キッチンには定番の床下収納ですが、実は他の部屋にも便利な収納だということをご存知ですか?今回は床下収納をリフォームする際の注意点や費用相場について詳しく解説していきます。収納を増やしたいとお考えの方は、床下収納も候補の一つに入れてみてはいかがでしょうか。
床下収納とは?リフォームの前に覚えておこう!

床下収納リフォームにいくらかかるか知る前に、床下収納の種類や収納するのに適している物、床下収納を作れないケースなどを見ていきましょう。
床下収納には4種類ある
床下収納とはそもそも住宅の床下部分に扉を付けて、そこから物を出し入れする収納スペースのこと。日本の住宅は地面から45㎝以上床を上げなければいけないと、建築基準法で決まっています。つまり戸建て住宅には床下収納を作るために十分なスペースがあるということになります。
床下収納には主に4種類があります。それぞれの特徴や収納力について見ていきましょう。
床下収納の種類 | 特徴 |
扉式床下収納 | ボックス型で一般的な床下収納のタイプ。 価格は安価だが収納量が限られる。 |
スライド式床下収納 | 収納部分が床下でスライドできるようになる。 二つの収納に対して一つの扉を使うため、 モノの出し入れはやや不便なことがある。 |
跳ね上げ扉タイプの床下収納 | 畳一畳分の扉が開閉するタイプの床下収納。 和室などによく設置するタイプで長いもの入れられる。 |
床に扉を設けただけの床下収納 | 防湿対策がされ換気が良い床下では、 扉を付けただけの床下収納が可能。 手持ちの収納ボックスなどで新たな収納を作れる。 |
高気密高断熱住宅では、通常の床下収納を設置するとその機能が低下する恐れがあります。そこで寒冷地用や高気密高断熱住宅に対応している床下収納ユニットを選ぶようにしましょう。
床下収納のメリット・デメリットとは?
床下収納は他の収納場所と比べてどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?床下収納の特徴を良く理解し、対策を施した上で設置するようにしてください。
メリット | ・デッドスペースを利用して収納場所を増やせる ・比較的安く収納を増やせる ・床下にあるので目立たない ・床下の点検口としても利用可能 |
デメリット | ・低い位置に収納するため出し入れが不便 ・フタを設置する場合は見た目の統一感がなくなる ・床に段差ができてしまう ・施工不良により床がきしむことがある ・床下断熱の性能が落ちる場合がある ・湿気対策や結露対策が必要になる |
床下収納に適している物・適していない物
床下収納には、入れるのに適している物と適していない物があります。それぞれ具体的にご紹介していきます。
適している物 | 適していない物 |
使用頻度の低いもの 食品や消耗品のストック 腐らない物 子供の工作や思い出の品 | 3㎏以上の重い物 普段よく使う物 賞味期限の短いもの 湿度や温度の管理が必要なもの(人形など) |
上で示した通り、床下収納は毎日使う調理器具や適切な湿度管理が必要なものは適していません。というのも使うたびに床下の扉を開けて取り出し、使い終わったらまたしまうというのは思いのほか手間のかかる作業になるからです。
また湿度や温度が一定でないと劣化してしまうひな人形なども避けた方が良いでしょう。床下収納には腐らない食品のストックや、使用頻度の低いものを中心に入れるようにしましょう。
床下収納リフォームができないケースがある?
あるととても便利な床下収納ですが、リフォームができない住宅や構造上の場所があるということご存知ですか?いざ床下収納を設置しようと思ったら付けられないことが分かったということが起きないよう、あらかじめ設置できないケースについて覚えておきましょう。
マンションは空間が確保できない
マンションの床下は戸建て住宅のように地面との間に隙間がないため、床下収納は設置できません。マンションの構造上、床下には構造体のコンクリートが張られ、その上に木枠を組んで畳やフローリングを張っています。木枠の間には配管などが張り巡らされているため、床下収納を後付けできるようなスペースを確保できません。
もしどうしてもマンションで床下収納を作りたい場合は、既存の床の高さを上げて設置するという方法があります。ただし床を上げる分、天井までの高さが変わってしまいます。
建築基準法では「居室の天井高は2.1m以上にしなければならない」とされているため、思うような高さまで床を上げられないケースが発生します。また天井が低くなることで圧迫感を感じたり、キッチンの移設といった余分な費用がかかる恐れも。
基本的にマンションでは専有部分のみ手を加えても良い決まりになっているため、床上げ工事ができない場合もあります。マンションでリフォームする際はあらかじめ管理規約を確認するか、管理組合に相談することをおすすめします。
配管設備や基礎がある場所は適さない
床下に給排水の配管設備があったり、基礎や梁といった住宅を支える構造部材のある場所には床下収納を作れません。特にキッチンや洗面所など配管が床下に集中している場所に床下収納を作ろうと思ったらこれらのポイントに注意しましょう。
- 設置するためのスペースが確保できるか
- 漏水した場合、収納したものに被害が出ないか
- 配管のメンテナンス時に邪魔にならないか
住宅の構造に詳しくない素人がDIYで床下収納を作ろうとすると、間違って梁などをカットしてしまう恐れが。床下収納リフォームをする際には、必ず専門知識のある業者に依頼しましょう。
床下通風口をふさぐ場所は不向き
床下には風通しを良くするための通風口や、床下点検のため人が通れるように作ってある人通口という場所があります。そういった場所を床下収納でふさいでしまうと、今後の床下メンテナンスに支障が出てしまいます。
ゆくゆくは住宅の寿命を縮めることにも繋がりますので、通風口は人通口はふさがないよう気を付けましょう。
キッチンだけじゃない!床下収納におすすめの部屋
床下収納を設置できるのはキッチンだけではありません。様々な場所に応じた必要な物や、大きなものを収納出来る床下収納リフォームが可能。床下収納の扉を開閉するスペースがあればどこでも床下収納を作ることができるため、設置可能な場所を探してみてはいかがでしょうか。
和室の畳一枚分に大物を収納
和室には大きなものを収納出来る大容量の床下収納を作れます。畳一枚分をそのまま収納にすることで、長さのあるじゅうたんや大きな置物、五月人形やひな人形もすっぽりしまえます。
このような和室の床下収納は畳と下地を持ち上げる必要があるため、油圧式やガススプリングの力で簡単に開け閉めできるタイプが採用されています。力のない女性や高齢者でもスイッチ一つで畳を持ち上げ、簡単にフタを外せ、後はスプリングの力で軽々持ち上げられます。
ただし和室の床下収納では次のような点を注意して取り付けましょう。
- たんすなどの家具を置かない場所にする
- 床鳴り防止の対策を施す
- 断熱材の施工方法を変える
- 畳や下地の上げやすさに配慮する
洗面所の床下収納にはストック品を
洗面所に床下収納を付けると、洗剤やシャンプーなど消耗品のストックを入れておけます。洗面所は限られたスペースに洗面台や洗濯機などを置く必要があるため、思いのほか物が多い場所。床下収納を上手に活用して、あふれている物たちをスッキリ収納しましょう。
2階の床下収納は湿気の心配なし
床下収納は2階の床下にも取り付け可能です。1階の床下よりも深さは取れませんが、地面から離れているということで湿気の心配が少ないのがメリット。子供の症状や工作作品、昔の教科書や卒業アルバムなども入れられます。
ただし梁の場所が悪いと希望の場所に取り付けられなかったり、家の構造によっては床下収納自体設置できないこともあります。自宅の2階に床下収納を付けられるかどうかは、リフォーム業者に確認してもらいましょう。
キッチンには食品庫を付けよう
キッチンは床下収納を最も設置する場所で、ストック品や普段わない調理器具などを入れておくのにとても便利。開口面積が狭くてもスライド式でたくさんのものを収納できるタイプが大活躍してくれます。
しかし湿気対策をきちんとしないと中のものにカビが生えたり悪くなる原因にもなります。冬場は地面からの冷気や隙間風が入らないような施工をしたり、断熱工事をしっかりすることも重要です。
床下収納リフォームの費用相場とは?

床下収納を新設したり交換するリフォーム費用はどの位かかるのでしょうか?
床下収納を新設する
床下収納を新しく設置する場合は、どんな種類の床下収納庫を使うかによって費用の相場が変わります。
工事内容 | 費用相場 |
収納ユニット新設 | 10万~15万円 |
和室に床下収納を新設(1畳) | 20万~25万円 |
床下収納を新しく設置する費用は、通常の収納ユニットなら10万~15万円ほど、和室の1畳タイプの床下収納は20万~25万円が相場です。
床下収納を交換する
既存の床下収納を交換する場合、今までのものと同じサイズにするなら費用を抑えられますが、既存のものよりも大きな床下収納に変更する場合は価格が少し上がります。
工事内容 | 費用相場 |
床下収納交換工事 | 5万~8万円 |
床下収納交換リフォームにかかる費用は5万~8万円になります。
マンション床を上げ底にして床下収納を設置
マンションに床下収納を作る場合は、床の高さを上げる工事が必要になるため費用は高くなる傾向にあります。
工事内容 | 費用相場 |
マンションの床下収納工事 | 20万~30万円 |
床のかさ上げ工事も含む床下収納リフォームでは、20万~30万円ほどかかります。ただし床下に収納庫を入れられる空間がある場合は、戸建て住宅への新設工事と同じように10万円から施工が可能です。
床下収納リフォームをする場合の4つのポイント

床下収納リフォームをするにはいくつかの注意点やポイントがあります。床下収納をもっと便利に、使いやすくするためにこれらのことを押さえてリフォームしましょう。
一緒に床下点検口を作っておく
床下収納を新しく作る際に、床下点検口を同じタイミングで作っておくことをおすすめします。床下点検口とは床材を剥がしたり床を壊すことなく床下をチェックできる場所のこと。
特に一戸建ての床下に不具合が発生した場合、床下点検口がないと通常の修繕費の他に剥がした床の補修費用が余分にかかってしまいます。しかし床下収納と一緒に床下点検口を作っておけば床下の点検や補修工事もしやすくなります。
床下収納に点検口を追加で設置しても費用はほとんどかかりません。今後の床下メンテナンスのことを考えて、できるだけ同じタイミングに作っておきましょう。
日常生活の動線を考えて作る
いくら開口部が小さいといえども、床下点検口の扉部分には段差ができてしまいます。特に小さい子供や高齢者がいる家庭では、この段差につまづいて転倒しないように設置場所を考えて取り付けましょう。
転倒しやすい子供や高齢者がよく通る通路は避けて、普段立ち入らない場所に設置したりじゅうたんなどで段差を解消するのがおすすめ。同居家族みんなの日常生活の動線を考えて、床下収納を設置するようにしましょう。
しまい忘れを防ぐには収納チェック表を作る
床下収納は目の届かない場所に収納するため、どこに何をしまったか分からなくなることが起こりがち。そこでどこの場所に何を収納したかが一目で分かる収納チェック表を作っておくことをおすすめします。
この収納チェック表にはストック食品の賞味期限なども一緒に記入して置けば、使い忘れや食品ロスも防げます。収納チェック表を上手に活用して、しまい忘れを防ぎましょう。
湿気対策を十分にしよう
床下は地面との距離が近く、水道管や排水管との距離が近いいため湿度が一年中高い場所。キチンと湿気対策を取らないとカビが発生したり、中に入れたものが劣化する恐れがあります。中にしまう物は湿気に強いものを選ぶことはもちろんですが、収納庫の湿度を下げるために下記のような対策を取るようにしましょう。
- 収納庫の底に新聞紙を敷く
- 除湿剤を入れる
- ものを詰め込み過ぎない
また定期的に中のものをすべて出して、収納庫の掃除をすることも湿気対策には有効。収納庫の掃除はしまい忘れを防ぐのにもおすすめです。最低でも半年に一度はしまったものをチェックしながら清掃をして、収納庫を清潔な状態にしましょう。
家族の生活動線や家の構造を考えて床下収納を作ろう
床下収納は床下というデッドスペースを利用する収納方法ということで、使い方次第ではとても簡単に大容量の収納力を得られます。キッチン以外にも二階や洗面所、和室にも作れますので家の収納が足りないという方におすすめのリフォーム。
ただし床に段差が出来たり住宅の構造によっては設置できないなどのデメリットがあります。家族の生活動線や床下の状態をしっかり把握して、安全に使いやすい床下収納へリフォームしましょう。