屋根塗装の基礎知識をしっかり解説!費用相場や業者の選び方とは?

屋根は家を風から守るという大切な役割があります。同時にいつも外部と接している場所のため、定期的なメンテナンスが必要になることも。今回は屋根塗装に関する基礎知識から費用の相場、安くなる秘訣などをご紹介していきます。

業者に依頼する前に!知っておきたい屋根塗装の基礎知識

屋根塗装には屋根材や塗料の種類によって適切な塗り替え時期があります。まずは屋根塗装の基礎知識を身に付けて、最適な方法でメンテナンスをしましょう。

屋根塗装が必要な屋根材・不要な屋根材

実は屋根材には塗装が必要なものと塗装をしなくてもよいものがあるのをご存知ですか?すべての屋根材に塗装が必要だと思われるかもしれませんが、そうではありません。屋根塗装を検討する時期になったら、自宅の屋根材にどんな素材が使われているのか確認することからはじめてください。

屋根塗装が必要な屋根材・スレート
・セメント瓦
・コロニアル
・モニエル瓦
・金属屋根
屋根塗装が不要な屋根材・日本瓦(粘土瓦)

上記のように古くからの和風住宅に用いられている日本瓦や粘土瓦と呼ばれる屋根材には塗装が必要ありません。日本瓦は耐久性が非常に高く、耐久年数は100年以上です。

ただし日本瓦以外の屋根材では定期的な塗装によるメンテナンスが必要となります。月日が経つほどに色褪せなどの劣化が目立つ場所でもあるので、雨漏りを防止する意味でも適切に塗装を行いましょう。

こんな状態なら塗装すべき!屋根の状態をセルフチェック

では屋根にはどんな劣化症状が現れ、どんな時に塗装が必要になるのでしょうか。屋根材はそれぞれの住宅で材質が異なり、お住いの地域の環境によって現れる劣化症状も様々。

劣化のサインを見逃さず適切にメンテナンスするには、屋根にはどんな症状が現れるのかをあらかじめ知っておくことが重要になります。お宅の屋根に以下のような症状がある場合は、塗装を考える時期と言えるでしょう。

  • ひび割れしている
  • 汚れがひどい
  • 金属部分が腐っている
  • コケやカビが生えている
  • 塗装の剥がれ
  • 塗装の色褪せ
  • 雨漏りがある
  • 15年以上屋根塗装をしていない

その際には自分で屋根に上って点検するのは危険なのでおすすめできません。必ず専門の業者に依頼してチェックしてもらいましょう。動画や写真を撮ってもらうと、自分の目でも確認できるのでおすすめです。

ただし次のような状態の場合は、塗装だけでは直せないこともあります。

  • 下地材の腐食やひび割れ
  • 複数個所の雨漏り

このように屋根材のダメージが深刻な場合は、塗装し直しても雨漏りが止まない可能性が高いでしょう。もしこういった症状がある時は、塗装ではなく葺き替えや重ね葺きで対処する必要があります。

屋根材によって耐用年数や塗装の回数が違う

冒頭でも少し触れましたが、使っている屋根材の種類によって耐久年数や塗装の頻度が異なります。家で使っている屋根材の耐久年数をきちんと把握して、実際の状態と併せて塗り替えのタイミングを見極めましょう。

屋根材の種類耐用年数塗装回数
スレート20~25年8~10年ごとの塗り替え
セメント瓦30~40年10~15年ごとの塗り替え
トタン15~20年7~10年ごとの塗り替え
ガルバリウム鋼板30~50年10~25年ごとの塗り替え

2回目以降の塗り替えの頻度については、使用する塗料の耐用年数で決まります。一般的には7~15年で塗り替えが必要になると考えましょう。

さらに傾斜のない陸屋根(りくやね)では防水塗装が必要となります。この防水塗装の塗り替え頻度は8~12年程度となっています。

屋根塗装に使う塗料の種類と費用相場

では実際に塗装に使う塗料の種類や特徴、費用相場を見ていきましょう。屋根塗装に使われる塗料はウレタン・シリコン・フッ素の三種類と、遮熱塗料と断熱塗料という機能性塗料になります。

塗料の種類塗料の特徴耐用年数 費用相場
(㎡当たり)
ウレタン塗料様々な屋根材に塗装できる
密着性・耐候性・防水性が高い
8~10年1,800~2,000円
シリコン塗料屋根材の塗料として最も普及
光沢性や耐久性に優れている
10~15年2,000~2,500円
フッ素塗料一般住宅には比較的費用が高い
防汚性や耐久性が高い
15~20年3,000~4,000円
遮熱塗料太陽光を反射して室内の温度を下げる
エコの観点でも優れた次世代塗料
15~20年3,000~5,000円
断熱塗料断熱と遮熱機能を併せ持つ
高機能で高品質なため価格が高い
15~20年3,000~5,000円

塗料には種類や機能が様々です。どの塗料を選んだらいいのか分からないという方は、専門業者に相談しましょう。お宅の屋根材にピッタリの塗料を、豊富な知識から選んでくれるはずです。

屋根塗装の色選びのポイントとは?

実際に使う塗料の種類や機能が決まったら、次は塗料の色を考えましょう。普段見上げても屋根はそれほど目につかないため、気にしないという方もいるかもしれません。しかし外観を整えたり熱を吸収しにくくするには塗料の色選びもしっかり行う必要があります。

【おすすめの色】

グレー系ほとんどの外壁色に合わせやすく失敗が少ない。
新築の家でも多く採用されている人気色。
黒よりも熱を吸収しにくく、汚れが目立ちにくい。
ブラウン系外壁との調和がとりやすく、落ち着いた雰囲気になる。
景観や家廻りとの相性が良く、色にこだわりのない方にもおすすめ。

【おすすめしない色】

白系白系の塗料は汚れが目立ちやすい。
原色系経年による色褪せが目立つ。

屋根の面積を調べて費用相場を計算しよう

必要な塗料の量や工事にかかる費用を知るには屋根の面積を求めることから始めましょう。屋根の面積はこのような計算式で求められます。

屋根面積=屋根投影平面積×勾配伸び率

屋根投影平面積とは、「床の面積+軒の出」によって算出できます。建物の平面図から「床面積」と「軒出面積」を計算してそれらを足すことで屋根の平面積を求めます。屋根は軒部分が壁よりも突き出しているため床面積よりも広くなり、軒の出が長いほど屋根の平面積も比例します。

勾配伸び率は水平寸法に対する斜面の長さを求める倍率のこと。これは家の立面図の屋根付近に「4/10」や「5/10」と書かれている「分数勾配」によって求めます。

この4/10というのは、10mの水平寸法に対して4mの勾配が付いているということを表しています。そして勾配伸び率を実際に出すには、インターネットを使い「勾配伸び率一覧」と検索し、4/10と書かれている部分の数字を探し出します。

こうして算出した屋根投影平面積と勾配伸び率をかけ合わせれば、実際の屋根面積が求められます。屋根は床面積よりも大きく、勾配が付いているためこのような計算式になるという訳です。

屋根塗装の作業工程とは?工事日数もご紹介

屋根塗装の費用相場を知るには、実際にどんな作業を行うのかを知ることが重要になります。しなくてもいい作業が余分に追加されると費用がかさんでしまいますし、いくら安くても必要な作業を飛ばしてしまうと後々不都合が出ることも。

工事日数作業内容
半日~1日仮設足場組立
半日~1日高圧洗浄による屋根洗浄
半日~1日下地処理~養生
各1日下塗り・中塗り・上塗り
半日~1日手直し、点検
半日~1日仮設足場解体、清掃

屋根の塗装は通常、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが標準です。この工程を省いてしまうと塗料の耐久性や機能を十分発揮できないこともあります。塗料メーカーでも3回塗りが推奨され、3回塗りを基準とした塗料を発売しています。

工程の省略は手抜き工事や施工不良が起こる大きな原因となりますのでご注意ください。屋根の面積や現状によって異なりますが、屋根塗装にかかる日数は5日~1週間程度です。ただし不安定な天候が続けば1週間以上かかってしまうこともありますのでご注意を。

屋根塗装はDIYでもできる?

なるべく費用を抑えたいから、屋根塗装は自分でしたいという方もいるかもしれません。確かに費用面だけを見るなら業者に依頼するよりもかなり安く抑えらえます。

しかし足場塗装をするには足場設置は欠かせません。足場だけならレンタルで借りることも可能ですが、5mを超える足場を設置するには専門の資格が必要となります。さらに屋根に塗る塗料には「基準塗布量」が決められており、広い屋根全体を同じ厚みでまんべんなく塗るという技術が求められます。

そう考えると屋根塗装を自分で行うことは、DIYの中でもかなり難易度が高いと言えます。自分で屋根塗装をするのに使う時間や労力とクオリティを天秤にかけてみると、実は業者に依頼した方が結果的に費用を抑えられるという場合がほとんどです。

屋根材質別の費用相場とその内訳とは

では屋根材別の費用相場や内訳を実際に見ていきましょう。お宅の屋根材ではどの位の費用がかかるのか参考にしてください。

屋根材別の費用相場と内訳

屋根塗装費用は塗料代や足場代に人件費や諸費用をプラスした合計金額になります。実際の工事内訳と費用相場はこちらです。

工事内訳詳細費用相場
仮設足場・養生費足場代は㎡当たり700円~1,000円
養生費は㎡当たり100円~300円
20万~30万円
塗料代屋根面積×塗料価格(㎡当たり)15万~40万円
工事費(人件費)一日一人当たりの人工(にんく)で計算25万~40万円
諸費用工事費用の3~5%2万~6万円

そしてトタン・スレート・セメント瓦という一般的な屋根材に、ウレタン・シリコン・フッ素塗料を塗った時の建坪別の費用相場は下記のようになっています。

屋根材建坪ウレタン塗料シリコン塗料フッ素塗料
トタン屋根30坪26万~30万円28万~35万円50万~68万円
40坪36万~40万円38万~45万円66万~90万円
50坪46万~50万円48万~55万円83万~110万円
スレート屋根30坪23万~30万円27万~37万円50万~68万円
40坪31万~40万円37万~51万円66万~90万円
50坪38万~50万円46万~63万円83万~115万円
セメント瓦30坪28万~30万円35万~38万円47万~53万円
40坪37万~40万円47万~50万円62万~70万円
50坪46万~50万円58万~63万円78万~88万円

こちらはあくまで参考価格です。屋根の状態や家の立地によっても費用が異なりますので、詳しくは業者に見積もりを取って確認しましょう。

費用相場はお住いの地域で異なる

屋根塗装にかかる費用はお住いの地域の環境によって異なる場合があります。というのも使う塗料の種類や作業工程がそれぞれ変わってくるためです。例えば海が近い場所の家の屋根が金属製だった場合、潮風でサビやすく塗装の頻度が高まることで結果的に塗装費用がかさむということが考えられます。

他にもこのような地域では費用が高くなり場合があります。

  • 雨が多い地域…防水効果のある塗料や耐久年数が長い塗料を使うため費用が高くなる。
  • 雪が多い地域…屋根材の主流は雪の滑りの良い板金屋根。潤滑性のある塗料を使うことになるため費用がかさむ。
  • 台風の多い地域…屋根がダメージを受けることが多く、塗装や修理の頻度が高まる。
  • 海岸付近の地域…錆止め機能のある塗料を使い、塗装回数を多くする必要がある。

屋根塗装の費用を安くする秘訣とは?

一度のメンテナンスで30万以上はかかる屋根塗装ですので、なるべく費用を抑えたいはず。そこでいくつかのコツや秘訣をご紹介していきますので参考にしてください。

外壁塗装と同じタイミングでリフォームする

外壁塗装も屋根塗装と同じタイミングで行うと、結果的に費用を抑えることができます。それはどちらの工事にも足場を設置する必要があるという理由から。

それぞれの工事を別々で行うと、足場代が2回分かかってしまいます。そこで外壁塗装と屋根塗装を一緒にすることで、1回分の足場代を浮かせられるという訳です。特に新築で建ててから10年以上経っている家の外壁は、塗り替えの時期でもあるため屋根と外壁を一緒に塗装することをおすすめします。

閑散期に工事を依頼

屋根塗装をあえて仕事が忙しくない閑散期にしてもらうことで、費用を抑えるという方法もあります。屋根塗装は春や秋が気候的に適しており、3~5月や9~11月の繁忙期には価格が高めに設定されています。そこで工事価格が安めの6~8月や12~2月の閑散期に依頼をすれば、費用を抑えられるという訳です。

ただし塗料には次のような使用条件があり、場合によっては塗装工事が中断することもあります。

  • 外気温が5度以下…塗料の伸びに影響を及ぼし品質が低下する
  • 雨が降っている…塗料の硬化が阻害され耐久性や見た目に影響する
  • 湿度が80%以上…塗料に悪影響を及ぼすため使用を控える
  • 梅雨時期…何日も雨が続く場合は塗装の予定が立てられない
  • 降雪時期…塗料の硬化を阻害したり、足元が悪くなり作業に支障が出る

屋根塗装は上記のような条件をクリアした場合に行えるように注意し、閑散期でも塗装に適したタイミングを見つけられれば費用を抑えることも可能です。

遮熱塗料を使えば補助金を受け取れることも

遮熱効果のある塗料を屋根塗装に使うことで、省エネ性能を高めたと認められれば補助金を受け取れることもあります。いわゆる「省エネリフォーム」というもので、太陽光パネルの設置やLED照明の設置でも受けられる補助金制度です。

自治体ごとに条件や使用する塗料の種類が決まっている場合がありますので、詳しくはお住いの自治体窓口までお問い合わせください。

相場価格を知って相見積もりを取る

屋根塗装にかかる費用の相場が分かったら、業者に相見積もりを取ってさらに費用を抑えましょう。相見積もりというのは複数の業者から見積もりを取ることで、リフォーム工事では当たり前のように行われています。3社程度を目安に、同じ条件で見積もりを取って金額や内容を比較してみてください。

ここでチェックするのは価格の安さだけではありません。必要な手順を踏まえているか、内容が具体的に示されているか、価格が他の業者とかけ離れていないかを見極めましょう。安すぎる業者は手抜きの可能性もありますし、施工段階で追加工事が発生して結局高くなってしまうということも考えられます。

屋根塗装をしてくれる業者の選び方

自分で選んだ業者や訪問してきた業者に、工事を依頼しても本当に大丈夫かを判断するのはとても難しいことです。そこでいくつかのポイントをご紹介しますので、業者を選ぶ際の参考にしてください。

見積書の詳細がキチンと記載されているか

相見積もりを取った際にチェックして欲しいのは、見積書の詳細がきちんと記載されているかどうかです。例えばどんな工程でどこのメーカーのどんな塗料をどの位使うかなど。優良業者はこのように工事の詳細をお客さんに詳しく提示してくれます。

また単価に関しても相場があるので、一緒にチェックしましょう。逆に相場よりも高すぎる単価や一式工事で単価が示されていない見積書を出す業者は、悪徳業者の可能性も。素人でも分かりやすい見積もりを作るかも業者選びのポイントになります。

無料点検と言って訪問する業者に注意

たまに屋根の無料点検をしますと言って家に業者が訪れますが、ここにも悪徳業者が紛れている可能性があります。もちろん中には優良な業者もいるでしょうが営業に人件費を投入している分、費用が高くなりがちです。

悪徳業者の場合は、半ば強引に屋根に上がり調査を始めることも。時にはわざと屋根材を傷つけて「屋根塗装をしないとダメになりますよ」と言ってくる業者もいます。優良な業者は訪問でお客さんを探さなくても仕事があるということを頭に入れて、訪問してくる業者には気を付けてください。

大幅な値引きや安すぎる見積もりに気を付ける

10万円以上の大幅な値引きや、安すぎる見積もりを出す業者にも注意が必要です。これまでご紹介した通り、屋根塗装には相場というものがあります。あまり安すぎる工事内容では手抜き工事や施工不良となる可能性も。

また10万円以上の大幅な値引きは、そもそもの見積もり価格が適正でない場合があります。客の心を掴むためだけに、あらかじめ高く設定した金額から「大幅値引きします」や「キャンペーン中だけの特別価格」と言って値引きをするのが特徴です。

優良な業者はそもそも適正な価格を初めから提示してくれます。たとえ値引きをしてくれたとしても、10万円以上になることはほとんどないことを覚えておきましょう。

不安をあおったり契約を急かしたりしないか

業者の中には「屋根をすぐ直さないと大変なことになります」と危機感をあおるような話をして契約を急かす人間もいます。これはお客さんに今すぐ修理が必要だと思わせるための手口です。また契約を急かすのは、じっくり考えたり他の人に相談されるのを防ぐため。

屋根に穴が開いたというような状態でもない限り一刻を争う物でもありませんし、穴が開いたとしてもブルーシートをかぶせるなどの応急処置が可能です。ここで焦ってしまうと工事の仕上がりが満足できない結果にもつながりかねません。業者選びはじっくりと時間をかけて、納得がいくまで検討しましょう。

屋根塗装は塗料や業者の選び方がポイント

屋根塗装を成功させるには、屋根材に合った塗料を適切な頻度で行うことが大切です。また同時に工事が丁寧で価格が適正な業者を見つけることがポイントになります。

そのためにも屋根塗装を検討し始めたら、工事希望日の半年~3か月前には業者選びを始めることをおすすめします。依頼するのが早ければ早いほど価格も抑えられ、工事に適した時期に実施できます。 塗料や業者を上手に選んで、屋根塗装リフォームを成功させましょう。