屋根の修理が必要になった時、気になるのが修理の方法や費用相場ですよね。今回は屋根の応急処置から屋根材の葺き替えまでを詳しく解説。急いで屋根修理をしなきゃ!と思っている方はちょっと待ってください、注意すべきポイントを抑えて適切にリフォームをしましょう。
屋根の劣化状態は?劣化の原因や修理内容を解説
屋根が傷んでいるけどどんな修理をしたらいいのか分からないという方はいませんか?ここでは屋根の状態別におすすめの修理内容をご紹介していきます。自宅の屋根がどんな状態で、どんな修理が必要なのか確かめることから始めましょう。
屋根の状態 | おすすめの修理内容 |
部分的に瓦にひび割れやズレ、劣化やゆがみが発生 雨漏りが発生 | 屋根材(瓦)の一部交換 |
瓦の一部欠損、一部ひび割れ 漆喰のひび割れ・剥がれ・落下による瓦のズレや割れ | 瓦ひび割れ補修・漆喰補修 |
棟板金を固定している部分の腐食や劣化 台風などで部材が損傷した場合 雨どいや | 部材交換・補修 |
部分的な雨漏りが発生 | 雨漏り補修 |
塗料の耐久年数がオーバーしている 屋根塗装の色褪せや汚れが目立つ 屋根材にチョーキング現象がみられる 屋根材の耐用年数に達していない 日本瓦を使っていない | 塗装塗り替え |
屋根材のみに傷みがあるが下地に問題が無い場合 屋根材が日本瓦やセメント瓦ではない 築年数が20~25年で屋根の劣化が見られる | 重ね葺き(カバー工法) |
風や飛来物によって瓦がずれている 下地のみを補修したい場合 | 瓦の葺き直し |
カバー工法で補えないほど屋根や下地に劣化が見られる コケやカビなど屋根全体にひどい傷みが出ている場合 | 葺き替え |
上記のような症状が出ていたら、なるべく早めに適切な修理をしてください。長期間そのままの状態にしておくと、家の構造体を痛めてしまう原因となります。
屋根の応急処置は自分でできる?業者に依頼する場合の費用とは
台風で屋根瓦が飛んだり雨漏りが発生した場合、少しの処置なら自分でできるかも…と思われた方もいるかも知れません。屋根の応急処置は素人でもできるのか?業者に依頼する場合はいくらかかるのか?について解説していきます。
応急処置は業者に依頼するのがおすすめ
結論から言うと、屋根の応急処置はどんな軽微な作業であっても素人がするのはNGです。必ず屋根専門の業者に依頼をしましょう。屋根の上での作業は足場が安定しない上、緊張もあり思っている以上に疲れがたまります。
そこで足を滑らせてしまえば最悪の場合命を落としたり、半身不随といった重傷になることも考えられます。そのため屋根の点検や応急処置は、屋根の上での作業を常時行っているプロに依頼するのが重要です。
【応急処置】ビニール・ブルーシート掛けの費用
台風被害など広範囲に被害が発生した場合、屋根の修理は数か月待ちになることもあります。そこで雨風を遮るためにビニールやブルーシートで屋根を覆う応急処置が必要となります。そういった応急処置の費用相場はこちらです。
工事内容 | 費用相場 |
ビニールシート補修 | 3万~4万円 |
ブルーシート掛け | 5万~6万円 |
屋根の上での作業は基本的に二人一組で行うため、数時間の作業であっても数万円の費用がかかります。高いと思われる方もいるかもしれませんが、自分で屋根に上って大けがを負うことを考えれば、納得できる出費ではないでしょうか?
【部分補修】屋根修理にかかる費用や日数について
では屋根の部分補修にかかる費用の相場や工事日数はどの位になるのでしょうか?業者に見積もりを取った時の参考にしてください。
屋根材(瓦)の一部交換
屋根瓦やスレート屋根の一部にヒビやゆがみといった劣化が発生した場合、不具合がある屋根材のみを交換することができます。業者によっては瓦一枚からも対応してくれるところも。なるべくお金をかけず、急ぎで部分的な修理を行いたい方におすすめです。
工事内容 | 費用相場 | 日数 |
瓦差し替え工事 | 5万~30万円 | 1~3日 |
スレート屋根(樹脂・セメント)差し替え工事 | 5万~30万円 | |
スレート屋根(コロニアル)差し替え工事 | 3万~25万円 | |
ガルバリウム鋼板差し替え工事 | 5万~30万円 |
費用は修理部分の広さに応じて変動します。足場をかける工事のため、前後一日は足場設置を行う場合があります。
ひび割れや漆喰補修
瓦を固定するための漆喰が剥がれていたりひび割れが発生すると、瓦の脱落や雨漏りの危険性が高まります。また漆喰と同じような役割のコーキングの劣化も同様です。
工事内容 | 費用相場 | 日数 |
コーキング打ち替え | 1,000円~ 2,000円/m | 1~2日 |
コーキング打ち増し | 600円~ 1,200円/m | |
漆喰補修 | 4,000円~ 8,000円/㎡ | |
棟瓦漆喰詰め増し工事 | 5,000円/㎡ |
コーキングの打ち替えとは既存のコーキングを全て剥がして新しく打つ工事、打ち増しとは既存のコーキングの上から新しいものを追加する方法です。
部材交換・部分補修
屋根の棟板金や雨どいなど、屋根の部分材を交換したり補修工事の費用は以下の通りです。棟板金とは屋根の接合部分に設置されている部材のこと。棟板金を固定している貫板が腐食したり劣化していると、雨水が侵入してしまう恐れがあります。
工事内容 | 費用相場 | 日数 |
棟板金ビス打ち増し工事 | 1,500円~/㎡ | 1~3日 |
棟板金交換工事 | 5,500円~/m | |
樹脂製貫板交換工事 | 1,000円~/m | |
棟瓦取り直し工事 | 11,000円~/㎡ | |
谷板金交換工事 | 20,000円~ | |
瓦歪み調整 | 20,000円~ | |
雨どい交換工事 | 3,000円~/m | |
集水器交換工事 | 3,000円~/箇所 | |
雪止め設置 | 3万~80万円/箇所 |
屋根につながっている雨どいは普段あまり気に掛けることがありませんが、割れやかけを放置しておくと家屋内へ雨水が侵入することも。屋根周りの部材は少しの劣化でも放置せず、適切に修理しましょう。
雨漏り補修
屋根の不具合で一番困るのが雨漏り問題です。その雨漏りには様々な原因があることをご存知ですか?その原因をきちんと特定して適切な修理をしないと、雨漏りが再発してしまいます。
そこで雨漏り修理の場合は、まずその原因を特定する調査から始めなければなりません。
調査内容 | 費用相場 |
発光液調査 | 5万~20万円 |
散水調査 | 10万~30万円 |
赤外線サーモグラフィー調査 | 10万~40万円 |
目視調査 | 無料 |
これらの調査では足場が必要な場合がほとんどのため、費用は屋根の広さに応じて高くなります。 また特別な機械や調査道具を使用するため、上記のような金額になります。
では雨漏りしやすい箇所とその修理内容、費用相場を見ていきましょう。実際にかかる費用は雨漏りの状態や工事内容によって変動します。 トラブルを避けるためには事前にしっかり見積もりを取って、費用が適正かチェックしましょう。
雨漏りしやすい箇所 | 修理内容 | 費用相場 | 日数 |
瓦・スレート屋根 | 新しい瓦へ交換し コーキング | 5万~10万円 | 1~3日 |
スレート屋根の最上部 | ヌキ材と棟板金の交換 | 3万~20万万円 | 2日程度 |
二つの屋根が接する部分 | 谷樋交換 | 8万~20万円 | 半日~1日 |
【全体補修】屋根工事にかかる費用や日数について
家を建てて数十年経つと屋根自体の劣化が目立つようになります。部分補修でどうにもならない場合は屋根全体の工事をおすすめします。屋根全体の工事には、塗装塗り替え・重ね葺き(カバー工法)・葺き替え・葺き直しの四パターンがあります。
屋根塗装の塗り替え工事
屋根全体の工事の中で一番費用がかからないのが塗装塗り替え工事です。屋根下地に問題がなく、屋根材の劣化が再塗装で直る場合に有効です。
屋根塗装の費用は使用する塗料の種類によって大きく異なります。そこで屋根塗装によく使われる塗料の種類とその費用相場、耐用年数について見ていきましょう。
塗料の種類 | 1缶当たりの単価 | 30坪当たりの費用相場 | 耐用年数 | |
アクリル塗料 | 1,500円~ | 15万~20万円 | 4~7年 | |
ウレタン塗料 | 1,700円~ 2,200円 | 20万~30万円 | 6~10年 | |
シリコン塗料 | 2,200円~ 3,000円 | 25万円~30万円 | 8~15年 | |
フッ素塗料 | 3,800円~ 5,000円 | 35万~50万円 | 12~18年 | |
無機塗料 | 4,500円~ 6,000円 | 40万~55万円 | 20~25年 | |
光触媒塗料 | 4,000円~ 5,000円 | 35万~50万円 | 15~20年 | |
遮熱塗料 | 5,000円~ 5,500円 | 45万~52万円 | 15~20年 |
使用する塗料が決まったら、工事全体にかかる費用を解説していきます。屋根塗装工事にかかる費用は、次のような数式で計算していきます。
(屋根の面積×塗料の単価+仮設足場費用15万円)×人件費・諸経費10%
30坪の住宅の場合は、20万~40万円ほどの費用がかかります。以下の表は建坪30坪・屋根面積が80㎡の塗装工事にかかる費用相場です。
工事内容 | 費用相場 | 日数 |
アクリル塗料塗装 | 20万~30万円 | 10~15日 |
ウレタン塗料塗装 | 25万~30万円 | |
シリコン塗料塗装 | 30万~35万円 | |
フッ素塗料塗装 | 30万~40万円 |
重ね葺き(カバー工法)
重ね葺きとは既存の屋根はそのままで、新しい屋根材をカバーするように乗せる工法です。屋根材全体に傷みがあったり、アスベストが含まれている場合におすすめの工事。ただし重ね葺きリフォームには以下のようなデメリットがあります。
- 和瓦やコンクリート瓦では重ね葺きできない
- 新しい屋根材の選択肢が狭い
- 再度リフォームする時は工事費が高額になる
重ね葺きでは屋根を重ねることになるため、屋根重量がある和瓦やコンクリート瓦の屋根には施工できません。また少しでも屋根の重量を軽くするために、使える屋根材の種類が決まってしまいます。
重ね葺きにかかる費用は、屋根面積によって変動します。また工事日数も異なりますのでご注意ください。
工事内容 | 費用相場 | 日数 |
床面積25坪 | 50万~80万円 | 5~7日 |
床面積30坪 | 60万~100万円 | 6~8日 |
床面積35坪 | 80万~120万円 | 7~10日 |
新しい屋根材で葺き替え
今までの屋根材を剥がして、まったく新しい屋根材に交換する工事が葺き替えです。これは屋根の下地を確認したり補修できるというメリットがあります。費用は屋根工事の中で一番高額になりますが、使う屋根材に制限がないため見た目の雰囲気を変えたり耐震性を高めることも可能です。
屋根材の種類 | 費用相場 | 日数 |
日本瓦 | 100万~250万円 | 1週間~15日 |
スレート瓦 | 85万~200万円 | |
セメント瓦 | 95万~200万円 | |
ガルバリウム鋼板 | 100万~200万円 |
ただし既存の屋根材にアスベストが含まれている場合、その処理に100万~200万円程余分に費用がかかります。
同じ瓦を使って葺き直し
葺き直しとは瓦やスレート材を屋根から外し、防水シートや野地板などの下地を交換したのちに再び同じ屋根材を乗せる工事です。この工事ができるのは瓦や天然スレートといった耐用年数が比較的長い屋根材に限られます。
工事内容 | 費用相場 | 日数 |
葺き直し工事 | 50万~100万円 | 1週間~10日 |
こちらの工事は既存の屋根材を再利用するということで、環境に優しく費用も最小限に抑えられるのがメリットです。
屋根修理の費用を抑えるには?5つのポイントを解説
大規模な工事ともなると数百万円とかかる屋根工事を少しでも安くするにはどうしたらいいのでしょうか?実は少しの工夫で費用を抑えられるポイント5つあります。
台風などの自然災害には火災保険が使える
台風や積雪などの自然災害によって屋根の修理が必要になった場合、火災保険が適用できるケースがあります。持ち家の方はほとんど建物の火災保険に加入しているのではないでしょうか?
そこで対象となる原因が「風災」や「雪災」なら保険が適用される可能性大。火災保険で対象となっている自然災害は次の通りです。
- 台風
- 強風
- 竜巻
- 突風
- 積雪
- 雹(ひょう)
上記の自然災害が原因で次のような不具合が発生したら、保険金が下りるでしょう。
- 雨漏りが発生
- 棟板金・ビス・釘の浮き
- 屋根材のズレや破損
- 漆喰の崩れ
- 雨どいの破損
火災保険を申請する場合は必ず家主自らが手続きを行い、決して業者任せにしないように注意しましょう。悪徳業者だった場合、保険金だけ持ち逃げされてしまう恐れがあります。また火災保険が適用されない条件でも「住宅リフォーム補助金」が使える場合がありますので、地方自治体に問い合わせてみましょう。
屋根材ごとに工事が得意な業者が違う
取り扱う屋根材によって業者が異なるのが屋根リフォームの難しさ。もちろん得意な屋根材であれば工事の手際が良く工事日数が最小限で済み、費用の総額も抑えられます。屋根工事の専門業者には「板金工事会社」と「屋根工事会社」の二種類があります。
業者の種類 | 得意な工事 |
板金工事会社 | トタン・ガルバリウム鋼板などの金属建材を扱う工事 |
屋根工事会社 | 瓦やスレートなどの屋根材を扱う工事 |
部分補修の場合は既存の屋根材、葺き替えや重ね葺きの場合は新規屋根材の種類によって適切な業者を選定しましょう。
焦って修理業者を決めない
雨漏りや台風により屋根に被害が発生すると一日も早く工事をして欲しいと、焦って修理業者を決めがちです。一番に見に来てくれた業者に頼んでしまいたくなりますが、これは修理費用を抑える上で決してやってはいけないこと。
気持ちが焦っている時ほど判断能力が下がり、業者に言われるがままの金額で支払ってしまう結果となることも。そうした失敗をしないためにも、複数の業者から見積もりを取って適正な金額かチェックすることが大切になります。
相見積もりを取って金額を比較
屋根修理にかぎらず、リフォームする上では相見積もりを取ることは重要。はじめに見積もりを出してもらった1社が適正価格を示しているかの判断を下すためにも、2~3社から同じ内容で見積もりをもらいましょう。
その際には詳細に使用部材や単価が示されていたり、不明な点に丁寧に答えてくれる業者がおすすめ。金額の安さだけでなく、そういった部分も業者を選ぶ判断材料にすれば、結果としてリフォーム工事が成功するはずです。
気候の良い時期を選んで工期を短縮
緊急の工事でなければ気候の良い3~5月や10、11月に工事をすることで工期を短縮できます。工期の短縮は工事費用の節約にもなりますので、要チェックです。
屋根や外壁のリフォーム工事は、雨の多い時期や暑すぎる・寒すぎる時期は適しません。したがって春や秋ような比較的雨が少なく気温が穏やかな時期が適しています。しかしこの時期はリフォームを希望するお客さんが多いため、直前では工事の予約が取れないことも。
余裕がある方は工事希望日の半年~三か月前から、最低でも一か月前から業者選びを始めましょう。
屋根修理では実績のある業者を早めに選ぼう
屋根修理のリフォームを成功させるには、屋根の状態にあった適切な工事を、その工事が得意な業者に依頼するのが第一歩。焦って依頼するのではなく、数か月前から業者探しを始め、相見積もりを取って一社に絞りましょう。
屋根は風雨から家を守ってくれる大切な部分。年に一度は業者にチェックしてもらって、劣化が軽微なうちに修理するのも費用を抑えるコツです。