お得に外壁を張り替えたいと思ったら!6通りのメンテナンス別費用相場とは?

何だか外壁が古く汚れてきた…と思ったら外壁を張り替えてみませんか?外壁は家の顔でもありますので、外壁を張り替えるだけで建物自体リフレッシュできます。今回は外壁の張り替えについて、おすすめの外壁材や費用の相場などをご紹介していきます。

まずは現状の外壁の種類・劣化状況を確認しよう

外壁の劣化状況によっては、張り替えをしなくても塗り替えや補修工事で対応できることがあります。外壁を張り替えた方が良いとされる判断基準や、張り替えが可能な外壁材について見ていきましょう。

張り替え可能な外壁の種類は2種類

外壁を張り替えるにあたって重要なのは今までの外壁よりも軽い材質にすること。というのも建物内部の柱などは、あらかじめ外壁材の重さに応じて設計されているためです。想定以上に重い外壁材へ張り替えてしまうと、建物自体の耐震性が落ちてしまう場合があります。

そして貼り替えができる外壁材というのは主に2種類に絞られます。

窯業系サイディング

一つ目は新築住宅のおよそ70%に施工されている外壁材、窯業系(ようぎょうけい)サイディングです。この窯業系サイディングはセメントと繊維質を混ぜて板状に成形している外壁材。色や柄の種類が豊富でデザイン性があることから、圧倒的な人気があります。

サイディング自体は劣化しにくく耐用年数は10~20年前後ですが、防水性を保つため定期的な塗り替えや、ボード同士を張り合わせるためのコーキングにひび割れや剥がれが発生するための定期的なメンテナンスが必要となります。

既存の外壁材が窯業系サイディングなら、同じ窯業系サイディングへ張り替えることは可能です。しかし既存の外壁の上に新しい外壁材を重ねる「重ね張り工法」では、外壁の重量が増して耐震性に問題が出る場合があるためおすすめできません。

もし重ね張り工法でリフォームしたいなら窯業系サイディングよりも軽量な金属系サイディングを選びましょう。

金属系サイディング

アルミやガルバリウム鋼板、ステンレスなどの表面材に、断熱材を含んだ裏打ち材を張り合わせて作られているのが金属系サイディングです。印刷技術が進化したことで、窯業系サイディングのような本物そっくりのレンガ調やブロック調を表現できるようになりました。

金属系サイディングの大きな特徴は、軽量で寒冷地でも凍害が発生することが無く耐久性が高いということ。サイディング自体が軽いというメリットを生かして、多くの外壁の重ね張り工法に用いられています。

ただし金属製ということでひっかき傷に弱く、塩害などでサビが発生する場合があります。寿命の40年を迎えると他の外壁材と同じように張り替えしなければなりませんが、コーキングが表に露出していないため劣化しにくいためメンテナンス周期が長いというメリットもあります。

モルタル張りは張り替え不可・重ね張り工法で行う

モルタル壁は一昔前の住宅の外壁によく用いられてきました。セメントに砂や水を混ぜて練り合わせ、左官職人の手で壁に塗る手法で施工されます。このようにモルタルの外壁は塗り壁となりますので、張り替えリフォームはできません。

モルタル壁をリフォームするには既存のモルタル壁を撤去して、新しい窯業系サイディングや金属系サイディングへ張り替えることになります。また下地の損傷が少ないモルタル壁であれば、軽量な金属系サイディングを重ね張りで施工することも可能です。

外壁によくみられる劣化症状あれこれ

絶えず風雨や太陽光にされされている外壁材は、年月が経つうちに徐々に劣化していきます。張り替えのタイミングや塗装によるメンテナンスの周期は外壁材の種類によって異なりますが、以下のような症状が外壁に現れたら何らかの手当てが必要となります。

外壁の症状詳細
外壁材表面の変色塗料塗りたてのつやがなくなり変色している。
表面の塗膜が劣化しているので塗装をし直す時期。
チョーキング現象手で壁をこすると白い粉状のものが付着する現象。
塗料の防水効果がなくなったサインで塗装をするタイミング。
ひび割れ放置しておくと雨水が染み込んで下地が腐る可能性がある。
塗装か張り替えでメンテナンスが必要。
塗膜の剥離塗膜の表面が剥がれている現象。
塗装やひどいときは張り替えを考える。
サビの発生金属系サイディングや金属製外壁材で見られる。
キズや塩害などで表面がサビて腐食する現象。
カビ・コケ・藻の発生雨や湿気の多い地域でよくみられる。
速やかに落として撥水効果のある塗料を塗る。

張り替えor塗装かは劣化の深刻度による

上記のような症状が外壁に現れていたら何かしらのメンテナンスが必要となりますが、張り替えした方が良いのか塗装だけで済むのかの判断は素人には難しいところです。

一般的に外壁を張り替えるか塗装にするかは、以下のような劣化具合によって決めていきます。

対処方法外壁の劣化状況
張り替え・部分張り替え・外壁材の剥がれ
・ひび割れ
・反り
・部分的に剥がれている
外壁塗装・塗膜の剥がれ
・退色
・色褪せ
・チョーキング現象
・サビ
・藻
・カビ
・コケ

劣化が塗装で収まる範囲であっても、デザインや色を一新したいと張り替えることも可能です。ただし外壁が以下のような状態なら、早急に張り替えることをおすすめします。

  • 外壁下地が雨漏りで腐食している
  • 20年以上外壁のメンテナンスをしていない
  • 外壁材のひび割れや反り、剥がれが数カ所で発生している

外壁材別のメンテナンス周期とは?

先ほども少し触れましたが、外壁材の種類によってメンテナンス周期は変わります。下の表は主な外壁材のメンテナンス周期表です。

外壁材の種類メンテナンス周期
モルタル5~7年ごとに塗装・シーリング補修
窯業系サイディング10年ごとに塗装・シーリング補修
金属系サイディング15年ごとに塗装
ALC外壁10~15年ごとに塗装
タイル外壁5~10年ごとにシーリング補修・タイル剥がれ補修

シーリングが露出している外壁材は、塗装のタイミングでシーリングの打ち直しも一緒に行いましょう。また塗装で使用した塗料の種類によっては、次の塗装までの期間が長くなることもあります。

外壁の塗装には外壁の美観を保つためだけでなく、防水性を高めたり耐久性をアップさせる効果があります。メンテナンス時期が来たら適切なメンテナンスを行うことで、外壁材の寿命を延ばすことが可能です。

張り替え工法と重ね張り工法の二種類がある

外壁をリフォームする手段として「張り替え工法」と「重ね張り工法」の二種類があります。通常外壁をリフォームする場合は、これら二つの工法からどちらかを選ぶことになります。

ただし既存の外壁材の状態や種類、予算によってはどちらかの工法で施工しなければならない場合があります。既存の外壁材を撤去して、新しい外壁を張り替える工法の特徴はこちらです。

メリット・住宅の雰囲気を変えたり外壁の機能を高められる。
・下地自体を新しくしたり補修することが可能。
・軽い外壁材にすることで耐震性を高められる。
・断熱材交換工事を同時に行える。
デメリット・既存外壁の解体費用や廃材処分料がかかる。
・工期が長くなる。
・構造的に貼り替えができない外壁材(コンクリート)がある。
・アスベストを含んだ外壁材の撤去に追加費用がかかる。

外壁を剥がさないと見られない下地の状態をチェックできるのが一番のメリットです。また躯体が露出するということで、ベランダの新設やサンルームへの改修など、一部外壁材を剥がして行うリフォームも同じタイミングで出来ます。

一方の重ね張り工法は、既存の外壁はそのままで上から新しい外壁材を重ねる施工法です。重ね張り工法の特徴は以下の通りです。

メリット・壁を撤去しないため撤去費や処分費がかからない。
・工期が短くて済む。
・壁が二重になることで断熱性や遮音性がアップする。
デメリット・壁の重量が増すため耐震性が落ちることがある。
・下地の劣化が激しい場合は重ね張り出来ない。
・施工可能な外壁材が限られる。

既存の外壁を撤去しなくて済むため、工期が短縮できて費用も抑えられるのが大きなメリットです。ただし使える外壁材は軽量な金属系サイディングなどに限られますのでご注意ください。

外壁の張り替えにおすすめな外壁材とは?

外壁を張り替えようと思ったら、どんな外壁材にすればいいのか悩むこともあると思います。こちらでは外壁の張り替えにおすすめの外壁材をご紹介していきます。

4種類のサイディング

今や住宅の外壁材の8割以上がサイディングを採用しています。サイディングには使用している材質ごとに4種類に分類されます。それぞれのサイディングの特徴はこちらです。

サイディングの種類特徴
窯業系サイディング・費用が安くデザインやカラーバリエーションが豊富。
・耐震性や耐火性に優れている。
・目地のコーキングが劣化しやすく塗装メンテナンスが必要。
・表面が高温になりやすため、断熱リフォームが必要に。
金属系サイディング・耐水性が高く、寒冷地でも凍結しない。
・窯業系の1/4の重さで重ね張りも可能。
・メンテナンス周期が長いが、費用は高め。
・デザインのバリエーションが少なめ。
木質系サイディング・天然木が持つ温かみのある風合いが特徴。
・耐熱性が高く室温に影響しない。
・防腐処理や塗装などこまめなメンテナンスが必要。
・窯業系・金属系に比べると価格が高い。
樹脂系サイディング・サイディングの中では一番軽量で重ね張りに向いている。
・塩害や凍害に強く、劣化しにくい。
・塗装メンテナンスやシーリング補修が必要ない。
・価格が高額で施工できる業者が限られている。

費用やカラーバリエーションの豊富さで選ぶなら窯業系サイディング、機能性や軽量化を目指すなら金属系サイディングがおすすめ。
本物の木を使用した木質系サイディングや塩化ビニール樹脂製の樹脂系サイディングは、施工実績が少なく取り扱える業者が限られているのがデメリットです。

その他の外壁材

サイディング以外にもおすすめの外壁材があります。意匠性豊かで耐久性の高いタイルや、軽量発泡コンクリートという新素材を使用したALC外壁の特徴はこちらです。

外壁材の種類特徴
タイル・耐水性や耐久性が高いタイルを外壁材として使用。
・色やデザイン、サイズが豊富で組み合わせが自由。
・目地や接着面のこまめなメンテナンスが必要。
・初期投資や補修費用が高額になる。
ALC外壁・軽量気泡コンクリートをパネル状にした外壁材。
・パネルの間やサッシ廻りにコーキングが必要。
・軽量で耐熱性に優れている。

外壁のメンテナンスにかかる費用と工事日数の目安

では張り替えをはじめとする外壁のメンテナンスにかかる費用相場や工事日数の目安を見ていきましょう。これからご紹介するのは気温や天候が安定している時期での日数です。次のような状況では工事が延びる恐れがあります。

  • 梅雨や台風など悪天候が続く
  • 外壁を剥がしてみたら下地の腐食が激しい場合
  • 材料を運ぶのが困難な山間部など
  • 足場を組み立てるのが難しい立地や建物構造

自然災害など予測できないことは難しいですが、現場調査してもらった時にあらかじめ業者にかかる日数を聞いておくと、工期が延びた場合にも対応できるので良いでしょう。

張り替えにかかる費用&工事日数

外壁の張り替えにかかる費用は、使用する外壁材によって大きく変動します。今回はサイディングの種類ごとに㎡当たりの価格相場を見ていきましょう。

サイディングの種類価格相場(㎡当たり)メンテナンス周期
窯業系サイディング3,000円~5,000円10年前後
金属系サイディング4,000円~6,000円10年前後
木質系サイディング6,000円~8,000円15年前後
樹脂系サイディング7,000円~9,000円30年前後

次に外壁張り替え工事にかかる施工費の相場を解説していきます。張り替え工法では既存壁の撤去や処分費用がかかるため、重ね張り工法よりも高額になります。

工事内容費用相場
足場設置・撤去費用150,000円~200,000円
既存壁撤去費用1,000円~1,200円/㎡
張り替え施工費2,000円~3,000円/㎡
シーリング施工費700円~1,000円/m

施工する外壁の面積を100~200㎡で計算すると、合計で150万~250万円程が平均価格となります。施工にかかる日数は2週間から1か月程度。

ただし既存の壁にアスベストが含まれていると、撤去や処分に余分な費用がかかるためご注意ください。

重ね張りにかかる費用&工事日数

重ね張り工法による外壁のリフォーム相場は以下の通りです。ただし使用する外壁材の種類が限られることがありますので、希望する外壁材を張れない時は張り替え工法を選択しましょう。

工事内容費用相場
足場設置・撤去費用150,000円~200,000円
重ね張り施工費2,500円~3,500円/㎡

外壁面積が100~200㎡の住宅では、120万~200万円ほどが相場です。工事日数は張り替え工事よりも短く2~3週間ほどで終了します。

部分張り替えにかかる費用&工事日数

外壁の劣化が一面のみ、または一部分のみと限定的なら部分張り替えも可能です。部分張り替えの費用相場はこちらです。

工事内容費用相場
1面のみ張り替え300,000円~500,000円
破損した一部分のみ張り替え100,000円~200,000円

当然ながら重ね張り工法や張り替え工法よりも安く、1面のみの張り替えなら30万~50万円、一部分のみの張り替えなら10万~20万円程で施工できます。工事日数は1~2週間ほど見ておきましょう。

外壁塗装にかかる費用&工事日数

外壁の劣化が表面のみの場合は外壁塗装で対応できます。この時に使用する塗料の種類によって、外壁塗装全体にかかる費用が大きく変わります。

塗料の種類費用相場(㎡当たり)耐用年数
アクリル塗料1,000円~1,200円4~7年
ウレタン塗料1,800円~2,500円6~10年
シリコン塗料
2,500円~3,500円8~15年
フッ素塗料3,500円~4,500円12~18年
遮熱塗料・無機塗料3,800円~5,800円20~25年

外壁塗装に使用する塗料は、単に外壁の色を変えるという役割だけでなく、表面に塗膜を張ることで様々な機能を持たせることができます。塗料にはこのような機能を持つものがあります。

  • 防汚機能(親水塗料・光触媒塗料)
  • 遮熱機能
  • 断熱機能
  • 防カビ機能
  • 防苔機能
  • 耐候機能

上記のような機能を持つ塗料を選ぶと、次の塗り替えまでの時期を延ばせたり、外壁に新しい機能を持たせることができます。

そして外壁塗装にかかる施工費の相場はこちらです。

工事内容費用相場
足場費用・養生費150,000円~200,000円
高圧洗浄・下地補修20,000円~100,000円
塗装施工費700円~1,000円/㎡

25坪程度の住宅の外壁に一般的なシリコン塗料で塗装した場合は60万円ほど、耐用年数が長い無機塗料を選んだ場合でも80万円前後が相場です。

作業日数は2~3週間前後ですが、暑すぎたり寒すぎたりすると塗料が思うように乾かなかったり、既定の厚さに塗れないことがあり工期が延びる場合があります。

補修工事にかかる費用&工事日数

外壁全体にわたる大幅な張り替えや塗装工事以外には、部分的な補修やシーリングの打ち換えなどがあります。こちらは外壁自体に目立った劣化が見られない時のリフォーム内容です。

工事内容費用相場
シーリング補修2,000円~2,500円/㎡
外壁の部分補修50,000円~200,000円

シーリングの打ち換えにかかる費用は20万~30万円程です。また外壁の部分補修は足場が必要ない場合は5万円前後、足場込みなら20万円が平均となります。

工事日数は1週間もかからない場合から2週間程度となることもあります。ただし外壁自体に劣化が見られた場合は、塗り替えなどの適切なメンテナンスを施しましょう。

高圧洗浄にかかる費用&工事日数

外壁に付いたコケやカビなどを落としたいという時には高圧洗浄できれいにするというメンテナンス方法があります。ただし外壁洗浄にかかる水道代は依頼主が負担することになります。東京都の水道料金で計算すると1,200円~2,000円程の水道代が工事代とは別途にかかります。

工事内容費用相場
高圧洗浄100円~300円/㎡
バイオ洗浄400円~850円/㎡

一般的な高圧洗浄であれば、外壁面積100~120㎡とすると18,000円~20,000円が相場となります。特殊な洗浄液を使用したバイオ洗浄だと、高くても50,000円以内で収まるでしょう。

ただし二階部分の外壁を洗浄する場合は、足場を組む必要があるため別途費用がかかります。足場が必要ない高圧洗浄であれば1~2日程度、足場を組んで作業する場合は3日~1週間ほどの日数がかかります。

外壁張り替え工事を依頼する業者の選び方

外壁を張り替える際には、どのようにして業者を選べば良いのでしょうか?ここで業者選びのポイントについて解説してきます。

外壁を見てもらい本当に貼り替えが必要かチェック

工事を依頼する前に実際に自宅の外壁を見てもらって、どんなメンテナンスが必要かチェックしてもらうことが大切です。劣化がそれほどひどくなければ、張り替えするまでもなく塗装や部分補修で大丈夫な場合があります。

その際には必ず数社から見てもらって判断しましょう。1社だけで工事内容を決めてしまうと、その業者に悪意がある場合は必要のない高額な工事をすることになります。必ず複数の業者に現場を見てもらってから決めてください。

悪質業者に注意する

飛び込みで営業に来る外壁業者には悪徳業者が一定数いることを覚えておきましょう。このような悪徳業者にはよく似た手口がありますので、これらを知っておくと騙されることが避けられます。

  • 飛び込みの訪問営業をしている
  • 見積書の項目が「一式」ばかりで具体的な㎡数が書いていない
  • 見積書に税込みかどうかが明記されていない

以下の手法を使っている業者は警戒したほうが良いでしょう。

上記のような手口であれば、悪徳業者の可能性が高いと言えます。一人では判断せず、必ず他の家族や知り合いに相談してから契約するようにしましょう。

見積もりは2~3社に依頼する

適切な工事を優良な業者にお願いするためには、見積もりを複数社に依頼することが有効です。必ず工事内容や条件を同じにして、2~3社から相見積もりを取りましょう。

相見積もりを取ることで適正なリフォーム価格を知ることができますし、悪徳業者をあぶりだすのにもおすすめの方法です。もらった見積書には材料の名前や数量の単位、施工内容が詳しく記載されているかチェックしましょう。

また見積もり内容について質問した場合、丁寧に詳しく説明してもらえるかも、業者選びのポイントになります。場合によっては100万円を超える高額な外壁工事ですので、適切に業者を選んで自宅の外壁を一新させましょう。