ある日突然、天井から水滴が!急に雨漏りが発生したらどう対処したらいいのでしょうか?今回はすぐできる雨漏りの応急処置法や、自分でもできる補修方法をご紹介。雨漏りの主な原因や業者に頼む場合の費用相場も解説していきます。
雨漏りが発生したら!すぐにできる応急処置をご紹介

突然の雨漏り、ほとんどの人は慌ててどうしたらいいのか分からなくなるはずです。間違った応急処置をしないためにも、まずは自分自身を落ち着かせることから始めてください。
一息ついて冷静になったら、その被害を最小限にするために、すぐできる応急処置をしていきましょう。
まずはどの部分から雨漏りしているかをチェック
雨漏りが発生したら、まずはどの部分から雨漏りしているのかを室内側からチェックします。雨漏りをしているということは、外は強い風や雨が吹き付けている場合があります。外に出て屋根に登る行為は危険ですので、絶対に避けてください。
雨漏りするのは主に次のような箇所です。実際に触ってみたり、目視してチェックしてみましょう。
雨漏り箇所 | 詳細 |
屋根 | 雨漏りで最も多い場所。上からポタポタ落ちてくるなら屋根が原因。 台風時は雨と風が同時に吹き付けるため、瓦がずれて浸水することも。 |
壁 | 外壁材自体が劣化して雨漏りすることがある。 サイディングボードの隙間を埋めるシーリングの劣化が原因のことも。 |
窓 | 普段から開け閉めすることで摩耗しやすい場所の一つ。 窓枠のゆがみからサッシとの間に隙間ができることがある。 |
ベランダ | ベランダの防水材の劣化によりひび割れや剥がれが発生する。 防水シートを張ってある場合は穴や裂け目から水が入ることも。 |
屋上 | コンクリートの劣化やひび割れ、排水溝の詰まりが原因となる。 建物自体の劣化を防ぐためにも定期的なメンテナンスが必要。 |
天井部分の雨漏りには防水シートとバケツで応急処置
天井部分からの雨漏りを見つけたら、床が濡れるのを防ぐ必要があります。家の中にある新聞紙やレジャーシート、防水シートやブルーシートなどを敷いた上に、雨漏り箇所の真下にバケツを置きます。
新聞紙などを下に敷くのは室内の水濡れを防ぎ、バケツからの水しぶきで床を濡らさないため。バケツの中に雑巾や新聞紙などを敷いておくと、さらに周囲に水が跳ねるのを防げます。
屋根裏に入れるならブルーシートで室内への侵入を防ぐ
押入れの天井などから屋根裏に入れる場合は、ブルーシートなどを使って室内に雨水が侵入するのを防ぎましょう。その場合も屋根のどの部分から水が漏れているのか確認することが大切になります。
屋根裏側からの雨漏り箇所が分かったら、室内での処置と同様にブルーシートの上にバケツなどを置いて、雨水を受けてください。バケツ一杯に水が溜まってしまうと、バケツの周囲に水が溢れてしまいます。大変かと思いますが、なるべくこまめにバケツの水を捨てるようにしましょう。
窓やサッシ部分からの雨漏りはごみ袋を使用
窓やサッシの隙間から雨漏りしているなら、雨戸や網戸があれば、その位置を反対側に変えてみることで雨漏りが止む場合があります。それでもダメなら雨漏りの広がりを防ぐ処置を行います。
カーテンを濡れたままにしておくと、カビや変色の原因となりますので速やかに取り外しましょう。濡れている窓枠の下にごみ袋やビニール袋などをあてがい、水の広がりを防ぎます。後は乾いたぞうきんや使わないタオルなどで雨漏りしている箇所の水を吸うように押し付ければOK。
窓やサッシ部分からの雨漏りは風の強い横殴りの雨の日に起こることが多くあります。雨戸や網戸で風雨の勢いを弱められれば雨漏りのひどさを防げることがあります。
屋根からの雨漏りの主な原因とは?

雨漏りしている箇所が特定できて応急処置がすんだら、屋根からの雨漏りの主な原因について見ていきましょう。
屋根材の劣化による隙間の発生
屋根材というのは日々太陽光や風雨にさらされ、紫外線によるダメージや酸性雨、潮風などによって次のような劣化が起こります。
- 塗装の剥がれ
- 漆喰の崩れ
- スレートや瓦の割れ
- 金属製屋根材のサビ
- コケやカビ、ホコリの付着
- コーキングの痩せや断裂
以上のような劣化によって、本来屋根が持つべき防水機能が失われて雨漏りが発生するという仕組みです。
さらに屋根材を適切なタイミングでメンテナンスしていないと、このような劣化が放置され、さらに防水機能を失うスピードが速まります。屋根本体だけでなく、庇や雨どいなどの屋根部材も定期的にメンテナンスして、屋根の防水機能を保持するようにしましょう。
築浅なら施工不良や手抜き工事の可能性も
新築で建ってから間もないのに雨漏りがしてきたという場合は、施工不要や手抜き工事が原因のことも。故意による手抜き工事はもちろんですが、業者の経験不足や知識不足による施工上のミスでも雨漏りが発生してしまいます。
このような雨漏りは絶対に起こらないとは言い切れません。施工不良や手抜き工事を回避するためには、なるべく実績が豊富で評判の良い優良業者に建築やリフォームを依頼しましょう。
台風や強風で瓦やスレートが破損・ズレが生じた
台風や強い風、地震によって屋根瓦やスレート材がずれたり割れるということも、雨漏りの原因としてよくあります。また強い風で飛んできた大きなもので瓦が割れたりヒビが入ることも考えられます。
何らかの原因で屋根材がズレた場合、その隙間から雨水が侵入して雨漏りとなるのです。そのため台風や地震などの自然災害の後は、瓦がズレたり破損していないかをチェックするために、家の周囲や屋根を見て回ることをおすすめします。
漆喰の崩れや浮き
瓦屋根では瓦を支えるための漆喰が盛られています。この漆喰が崩れていたり、劣化していると雨漏りの原因となります。漆喰とは瓦の下の土台として使用される土や粘土のような状態の建築材。土台の漆喰が大きく崩れたり、何カ所も崩れていると、そこから雨水が侵入しやすくなります。
これは漆喰自体の劣化や強風、地震などが原因として考えられます。他にも屋根の棟板金がゆがんだり浮いていると、そこから漆喰の劣化が始まり瓦を固定する力が弱くなってしまうことも。
棟板金や漆喰の早急な補修が必要となりますので、棟の撮り直しや漆喰の打ち直しなどのメンテナンスを検討してください。
屋根を固定している釘の浮き
屋根が金属屋根の時、屋根を止めている釘がサビや劣化で浮いてしまうと、そこから雨水が侵入する恐れがあります。金属屋根の他にも棟板金を使用する屋根材の場合でも同様の症状が現れることがあります。
最も雨が漏れやすいとされている場所は「谷樋板金」です。谷樋板金とは屋根と屋根の取り合い部に使われている部材で、屋根同士を接続するために用いられています。
ちょうど谷のように雨水や雪を集中させる部分のため、板金の腐食が早い場所でもあります。そのため谷樋がある複合屋根の住宅では、屋根メンテナンスの際は必ず谷樋をチェックするようにしましょう。
屋根の雨漏り修理はDIYで出来る?

雨漏りの応急処置で急場をやり過ごし、雨漏りの原因が分かったら雨漏りの修理が必要となります。果たして雨漏りの修理は素人でもDIYで出来るのでしょうか?
室内側からできるDIYでの修理方法とは
まずは比較的簡単にできる、室内側からの雨漏り修理方法をご紹介していきます。材料はホームセンターなどで気軽に手に入る物ばかり。これからご紹介する内容を参考にして、室内側からの修理を行ってみましょう。
防水テープやコーキング材を使った修理方法
防水テープやコーキング材で雨漏り箇所をふさぐという修理方法があります。特に屋根裏や窓サッシへの使用が効果的です。アルミ製の防水テープやシリコン素材のコーキング材など、防水機能を持つ素材で雨漏りを防ぐことができます。
【防水テープによる修理方法】
- テープを貼る場所を掃除して、ホコリや水分などをふき取る
- テープ通しが重なり合う範囲を少なくして、流れる方向の逆から貼っていく
- 空気が入らないように慎重に、被害か所のみに貼る
【コーキング材による修理方法】
- 雨漏り箇所を掃除して、周囲にマスキングテープを貼る
- 接着力を上げるためにプライマーを散布
- 乾いたらコーキング材を被害か所に充填
- コーキング材が乾く前にマスキングテープを剥がす
以前充填したコーキング材にヒビや剥がれがあった場合は、古いコーキングを剥がして新しいものを再び施工しましょう。
防水テープで雨の侵入口をふさぐことも効果があります。ただし、これらはあくまでも応急処置になります。屋根からの雨漏りが根本的に解決したわけではありませんので、次の手段を講じる必要があります。
壁紙の浮きや剥がれを補修
雨漏りが原因で天井や壁のクロスが浮いたり剥がれている場合、その被害が限定的であればDIYでの補修が可能です。クロスの一部分が剥がれている程度なら、ジョイントコークなどの壁紙用接着剤を使用して補修できます。
- 下地を確認して汚れや水気はしっかりふき取る
- 下地にジョイントコークを塗りパテベラで塗りムラなく広げる
- めくれた方向と反対にクロスをおさえて貼りつける
- ローラーを掛けて下地と壁紙の隙間に入った空気を抜く
しかしクロスが完全に剥がれてしまったり、既存のクロスの劣化が激しい場合は新しい壁紙へ貼り替えることをおすすめします。雨漏りが壁に発生した場合、壁紙の下の下地がカビていることがあります。
そのような場合は下地自体を新しいものへ交換したり下地の補修工事が必要に。内装専門の業者に下地の状態も併せて見てもらうと良いでしょう。
雨染みは漂白剤でキレイになる
雨漏りによって壁や天井にシミができた場合、漂白剤を使うとキレイに落とせることがあります。その前に中性洗剤を使ってスポンジなどでこすり落とすという方法がありますが、汚れの程度によっては中性洗剤では落とせないことも。
そこで家庭用の漂白剤を使って雨染みを落としましょう。
- 漂白剤を水で1~5%程度に薄める
- シミ部分に霧吹きで塗布
- 吹き付けた部分を水拭き
- 乾いた布で水分を取る
ただし木目模様のある化粧板に漂白剤を使うと、模様が消えてしまうことがあります。また漂白剤を付けた部分だけ白くなってしまう恐れもあります。そのためまずは目立たない部分に試しに使ってみて、変色しないかを確認することをおすすめします。
屋根に登っての修理はDIYでは難しい
ここまで室内側からDIYで出来る補修方法をご紹介してきましたが、屋根に登っての修理は素人でも可能なのでしょうか?結論から申し上げますと、屋根に登ってDIYでの修理は、転落などの危険が伴うためおすすめできません。
屋根修理のプロでさえ時には大事故が発生するのが屋根の上での作業です。慣れない人が自力で屋根を修理しようとすると、屋根から転落して大けがを負ってしまう恐れがあります。
さらに雨漏りの原因というのは、外見からでは分からない屋根の内側で起こることもあります。屋根の構造や雨漏りについて知識のない人が容易に修理しようとすると、排水のための穴をふさいでしまい雨漏りがかえって悪化する原因にも。後々再修理となると、高額な費用を取られることにも繋がりますので、屋根の雨漏り修理はプロにお任せしましょう。
屋根の雨漏り修理を業者に依頼する場合の費用相場は?

屋根に登っての雨漏り修理を業者に依頼した場合にはどの位の費用がかかるのでしょうか?本格的な修理の前の応急処置から、大規模な屋根工事の費用までを詳しく解説していきます。
屋根にブルーシートやビニールを掛ける
屋根にブルーシートやビニールをかぶせるという応急処置があります。台風被害や豪雨災害など広範囲で被害が発生すると、屋根修理をしてもらえるまで数か月単位でかかることがあります。そこで雨漏りを防ぐために、屋根をブルーシートなどで覆う処置が必要となります。
工事内容 | 費用相場 |
ビニールシート掛け | 3万~5万円 |
ブルーシート掛け | 5万~7万円 |
屋根の上での作業は基本的に二人一組で行いますので、たとえ2~3時間ほどの作業であっても3万~7万円程の費用がかかります。屋根にブルーシートをかけるだけなら自分でもできるかもと思われる方もいるかもしれませんが、自分で屋根に登ってけがを負うことを想像したら安い出費だと考えましょう。
雨漏り原因を特定する調査
プロに雨漏り修理を依頼すると、まず様々な調査をして雨漏り箇所や雨漏りの原因を特定します。雨漏り箇所が分からなければ、そもそも修理ができませんので、雨漏りを直すには原因の調査が重要です。雨漏りの原因を特定する調査には次のようなものがあります。
工事内容 | 費用相場 |
発光液調査 | 5万~20万円 |
散水調査 | 10万~30万円 |
赤外線サーモグラフィー調査 | 10万~40万円 |
目視調査 | 無料 |
発光液調査とは、紫外線を当てると光る特殊な液体を屋根や壁に流して、雨水の侵入経路を特定する為に行われます。これは雨漏りの範囲に応じて5万~20万円程かかります。
10万~30万円が平均価格の散水調査は、雨漏りしやすい箇所にホースで水を屋根にかけて雨漏りの状態を見ます。場合によっては足場が必要となりますので、20万円前後かかります。
赤外線サーモグラフィー調査は散水調査では分かりにくい雨漏りを発見するのに便利。例えば断熱材などをサーモグラフィーで見ると、雨漏り箇所が温度が低く表示されます。
赤外線により目に見えにくい雨漏り箇所を特定できるのです。赤外線サーモグラフィー調査にかかる費用は10万~40万円です。
屋根材の部分補修や部材交換
雨漏りの原因が部分的なら、屋根材の部分補修や部材の交換で対応可能です。部分的な修理には次のような費用がかかります。
工事内容 | 費用相場 |
瓦・屋根材の差し替え | 3万~5万円 |
雨どい・棟板金の交換 | 8万~10万円 |
谷板金交換 | 2万~5万円 |
漆喰の塗り直し | 10万~30万円 |
シーリング工事 | 1万~5万円 |
足場設置費用 | 10万~20万円 |
瓦や屋根材の部分差し替えには3万~5万円、雨どいや棟板金の交換には8万~10万円ほどかかります。また漆喰の部分的な塗り直しでは10万~30万円前後、いずれの場合も足場が必要であれば10万~20万円の設置費用が追加で必要となります。
上記の修理金額は建坪30坪程度の住宅を想定しています。原因や補修箇所にもよりますが、部分的な雨漏り修理であれば30万円が相場だと覚えておくと良いでしょう。
全体的な補修が必要な場合
屋根材の劣化が全体的にひどい状態だったり、今は限定的な雨漏りであっても遅かれ早かれ他の場所に雨漏りが発生するような場合は、屋根の全体的な補修が必要になります。
全体的な屋根の修理には次のような種類があります。
修理方法 | 詳細 |
塗装工事 | 屋根材全体の防水機能を高める目的の修理。 全体的な補修だが屋根下地に劣化が見られない場合に行う。 塗料の種類によって費用や耐用年数が異なる。 耐用年数が高い順にフッ素塗料、シリコン塗、ウレタン塗料となる。 |
重ね葺き | 既存の屋根の上から新しい屋根材をかぶせる工法。カバー工法とも言う。 工事期間は1週間~10日ほどと比較的短いが、瓦屋根にはできない。 |
葺き替え | 既存の屋根材を撤去して新しい屋根材に取り換える工法。 屋根材の種類によって葺き替えの目安時期が異なる。 費用や工期がかかるが、屋根の機能を高めたり、屋根を軽くすることが可能。 |
建坪30坪の住宅に上のような屋根工事をしたときの費用相場はこのようになります。
工事内容 | 費用相場 |
塗装工事 | 40万~80万円 |
重ね葺き | 60万~120万円 |
葺き替え | 60万円~200万円 |
塗装工事は使う塗料によって変動しますが、40万~80万円ほどが平均。重ね葺きは60万~120万円、葺き替えは60万~200万円が相場の価格となります。
屋根の雨漏りを見つけたら室内で応急処置をして修理は業者に依頼
屋根雨漏りの応急処置は、室内や屋根裏からできるものであればDIYでも可能です。ただし雨漏りの根本的な原因や雨漏り箇所を特定するには、プロによる綿密な調査が必要となります。またその後の修理に関しても、屋根の構造や雨漏りの原理に詳しいプロの業者にお任せしましょう。
屋根雨漏りの修理にかかる費用は、修理箇所や破損の状況によって変わってきます。部分的な修理なら部材の交換などで済みますが、屋根全体に及ぶ劣化では屋根塗装や葺き替えが必要に。費用が100万円以上かかることもありますので、工事の前には必ず複数社から見積もりを取って、工事の相場を知りましょう。