浴槽を交換するのにどのくらいの費用がかかるのかご存知ですか?実は浴槽の種類や設置方法によって、大きく工事費用が異なってきます。今回は浴槽の交換工事の相場費用を中心に、ユニットバスに交換する際の費用や安くする秘訣などをご紹介します。
お宅の浴槽は?浴槽の設置方法や素材によって工事費用が違う!

浴槽の設置方法や素材によって、浴槽交換工事にかかる費用は大きく変わってきます。ご自宅の浴槽はどのタイプに当てはまるのかを確認しながらご覧ください。
浴槽の設置方法は3種類
浴槽の交換工事にかかる費用は大きく分けて、浴槽本体の金額と施工費に分けられます。浴槽本体の金額は次の項目で詳しくご紹介しますが、こちらでは既存浴槽がどのように設置されているかの違いについて見ていきましょう。
在来工法による浴槽の設置方法は主に埋め込みタイプ・据え置きタイプ・半埋め込みタイプの三種類です。それぞれの特徴は以下の通りです。
埋め込みタイプ
埋め込みタイプとは、浴室の床面に浴槽がおよそ3分の1ほど埋め込まれて設置してあるものです。古いタイプの在来工法による設置方法で、浴槽の水を抜くとそのまま水が流れていく直接排水です。
埋め込みタイプの浴槽を交換する際には周囲の壁や床を解体する必要があります。また解体した部材の処分費用も掛かるため、次にご紹介する据え置きタイプよりも費用が高額になります。埋め込みタイプの交換工事の費用相場は下のようになっています。
工事内訳 | 費用相場 |
既存浴槽の解体撤去 | 2~10万円 |
壁や床の取り壊し | 現状による |
下地調整 | 2~5万円 |
新しい浴槽の埋め込み | 5~15万円 |
排水管工事 | 5~10万円 |
養生費 | 2~5万円 |
管理諸経費 | 工事費用の数% |
浴槽を解体してみて水漏れを起こしている場合や排水管の調整が必要になると5万~10万程度が追加工事としてかかります。また浴室の断熱工事が発生する時にはプラスで20万~50万円になります。
埋め込みタイプの浴槽は幅広い種類から選べ、価格帯もさまざま。ただし建物がエレベーターのない高層階であれば搬入費がかかり、浴室の劣化具合によって下地処理費やタイル補修費などが追加となるため交換費用は変動します。
据え置きタイプ
据え置きタイプとは、浴室のタイルの上に浴槽を置くだけの設置方法です。お湯を沸かすバランス釜と接続された浴槽は脚があるタイプも多く、溜まっているお湯を抜くと洗い場側へ流れて、洗い場の排水溝から間接排水を行います。据え置きタイプの浴槽交換にかかる費用相場はこちらです。
工事内訳 | 費用相場 |
既存浴槽撤去処分 | 2万~5万円 |
浴槽取付工事 | 2万~6万円 |
配管工事 | 1万~3万円 |
管理諸経費 | 工事費用の数% |
但し古くなったバランス釜も一緒に交換する際にはその費用も掛かります。また浴室の状態によっては下記のような追加工事が発生します。
- 床と壁面のタイル工事…15万~25万円
- 天井や壁面の塗装工事…3万~6万円
- バランス釜交換工事…15万~20万円
半埋め込みタイプ
半埋め込みタイプとは、ユニットバスなどに多く見られる設置方法。埋め込みタイプと据え置きタイプの中間で、文字通り浴槽が若干埋め込まれています。
浴槽のヘリによって壁ができるため、泡などが浴槽に入るのが防げます。また浴槽に入りやすいため、高齢者や足腰の悪い方でも浴槽に入りやすいのが特徴。在来工法による半埋め込みタイプの浴槽交換費用は、埋め込みタイプとほぼ同じくらいの費用相場になります。
浴槽の素材によって工事費用が変わってくる
浴槽の交換工事にかかる費用は先ほども解説しましたが、施工費と浴槽本体の金額からなります。ここでは浴槽の材質ごとの価格相場を見ていきましょう。
浴槽の材質 | 本体価格 |
檜(ヒノキ) | 40万円~数百万円 |
ホーロー | 15万~100万円 |
人工大理石(ポリエステル系) | 2万~40万円 |
人工大理石(アクリル系) | 30万~120万円 |
FRP(強化繊維プラスチック) | 3万~35万円 |
ステンレス | 2万~25万円 |
伝統的な日本の浴槽と言えば檜などの木ですが、材料代が高いということから本体価格も数十万円から数百万円までとなっています。またアクリル系の人工大理石は加工がしやすいというメリットがありますが、価格は高めです。そして浴槽の素材別による特徴はこのようになっています。
浴槽の材質 | 特徴 |
檜 | 天然木のぬくもりが感じられ保温性が高い |
ホーロー | 肌触りが良くお手入れも楽 |
人工大理石(ポリエステル系) | 掃除がしやすいが品質はアクリル系に劣る |
人工大理石(アクリル系) | 強度があり耐熱性が高いがコストがかかる |
FRP | 価格は低めだが汚れが目立ちやすい |
ステンレス | 保温性や耐久性が高くキズが付きにくい |
それぞれの素材にメリットやデメリットがありますので、費用の相場や特徴をよく理解したうえで浴槽の素材を選びたいですね。
ユニットバスの浴槽を交換できる?目安時期や費用相場とは
在来工法による浴槽の交換費用はこれまで説明した通りでしたが、ユニットバスの交換費用や交換の目安時期についても紹介していきます。ユニットバスとは浴槽や壁、床などが一体となった浴槽のことで、最近の住宅によく採用されています。
「ユニットバスだけでも交換できるの?」「ユニットバスの交換工事にかかる日数はどのくらい?」という疑問にもお答えしていきますよ。
ユニットバスの浴槽だけでも交換は可能?
ユニットバスというのは、前もって工場などで作った天井や壁、床や浴槽などを現場まで運び、そこで組み立てて完成させています。浴槽や壁などが一体(ユニット)となっているため、浴槽に不具合が出て交換しようと思っても浴室のみを取り外すのが難しいという現状があります。
また浴槽にトラブルが出るということは、その他のパーツにも問題が起きていることが考えられます。もしユニットバスの浴槽を交換しようと思ったら、リフォーム工事の専門家にチェックしてもらって、その他の部分についても交換すべきか確認しましょう。
ユニットバスはこんな時交換すべき!
このようにユニットバスは在来工法の浴室よりもリフォームがしにくいというデメリットがあります。ではユニットバスがどんな状態になったら交換のタイミングなのでしょうか?浴室にこのようなサインが出たら交換時期になります。
- 浴室内のカビが目立つ
- 排水口の流れが悪い
- 嫌な匂いが取れない
- お湯の温度調節が上手くいかない
- 耐用年数の15~20年を大幅に超えている
- 換気扇が効かない
- 壁や浴槽にヒビが入っている
- コーキングが劣化して隙間が生じている
上の項目の一つから二つだったら当てはまる項目があるかもしれません。しかし複数の項目で当てはまるようなら、あなたのお宅のユニットバスは交換時期になっています。なるべく早めにユニットバスを交換することをおすすめします。
ユニットバスの交換費用相場や工事日数
ユニットバスを交換する費用は、在来工法による浴槽交換工事と同じで浴槽本体価格+施工費からなります。これを基本費用としてオプションを追加するたびに追加費用が加算されます。
ユニットバスの本体価格はそのグレードとサイズで相場が変わります。グレードとはユニットバスの仕様や機能によってロークラス・ミドルクラス・ハイクラスの三種類に分かれます。
グレード | 主な仕様や機能 |
ロークラス | シャワーや水栓は普及モデル、床に断熱材は入らない |
ミドルクラス | 床や浴槽に断熱材が入っている |
ハイクラス | 高級感のあるデザインと簡便なシャワーや水栓が付いている |
そしてユニットバスのサイズは主に1.0坪タイプと0.75坪タイプの二種類となっています。一戸建ての住宅には1.0坪タイプと0.75坪タイプとで半々、マンションでは0.75坪タイプが大多数です。坪数に対応するサイズは次の通りです。
坪数 | UBサイズ | バスルーム内寸 |
0.75坪 | 1620タイプ | 1600×2000mm |
1416タイプ | 1400×1600mm | |
1218タイプ | 1200×1800mm | |
1316タイプ | 1300×1600mm | |
1216タイプ | 1200×1600mm | |
1.0坪 | 1818タイプ | 1800×1800mm |
1717タイプ | 1700×1700mm | |
1616タイプ | 1600×1600mm | |
1618タイプ | 1600×1800mm |
ではグレードとサイズから見たユニットバス本体の費用相場を見ていきましょう。
グレード/サイズ | 0.75坪 | 1.0坪 |
ロークラス | 55万~70万円 | 60万~75万円 |
ミドルクラス | 65万~85万円 | 70万~90万円 |
ハイクラス | 90万~110万円 | 95万~115万円 |
ユニットバス本体の価格はグレードやサイズによる基本費用プラスオプション内容によって決まります。ユニットバスの主なオプション内容や費用相場は下の通りとなっています。
オプション内容 | 費用相場 |
追い炊き機能 | 3万~5万円 |
残り湯利用機能 | 3万~5万円 |
暖房乾燥機付き | 7万~10万円 |
三枚引き戸 | 7万~10万円 |
手すり付き | 1万円~/本 |
浴室テレビ付き | 12万~15万円 |
床暖房 | 10万~15万円 |
ジェットバス付き | 12万~15万円 |
給湯器交換 | 15万~20万円 |
LED照明 | 1万~3万円 |
オプションはその内容によって価格が大きく異なります。またメーカーによっても違いますのでご注意を。便利そうだからといってあれこれオプションを追加するとあっという間に大変な金額になりますので、本当に必要なオプションはどれか良く検討しましょう。
浴槽を交換する際の注意点

では新しい浴槽に交換する際の注意点を見ていきます。こちらは在来工法による浴槽やユニットバス交換工事ともに当てはまる項目が多いので、浴槽を交換する場合は気を付けましょう。
新しい浴槽が浴室ドアから入れられるか
こちらは特に在来工法の浴槽交換工事での注意点です。古い浴槽を壊した後、新しい浴槽を浴室に入れるまでの玄関や浴室入り口のドアは浴槽が通れるサイズになっているでしょうか?
万が一浴槽がドアを通らない場合は、玄関ドアを外したり浴室入り口ドアや床を壊して浴槽を入れ、再び壊した場所を作り直さなければなりません。特にマンションなどは間口が狭いこともありますので注意が必要です。
状況によっては在来工法の浴槽をユニットバスにリフォームしてしまった方が良いということも考えられます。 間口の狭い住宅に住んでいて浴槽を交換したいと思われている方は、これを良い機会にしてユニットバスへリフォームしてみてはいかがでしょうか?
賃貸物件では勝手にリフォームできない
今住んでいる住宅が賃貸の場合は、勝手に浴槽を変えられないのでご注意を。原状回復すればいいのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、浴槽交換のような大掛かりなリフォーム工事では家主の許可が必要になります。
そして賃貸物件では使えなくなるまでリフォームを行わないのが一般的です。お風呂のお湯が出ないということであれば、お風呂が使わないため給湯器修理などをしてくれますが、なんとなく古くなったからや目地にひびが入っている程度では浴槽を交換してもらえません。
もしも賃貸物件で浴槽を交換したいと思ったら、前もって仲介した不動産業者に相談することをおすすめします。あまりにも浴槽が古い場合は家主負担で交換してもらえるかもしれません。
素人のDIYで浴槽の補修や塗装は危険
浴槽を交換するよりも安上がりだからと、DIYで補修や塗装を行うのは危険です。大量のお湯を入れる浴槽には適切な下地処理を行わなければなりません。
また塗装をする際にも、塗料の種類によっては余計にひび割れがひどくなってしまうことも。さらに溶剤系の塗料を密閉された浴室で使うと、体への害を及ぼすこともあります。
自分でDIYで浴槽を塗装してみて万が一うまくいかなかった場合、業者に直してもらうためには一度塗った塗料を剥がすなどの手間がかかります。結果的に普通に塗装してもらうよりも余計な費用がかかるため、DIYでの浴槽リフォームはおすすめできません。
浴槽を安く交換するための5つのポイント

浴槽交換工事の費用を安く抑えるには5つのポイントがあります。それぞれについて詳しく説明していきますので、ぜひリフォームをお考えの方は取り入れてくださいね。
安い浴槽を手に入れる
浴槽交換工事で大部分を占めるのは浴槽本体の費用です。そこでなるべく安い浴槽を見つけるのが、工事費用を抑える秘訣になります。例えば浴槽の材質でいえばFRP製の浴槽が平均して安いので、FRP製のものを選ぶようにしましょう。
またオーダーメイドの在来工法よりは、工場で大量生産されるユニットバスが安くなります。他にも発売されたばかりの最新の浴槽よりは、広く普及している商品を選ぶのもコツです。
ショールームなどを見るとついそこで商品を選びたくなってしまいますが、ショールームの運営費や人件費などが上乗せされていることもあるため、商品価格は通常より高めに設定されています。 できれば展示品や型落ち品、特売品などを見つけて浴槽本体の費用を抑えるようにしましょう。
介護保険を利用してユニットバスへリフォーム
もしご家族に介護が必要な方がいれば、介護保険を利用して浴室をリフォームすることができます。その場合介護対象者が、要支援もしくは要介護の認定を受けていることが前提条件となります。そして介護のためにリフォームが必要な工事のみに限定されます。
介護保険による住宅改修費の支給は認定結果が出た後に支給されます。適用される住宅改修工事費は20万円まで、1割は自己負担になるため18万円が支給される上限となります。リフォーム工事の対象となるのは、次のような浴室工事です。
- 浴槽のまたぎ高さを低くする
- 滑りにくい床材にする
- 出入り口の段差解消
- 出入口の開港拡張
- 折れ戸や引き戸への変更
- 浴室内への手すり設置
介護相談をしているケアマネージャーに介護保険を利用した浴槽リフォーム工事をしたいと相談すると、リフォーム業者を探してくれますよ。介護のための浴室リフォームを考えている方はぜひご活用下さい。
洗面所リフォームも一緒にする
浴槽交換工事だけでなく、洗面脱衣所も一緒にリフォームすると総額の工事費用が安くなることがあります。ユニットバスや一部の在来工法による浴槽交換工事では、洗面所の壁を壊してから再び作り直すのが通常の工事方法です。
そこで別々にリフォーム工事をするところを一緒にすると、クロス貼り替えの手間などが一度で済みます。これによりリフォーム費用を1万~3万円程抑えられますよ。浴槽交換工事をしたいと思っている方は、この機会に洗面所のリフォームもしてみては?
複数の業者から相見積もりを取る
リフォーム費用を抑えるポイントは、複数の業者から見積もりを取ることです。どんなリフォーム工事にも通じることですが、相見積もりを取ることでどんな工事内容が必要かということや、相場の金額が知れます。
ただしここで注意が必要なのはあまりたくさんの業者に相見積もりを取らないこと。あまりにも金額がバラバラだと、なんとなく不安になって結局高いところにお願いしたなんてこともあります。そのため経験豊富で実績のある業者を3社ほどピックアップして見積もりを取ることをおすすめします。
水廻り専門のリフォーム会社に依頼する
リフォーム費用抑える最期のポイントは、水廻り専門の業者に依頼するということです。リフォームを行っている業者はたくさんの種類がありますが、水廻りや浴室専門の業者であれば、浴槽を安く仕入れるルートを持っていることが多いです。
また工事費用も下請けに出すマージンがかからないため、結果的に抑えられます。同様に地元の工務店に依頼しても良いでしょう。余計な営業マンや広告宣伝費を掛けない工務店は、結果としてリフォーム費用が安くなります。
また地元であれば工事の評判なども耳に入るので、安心できますね。さらにリフォーム後に不具合が生じた際もすぐに駆け付けてもらえるでしょう。浴槽の交換工事は信頼できる業者選びが成功のポイントになります。