寝室をバリアフリー化する11の方法と費用相場とは?安くする秘訣も教えます!

現在介護が必要な家族がいる場合や将来介助を受けることを想定して、寝室をバリアフリーにリフォームしませんか?長時間でも快適に過ごせる寝室へリフォームすることで生活の質が向上します。いざという場合に対応できる安全対策を取っておくことも重要です。

寝室をバリアフリーにする11の方法とは?

実際に寝室をバリアフリー化しようと思ったら、どんな工事箇所があるのでしょうか。人間にとって大切な睡眠を取る場所ならではのリフォーム方法を見ていきましょう。

床や間仕切りの段差を解消

床や出入口部分に段差がある場合、少しの高さでもつまずいて転倒する危険があります。若い人にとっては気にならない段差でも、足の筋肉が弱った高齢者にとってはちょっとした段差でも苦労することがあります。

また室内で車いすを使う場合には、少しの段差でも不自由に感じるでしょう。段差を解消するリフォームはバリアフリーでは基本の工事です。

寝室の出入口すべての段差を解消して、将来的に車いすや歩行器を使うようになっても問題ない床にしましょう。床の段差解消には次のような方法があります。

  • 廊下の床をかさ上げする
  • 敷居や戸枠を交換する
  • 段差解消スロープの設置

住宅内での転倒事故を防ぐには第一にすべきバリアフリーリフォームです。

立ち座りに便利な手すりを設置

出入口やベッドの脇など、立ち座りや移動の際に体を支えられるような場所には手すりを設置しましょう。またベッドまでの動線に沿って、連続した手すりを付けることも有効です。

実際に手すりを付ける際には、使う人の身長や動作に合わせて設置することが重要。手すりは手や指にフィットしやすい物を選び、体重をかけても安全に使えるようにしっかりと固定するようにしましょう。

車いすでの移動に適した滑りにくい床材

寝室の床は滑りにくく車いすでの移動でも耐えられる材質にしましょう。同じように壁に体をこすっても痛くなりにくく壊れにくい材質の壁紙を貼ることもおすすめです。寝室におすすめの床材には次のような種類があります。

  • コルク
  • カーペット
  • クッションフロア

特に「SFフロア」と呼ばれる耐衝撃性・耐荷重性に優れた発泡ビニル床シートは、医療現場や介護施設でも採用されています。防滑性に優れ、転倒してもクッション性があるのでケガをしにくいのが特徴。また水が染み込まないのでメンテナンスも簡単です。

移動しやすいようにリビングやトイレと隣接させる

介護する人とされる人の両方にとっておすすめなのは、寝室をトイレやリビングなどと同じ階にして隣接して配置するリフォームです。特にトイレは夜間でも移動しやすいように、寝室のすぐ隣に設置しましょう。

トイレが遠く暗い廊下を通らなければいけないと、トイレに行くのが面倒になりトイレを我慢する原因に。さらに介護する人にとってもトイレが近くにある方がお世話しやすくなります。

寝室のバリアフリーリフォームで最も理想的なのは、寝室を中心に水廻りやキッチン、リビングなどを配置すること。間取りや家の構造の関係でなかなか理想通りには配置できなくても、トイレと同じ階にしてなるべく近くに置くことは可能ではないでしょうか。

冬場のヒートショック対策として断熱材や床暖房を設置

ヒートショック対策として寝室の壁や床に断熱材を入れたり、床暖房を設置するリフォームがおすすめです。ヒートショックとは特に寒い冬場、暖かい布団の中から急に出た時に気温差によって血圧や心拍数に影響を与え、脳梗塞や心筋梗塞が発生する現象のこと。

このヒートショックを予防するには寝室内全体を暖めておく必要があります。もちろん暖房器具やエアコンを使ってもいいのですが、光熱費を考えて断熱効果の高い断熱材を入れたり、ランニングコストを抑えられる床暖房がおすすめです。

出入口の扉を引き戸へ変更

寝室の出入口の扉が開き戸の場合、引き戸に変更するだけでもバリアフリーリフォームになります。手前や奥に開く開き戸は、筋力が低下した高齢者が開け閉めするとバランスを崩す原因に。またドアが重いと開け閉めの動作自体を負担に感じてしまいます。

そこで少しの力で開閉でき、取っ手が持ちやすいレバー式の引き戸へ変更してはいかがでしょうか。引き戸なら車いすでの移動にも適しています。ガラス入りの引き戸を選ぶ際には、万が一ドアに衝突してもけがをしないように強化ガラスやプラスチックを使用したものにしましょう。

安全通報装置や火災報知機を設置する

緊急時にすぐに通報できる装置や火災を知らせる報知機を寝室に設置する工事もバリアフリーリフォームになります。消防法では睡眠中の逃げ遅れを防止するため、寝室内と寝室につながる廊下等に火災警報器を設置することを義務付けています。

また安全通報装置を設置していれば、就寝中に容体が急変しても自動的に119番や登録している病院、警備会社などに通報されます。特に一人暮らしの高齢者にはおすすめのバリアフリーリフォームです。

介助しやすいように広さを確保

日常的な介助が必要になった場合を想定して、介助する人が動きやすいだけでなく本人の動作を制限なく行えるように、寝室の広さを確保することが重要です。現在布団で寝ている方も、年齢を重ねて体力が落ちてくると毎日の布団の上げ下ろしが負担となります。

ゆくゆくはベッドでの就寝に変更する可能性を考えて、ベッドを置いても十分な広さを確保することが求められます。使う人数によって、寝室には次のような広さがおすすめです。

  • 1人部屋の場合・・・6~8畳
  • 2人部屋の場合・・・8~12畳

さらに車いすになった場合、ベッドを置いても車いすでの移動が可能な広さが必要です。

収納は出し入れしやすい位置へ変更

押し入れなどの収納は、つま先立ちや腰をかがめて出し入れしなくても良い場所へ変更するようにしましょう。毎日使う寝具や衣類は寝室に収納していることが多くあります。そこで上段と下段に分かれている押入れを、出し入れしやすいクローゼットに変更してみてはいかがでしょうか。

足元部分へ照明を設置する

歳を取りトイレが近くなると就寝時にもトイレに起きることが多くなります。そこでベッドサイドや足元に照明を設置しておくと転倒の予防に有効です。明るい日中は目立たず壁面に出っ張りを作らないデザインなら、足をぶつける心配がありません。

さらに人感センサー搭載の足元照明なら、暗い中で照明のスイッチを探す必要がありません。さらに電気の消し忘れも防げますので、省エネにもなります。

スイッチやコンセントの場所を変える

部屋の照明のスイッチやコンセントが実際に使いたい場所にない場合や、家具などでふさがれてしまう時には位置を移動することをおすすめします。特に照明のスイッチはリモコン式のタイプもありますので、リフォームの際に検討してみてはいかがでしょうか?

寝室のバリアフリーにかかる費用相場を解説

寝室でバリアフリーリフォームが必要な箇所が分かったところで、実際にかかる費用の相場を解説していきます。

床や間仕切りの段差を解消する

寝室の床や廊下との扉の段差を解消する工事には、敷居を取り除く方法と床自体をかさ上げする工事の二つのやり方があります。

工事内容費用相場
段差解消工事10,000円~100,000円

敷居を取り除く工事の場合は一か所当たり4万~8万円が平均です。床自体をかさ上げする工事では10万円以上かかる場合があります。

立ち座りに便利な手すりを設置

室内の移動やベッドへの立ち座りに便利な手すりの設置工事の費用相場はこちらです。

工事内容費用相場
手すり設置工事(1か所)15,000円~20,000円

手すり設置は一か所当たり1万5千円からが平均価格です。設置する壁に下地が入っていない場合、補強工事が追加で必要となりますのでご注意ください。

滑りにくい床材へ変更

床材の張り替えリフォームは施工方法によって費用が異なります。既存の床材の上から滑り止め効果のある床材を重ねて張る場合と、床材自体を張り替える工事の場合です。

工事内容費用相場
床材重ね張り工事50,000円~80,000円
床材張り替え工事60,000円~100,000円

既存の床材をそのままに、重ねて張る場合は5万~8万円程が平均価格です。一方の張り替え工事では、既存床の解体や撤去工事が発生するため6万~10万円と高額になります。

リビングやトイレと隣接させる

寝室をリビングやトイレの隣に移動させる工事は、大幅な間取り変更が発生するため大規模なリフォームとなります。間取り変更を伴うリフォーム工事では、間仕切り壁を撤去したり、新たな壁を造作する必要があります。また床材を張り替えたり壁紙を新しい壁に貼る作業も発生します。

工事内容費用相場
間仕切り壁撤去工事(1か所)100,000円~250,000円
間仕切り壁設置工事(1か所)80,000円~200,000円
クロス貼り換え1,000円~1,500円/㎡
フローリング張り替え60,000円~120,000円/㎡

既存の間仕切り壁を撤去する工事は一か所に付き10万~25万円、新たな壁を作る工事には8万~20万円ほどかかります。またそれに伴うフローリングの張り替えは6万~12万円、見た目を統一するためにも㎡当たり1千円~1,500円かかるクロス貼り替えが必要になります。

ヒートショック対策として断熱材や床暖房を設置

断熱材を入れる工事や床暖房設置工事では、大規模な大工工事が必要になります。そのため間取り変更工事や床材変更工事と一緒に行うと費用を抑えられます。

費用相場工事内容
内壁断熱材充填工事5,000円~15,000円/㎡
天井断熱材充填工事3,000円~14,000円/㎡
電気式床暖房設置工事200,000円~500,000円
温水式床暖房設置工事300,000円~600,000円

内壁へ断熱材を入れる工事は㎡当たり5千円~1万5千円が相場。天井へ断熱材を入れる場合は、天井裏に人が入れるかによって3千円~1万4千円/㎡と費用が変動します。

床暖房工事は熱源の違いや施工方法によって変わりますが、電気式床暖房で20万~50万円、温水式床暖房で30万~60万円が相場です。

出入り口の扉を引き戸へ変更

出入口のドアを引き戸に交換する工事の費用相場はこちらです。

工事内容費用相場
出入口扉交換工事40,000円~100,000円

ドア枠はそのままで扉だけ交換する場合は4万円前後、ドア枠ごと新しい物へリフォームするには壁の一部を壊さなければいけないため10万円前後かかります。

安全通報装置や火災報知機を設置

安全通報装置は一人暮らしの高齢者におすすめのバリアフリーリフォームです。また火災報知機の寝室への設置は消防法で決められていますので、未設置の場合は早めに取り付けるようにしましょう。

工事内容費用相場
安全通報装置・火災報知器設置工事30,000円~50,000円

いずれの装置の設置も3万~5万円の費用が平均となっています。特に住宅用の火災報知機は取り付ける位置が決められていますので、専門の業者にお願いすることをおすすめします。

寝室の広さを確保する

寝室の増築工事は、間取り変更を伴う大工工事が必要なため価格はこのようになります。

工事内容費用相場
寝室増築工事(3畳)100万~150万円

相場としてはリビングや和室を増築する場合と同様に、木造の在来工法なら人る簿当たり70万円が相場。3畳分を増築するなら100万~150万円となっています。

寝室の増築工事はこのように高額になることがほとんどなので、床や壁のリフォームと一緒に行うと費用が節約できます。

収納を出し入れしやすい位置へ変更する

中板で上下に仕切られている部分を撤去したり、押入れを使いやすいようにクローゼットへリフォームする工事の費用はこちらです。

工事内容費用相場
中棚撤去工事20,000円~30,000円
クローゼットへ変更工事200,000円~300,000円

押入れの中板を撤去するだけの工事なら2万~3万円程が平均です。一方、押入れを完全にクローゼットへ作り替える場合は20万~30万円前後かかります。これは仕入れの解体や撤去に伴う費用や、ベニヤ張りの弱い押入れの床を補強する工事が必要となるためです。

足元照明を設置する

寝室やベッドの足元に照明を取り付ける工事の費用はこちらです。

工事内容費用相場
足元照明取付工事(1か所)10,000円~

ホームセンターなどで照明を購入して自分で取り付ければもっと安く済みますが、業者に依頼する場合は一か所当たり1万円以上かかります。

スイッチやコンセントの場所を変える

照明のスイッチやコンセントを使いやすい位置へ変える工事は、電気工事と大工工事が発生します。これら工事の費用相場はこちらです。

工事内容費用相場
コンセント増設工事15,000円~20,000円
スイッチ変更工事3,000円~30,000円

コンセントの増設工事では、既存の配線から新しい配線を分岐させて新たな設置場所まで延線させます。壁を加工してコンセントを設置するのに1万5千~2万円程費用がかかります。移設先が遠い場合や配線が長くなる場合には、3万円前後になることもあります。

スイッチの変更工事に伴う費用は3千円~3万円前後かかります。ただし取り付けるスイッチの種類や工事内容によって変動する場合があります。

寝室のバリアフリーリフォームをお得にするには?

寝室のバリアフリーリフォームには介護保険の住宅改修費支給制度や各自治体の補助金制度が利用できます。それぞれについて内容を解説してきます。

介護保険制度を活用する

40歳以上は漏れなく保険料を支払っている介護保険制度ですが、これを財源とした住宅改修費の支給制度があります。条件は要介護か要介助認定を受けている方が所有しており、現在住んでいる住宅のバリアフリーリフォームであること。上限の20万円のうち9割の18万円が支給されます。

また工事費用の合計が20万円になるまで何度でも申請が可能です。さらにリフォームした住居から転居した場合や、介護区分が3段階上昇した時には再度申請ができます。申請できる工事の内容は以下の通りです。

  • 手すりの取り付け
  • 段差の解消
  • 滑り防止及び移動の円滑化のための床材変更
  • 扉の変更
  • 洋式便器への便器の取り替え
  • 上記5つの住宅改修に付帯して必要な工事

ただしリフォームする家の住所が介護保険被保険者証の住所と同一で、本人が福祉施設や病院にいないことも条件となります。介護保険の申請方法はこのようになっています。

  1. 要介護・要介助認定を受ける
  2. 担当のケアマネジャーに相談する
  3. リフォーム業者から工事プランや見積書を出してもらう
  4. 役所に事前申請する
  5. 申請が通ったら工事を着工
  6. 工事完了後、費用の全額を業者に支払う
  7. 必要書類を持参して、再度役所に申請
  8. OKなら補助金が振り込まれる

工事前の事前申請と工事後の事後申請の2回とも必要書類が異なりますのでご注意ください。介護保険の補助金制度を利用したい方は、役場の担当窓口かケアマネジャーに相談することをおすすめします。

自治体独自の制度を利用

お住いの市区町村でも独自にバリアフリーリフォームの補助金制度を設けているところがあります。自治体ごとに条件や支給内容、対象となる工事の内容が異なりますので、詳しくは自治体のHPか窓口でご確認ください。

寝室のバリアフリーを依頼する業者の選び方

寝室のバリアフリーリフォームは通常のリフォームと異なる工事内容になります。そこでどんな業者に依頼するべきか、バリアフリーリフォームが成功するための業者選びをご紹介します。

介護リフォームの実績がある業者

バリアフリーリフォームは一般の住宅リフォームとは異なり高齢者や体の不自由な方、彼らを介助する方にとって使いやすくなければいけません。よってリフォームの知識だけでなく、介護や福祉住宅についての知識も必要となります。

バリアフリーリフォームや介護リフォームが得意な業者を探すには、ホームページで工事実績を確認したり、広告で見つける方法があります。地元で探す場合は知合いに同じような工事をした方に紹介してもらうという方法も。

要介護認定を受けている家族が居るなら、福祉用具のレンタルをすることもあるでしょう。そのようなレンタル会社では福祉リフォームも手掛けていることがありますので相談してみるのも一つの手です。

担当のケアマネジャーに相談する

家族が介護認定を受けているなら、必ず担当するケアマネジャーがいます。介護についての専門知識を持ち同様のリフォームについても詳しいため、バリアフリーリフォームができる業者を知っている可能性があります。

たとえ業者に知り合いがいなくても、業者を探す手助けをしてもらえることがあります。そのためバリアフリーリフォームをしたいと考えたら、まずは担当のケアマネジャーに相談しましょう。

複数の業者から見積もりを取って比較

バリアフリーリフォームを依頼する業者を探すには、相見積を取ることも必要です。いくら介護保険で9割負担できるとはいえ、大がかりな工事では100万円を超えることもよくあります。できるだけ工事費を安く抑えるには複数の業者から見積もりを取りましょう。

その際には実際に現場を見てもらって、同じ条件の工事金額を出してもらうのが重要。実際に業者と顔を合わせることで、金額以外の相性や対応なども分かります。

見積内容がおおざっぱだったり、工事について質問しても簡潔に答えてもらえない場合は、バリアフリーリフォームの経験がない業者の可能性も。後々のトラブルにならないよう、業者選びは慎重に行いましょう。

寝室をバリアフリーにして過ごしやすい空間へリフォームしよう

寝室をバリアフリーにするリフォームには様々な方法があることが分かりました。現在高齢者や体の不自由な方が家族にいる方はもちろん、どんな年代であっても暮らしやすいということがバリアフリーリフォームには求められます。

業者を選ぶ際には、バリアフリーリフォームの経験な業者を複数選び相見積もりを取りましょう。介護保険や自治体の補助金制度を利用すればお得にリフォームができますので、担当のケアマネジャーや自治体窓口にお問い合わせください。