした方が良いでしょう。

但しこの場合はサッシ全体を交換するよりも費用はかなり抑えられますので、なるべくリフォーム費用をかけたくないという方は、パーツ交換から検討することをおすすめします。

工事内容費用相場日数
ビート交換10,000円~20,000円半日
戸車交換10,000円~半日

特にサッシの開け閉めを楽にする戸車は、メーカーやサイズによって細かく分かれています。リフォームのプロであるサッシ業者でも探すのに苦労するほど。素人が合わない戸車を無理に取り付けると故障の原因になりますので、業者に合う戸車を探してもらい交換を依頼するのが無難です。

ガラスを機能性ガラスへ交換

次に費用がかからないサッシ交換リフォームは、ガラス部分のみを機能ガラスへ交換する工事です。特に夏の直射日光による暑さや冬の窓際の寒さは、機能ガラスへ交換することで一気に解消されます。

ただし機能性ガラス自体に重量があるため、場合によってはサッシごと交換しなければならない可能性も。レールや可動部分に負担がかかりすぎていないか、しっかり業者に見てもらってからリフォームすることをおすすめします。

工事内容費用相場日数
断熱・防音・防犯ガラスへ交換50,000円~150,000円1日

サッシ全体を交換して開閉をスムーズに

サッシの滑りが悪くなって開閉がスムーズにいかない場合は、サッシごと交換しましょう。またカギがかけにくい、開閉時に窓がガタつく時も同様です。サッシ全体のリフォーム工事はガラスの種類や窓サイズによって大きく変動します。

ガラスの種類サイズ費用相場
小窓(70×90㎝)35,000円~
板ガラス腰高窓(120×170㎝)39,000円~
掃き出し窓(180×170㎝)48,000円~
小窓38,000~
防犯ガラス腰高窓55,000円~
掃き出し窓68,000円~
小窓40,000円~
遮熱ガラス腰高窓88,000円~
掃き出し窓118,000円~
小窓45,000円~
内窓腰高窓50,000円~
掃き出し窓75,000円~

作業日数は窓のサイズによって1日~2日ほど。はつり工法で壁を一部壊してサッシ枠を取り付ける場合は2日以上かかることもあります。また費用も20万~50万円ほどと高額になります。

窓の大きさや高さを変更する

窓の大きさや高さを変更するリフォームでは、大がかりな外壁工事や足場設置なども発生するため、費用は上がります。ただし小さい子供がいて窓からの転落を防ぎたいという場合は、窓サイズを小さくするなど早めの対応が必要となります。

工事内容費用相場日数
窓を小さくする250,000円~500,000円3~5日

内窓を設置して断熱性をアップ

既存窓の内側に内窓をもう一枚設置することで、室内の断熱性を高めることができます。またこの内窓は防音や防犯対策にも有効。壁をわざわざ壊す必要がなく、比較的軽微な工事で済むため費用や工事日数も抑えられます。

工事内容費用相場日数
内窓増設
(180×170㎝)
80,000円~150,000円数時間~半日

低コスト、短時間で機能的な窓サッシにしたい方は内窓を設置してみてはいかがでしょうか?

風通しを良くするために窓を増設

室内に一か所しか窓が無い場合、風通しを良くするために窓を増設するリフォームするという方法があります。ただし壁の一部を壊したり、窓の位置によっては足場設置が必要となることも。

また家の耐震性を確保するために、構造上希望の位置に窓を増設できないケースがあります。窓の増設リフォームをお考えの方は、工事前に専用の業者に増設できるかどうか確認が必要です。

工事内容費用相場日数
増設(1か所)100,000円~300,000円2~5日

窓サッシをリフォームする際の注意点とは?

窓サッシをリフォームする場合、いくつか注意しなければいけないポイントがあります。リフォームを成功させるためにもこれからご紹介する注意点に気を付けましょう。

マンションのサッシリフォームには事前確認が必要

マンションで窓サッシをリフォームする場合、管理会社や管理組合へ事前に連絡をしておきましょう。それは分譲でも賃貸でも変わりません。無断で窓サッシリフォームを行うと後でトラブルに発生する恐れもあります。

分譲マンションには所有者が自由に変更できる「専有部分」とそれ以外の「共有部分」に分けられています。マンションによって窓サッシが共有部分と規定されていることもあるため、勝手に変更することは規定違反になる可能性も。

ガラスの交換だけならOKなのでは?と考えて、ペアガラスや複層ガラスに交換する場合も、ガラスの重量によっては既存のサッシが使えません。また建物の構造上や窓枠の状態によって工事自体ができないこともあります。

もしマンションで窓サッシを交換したい場合は、事前に管理組合などに確認しておきましょう。サッシの交換が出来なくても内窓設置は大丈夫な場合もありますので、そのような時には二重サッシにする工事に変更することをおすすめします。

賃貸住宅では原状回復が基本

賃貸のマンションやアパートでは、そもそも窓サッシのリフォーム工事ができないことがほとんどです。それは退去時に原状回復をしなければいけないため。

ただしサッシが閉まらないなどの不具合が生じた場合は、大家さん負担で直してもらえる可能性が高いでしょう。そのような場合は速やかに不動産会社を通じてサッシ修理をお願いしてみましょう。

窓の増設やサイズ変更の際は筋交いに注意

窓を新しく作る場合や窓サイズを大きくする場合、家の壁に入っている筋交いにぶつからないかを確認しましょう。筋交いは建物の強度を高めるため「×」の形で交差させている木材です。これは絶対に取り外せないため、筋交いにぶつからないように窓を作らなければいけません。

専門家や業者に家の設計図を見てもらうと、どこに筋交いが入っているか分かります。構造的に問題が無い場所はどこかを確認してもらってから窓を増設する場所を決めるようにしましょう。

リフォーム後のメンテナンス方法とは

窓サッシの交換リフォームの後、なるべく長持ちさせるためには定期的なメンテナンスが必要です。毎日のお掃除のついでにできるメンテナンスや大掃除の時にして欲しいメンテナンス法はこちらです。

サッシレールの掃除方法ホコリは掃除機で吸い取る。
こびりついた汚れは割りばしや使い古しの歯ブラシでこする。
アルミサッシの掃除方法水拭きで汚れを落としたら乾拭きをする。
汚れがひどい場合は中性洗剤を使い、水分は良くふき取る。
樹脂製サッシの掃除方法雑巾で水拭きし、細かい部分は歯ブラシで汚れを落とす
落ちない汚れには中性洗剤をかけて雑巾でふき取る

サッシリフォーム費用を安く抑えるには?

サッシの交換リフォームは工事内容によって費用が高くなることも。そこで少しでも費用を抑えるための秘訣をご紹介していきます。

断熱リフォーム補助金制度を利用する

「断熱リノベ」と呼ばれる「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」では、指定のガラスや窓を使用してリフォームすると補助金が受け取れます。基本的には戸建て住宅や集合住宅の所有者が申請者となり、常時居住しているなどの条件があります。

リフォーム工事を始める前に補助金を申請し、交付が決定したら工事を始める流れになります。窓のみの改修の場合は一戸建てが40万円、集合住宅が15万円を上限としています。お得に窓サッシ交換をしたい方はこのような補助金制度を利用してみてはいかがでしょうか。

施主支給でリフォームコストを下げる

施主支給でリフォームの費用を下げるという方法もあります。施主支給とは新しいリフォーム方法で、材料や部材を施主(依頼主)が自ら探して購入、取り付けや施工のみを業者にお願いするという方法です。

これなら希望に合った機能サッシをネットやホームセンターなどで格安で手に入れて、工事のみを請け負ってくれる業者を見つけられれば安くできます。ただし工事のみを請け負う場合は割高になってしまう業者もいるため、事前に施主支給は可能か?工事費用はいくらになるのか見積もりを取りましょう。