床以外すべてガラス張りのサンルームは、太陽の光が降り注いで洗濯物を干したりガーデニングするにはピッタリの場所です。他にも子供の遊び場やペットルームとしてもおすすめ。そんなサンルームを設置する際の注意点や、気になる費用相場などについてご紹介していきます。
サンルームとは?その特徴や似た機能の部屋をご紹介!
サンルームには設置方法によって様々な種類があることをご存知ですか?サンルームのメンテナンス方法やデメリットを解消する方法なども詳しく解説していきます。
サンルームとは?
そもそもサンルームとはどのような部屋のことを指すのでしょうか?名前の通り「サン(太陽)の部屋」ということで、太陽の光を取り入れるために天井や壁がガラス張りになった部屋のことをサンルームと言います。
サンルームのガラス部分には住宅の窓に使われる気密性の高いサッシ窓が入っています。これにより部屋としての機能が保たれ、建築物として扱われるようになります。
住宅のリフォームでは掃き出し窓に面した外側に後付けが可能で、雨が降っていても洗濯物や布団が干せるということで主婦に人気のエクステリアです。サンルームをリフォームする場合には、様々な設置方法の中から建物とのバランスを考えて選ぶと失敗が少なくなります。
ただしサンルームを後付けするとその部分の庭が狭くなることが予想されます。設置後に不便を感じないように、設置場所を考える必要があります。
ガーデンルームやテラス囲いとどう違う?
サンルームと似た意味を持つものに「ガーデンルーム」や「テラス囲い」というエクステリアがあります。それらの違いには諸説ありますが、大まかな違いや特徴はこちらになります。
種類 | 特徴 |
サンルーム | 住宅の延長スペースとしてコンクリート基礎の上に設置し、建築物扱いとなる。 屋根や外に張り出た部分は全面ガラスが基本。 住宅の窓サッシと同じように気密性や水密性が高いものを使用。 |
テラス囲い (簡易サンルーム) | 庭の延長スペースで気密性がサンルームよりも低い。 ポリカーボネート製のテラス屋根にサッシなどで囲いを付けたもの。 テラス屋根の柱と補助柱で支え、比較的低予算で工事日数も短い。 |
ガーデンルーム | サンルームと同義語で使われることもある。 折れ戸で全面開放ができ、リビングと庭両方の延長として使える。 壁の一面にドアを付けて庭に出られるようにするものを指すことも。 |
サンルームは建築物扱いとなり床面積に含まれるのに対して、テラス囲いはあくまでも庭の延長としてテラスにポリカーボネート製の屋根やサッシで囲いを付けたものを指します。
ガーデンルームには庭に直接出られる折れ戸などのドアが付いているのが大きな特徴。サンルームとは違う意味で用いられる場合があるので、それぞれの特徴を覚えておきましょう。
サンルームのタイプ別設置場所について
サンルームには設置場所や床の違いによって、4種類のタイプに分けられます。お宅によっては取り付けることができないタイプもありますのでご注意ください。
タイプ | 設置場所・使い方 |
床が付いている (床納まり) | 主に1階に設置して床続きになっている部屋からそのまま入れる。 ペットの遊び場や洗濯物干し、くつろぎの場所におすすめ。 |
土間やコンクリの 上に設置する (土間納まり) | 1階の土間やコンクリート、タイルの上に設置する。 物置や自転車置き場、ごみ置き場として適している。 土足で使うタイプのサンルームで、別途土間工事がひつようになることもある。 |
バルコニーを囲う | 2階についているバルコニーをぐるりと囲ってサンルームにする。 奥行寸法に制限があり、バルコニーの形状によって取り付けができないことも。 2階以上のバルコニーには設置できない。 |
バルコニーと一緒に設置 | バルコニーのない2階窓にバルコニーと共に設置するタイプ。 屋根の上に乗せる方法と、地面から柱を伸ばして設置する方法がある。 |
サンルームのメリット&デメリットを解消する方法とは
ここではサンルームのメリットとデメリットについて解説していきます。デメリットを解消するための方法もご紹介しますので、サンルームを後付けする際の参考にして下さい。サンルームのメリットはこちらです。
- 一つの部屋として活用できる
- サンルームで暖まった空気で隣の部屋を暖められる
- 洗濯物が乾きやすく雨が降っても平気
- 布団干場など大きなものを干すのに重宝
そしてサンルームのデメリットはこちらになります。
- 外気温や日当たりに影響されやすく夏は暑くなってしまう
- 北側などの日当たりが悪い場所に設置すると冬場は寒い
- 前面ガラス張りのためこまめな掃除が必要
上でご紹介したデメリットを解消するにはいくつかの方法があります。それぞれのデメリット解消法法をご紹介していきます。
デメリット | 解消方法 |
夏の暑さ | ・カーテンやブラインド等の日よけを設置する ・屋根に熱線を吸収するポリカーボネートを採用する ・側面に採風ドアを設置して換気する ・換気扇を設置する ・窓に断熱フィルムを貼る |
冬の寒さ | ・サンルームを設置する方角を変える ・断熱性の高い材質を選ぶ ・二重サッシを取りつける ・結露防止用シートを貼る |
こまめな手入れ | ・屋根材に防汚機能が付いた材質を使う |
このようにサンルームのデメリットである夏の暑さや冬の寒さ、手入れの煩雑さには上記ような対策を施しましょう。
サンルームのメンテナンス方法
ここでサンルームのメンテナンス方法を細かく見ていきましょう。上でサンルームのデメリットとして挙げましたが、前面ガラス張りということで長期間手入れをしないと汚れが目立つようになります。
サンルームをキレイに保つためには、防汚機能が付いた屋根材を使うのはもちろんこまめなお手入れが必要。基本は水で薄めた中性洗剤で、汚れている場所を中心にふき取ります。一度水拭きした後乾いたぞうきんで乾拭きすると汚れやふき取り跡がキレイになります。
忘れてはいけないのは豪雪地帯での屋根の雪問題です。雪が積もったらその都度雪下ろしをすることが最も良策。ですが忙しくてなかなかその時間が取れない方は、お住いの地域の平均積雪量に合った屋根部材を選ぶようにしましょう。
メーカーにもよりますが、30㎝・50㎝・100㎝の積雪に対応可能な屋根部材が揃っています。雪の重さで屋根材が壊れたなんてことが起きないよう、積雪量に見合った屋根材を選んでください。
サンルームをリフォームする際の費用相場を解説
サンルームのリフォーム費用は、サンルームの本体価格に取付工事費をプラスした金額が相場となります。設置する場所やサンルームの面積によって費用が異なりますので、詳しくは業者に見積もりを取って確認しましょう。
サンルームを庭に面した1階に増築する場合
サンルームを1階の庭に面した場所に増築する場合の費用相場はこちらです。
工事内容 | 費用相場 |
スタンダードタイプ(約4㎡) | 50万~80万 |
ハイグレードタイプ(6~7㎡) | 80万~150万 |
サンルームの広さが約4㎡のスタンダードタイプでは50万~80万円、7㎡前後のハイグレードタイプでは80万~150万円が相場です。
ただしコンクリート製の土台を新設する場合や断熱工事を追加する場合はさらに費用がかかります。またサンルームを設置する庭に障害物があったり、庭が傾斜している場合は整地費用として3万円ほどの追加工事が発生することがあります。
サンルームを二階のベランダに増築する場合
2階にあるベランダやバルコニーにサンルームを増築する場合は、既存の土台を活用できるため新設するよりも費用を抑えられます。ただし2階にベランダやバルコニーがない場合は、サンルームを設置するための基礎工事や補強工事などが必要となるため大掛かりな工事になります。
工事内容 | 費用相場 |
二階ベランダ・バルコニーに増設 | 50万~90万円 |
二階にサンルームを新設 | 80万~120万円 |
2階のベランダやバルコニーにサンルームを増築する際の費用相場は50万~90万円ほどで、新たにサンルームを設置する場合は80万~120万円前後かかります。また住宅の形状や屋根の形によってはサンルームを新設することが難しいケースもありますので、事前に施工業者に確認することをおすすめします。
サンルームのオプション工事費用
サンルームには洗濯物干しに便利な物干しや換気扇などのオプションがあります。これらのオプション工事はサンルーム本体価格には含まれていませんので、必要に応じて追加するようにしましょう。
工事内容 | 費用相場 |
物干し設置(吊り下げタイプ) | 2万~4万円 |
物干し設置(上下可動タイプ) | 6万~8万円 |
内部日よけ設置 | 8万~18万円 |
換気扇設置 | 2万~3万円 |
LEDライト設置 | 8万~20万円 |
サンルームのオプション工事では、吊り下げタイプの物干し設置が2万~4万円、上下可動のタイプで6万~8万円が相場となります。また内部に日よけを設置するには8万~18万円、換気扇を設置する場合は2万~3万円ほどかかります。
サンルームをリフォームする場合の注意点とは?
サンルームをリフォームする際にはいくつかの注意点に気を付けて行いましょう。場合によっては火災保険が契約できなかったり、保険がおりないといったリスクが発生することもあります。
建ぺい率が規定値を超えると様々なデメリットが
一戸建てでサンルームを増設する場合には、建ぺい率が規定値を超えないように気を付けなければなりません。建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合で、お住いの地域によって規定値が決められています。これをオーバーしてしまうと次のような不都合が発生する場合があります。
- 火災保険や地震保険の契約ができない
- 契約中の保険でも何かあった時の保険金がおりない
ベランダのような壁に囲まれていないエクステリアなら問題ありませんが、四方を囲われているサンルームは、他の居室同様に部屋とみなされて建築面積にプラスされるため。
リフォームを行った後では遅いので、リフォームを計画している段階で建ぺい率が超えないかをきちんと事前に確認することが求められます。
固定資産税が高くなることがある
サンルームを後付けでリフォームすると固定資産税が高くなります。上でも解説した通り、サンルームは部屋とみなされるため建物の面積が増え、床面積で算出される固定資産税の対象となるわけです。
固定資産税の対象となるのは「屋根があり3方向以上が壁やガラスで囲まれ、床から一番高い天井までの高さが1.5m以上ある部分」と決められています。そのためこの条件を満たすサンルームにはもれなく課税されます。
一般的に6畳程度のサンルームでは年間で1.5万~2万円ほどの増税になると考えましょう。サンルームを増築したら不動産登記の変更申請を行います。土地家屋調査士などの専門家に依頼して手続きを代行してもらうことも可能です。
そのためサンルームを増築する際には、施工費用だけでなく毎年の固定資産税の増額も考えてリフォームすることをおすすめします。
サンルームはDIYで施工しない
DIYが得意な方の中には「サンルームを自分で作れば費用を抑えられるのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかしサンルームをDIYで設置するのはあまりおすすめできません。
サンルームを設置する際には、床面の基礎工事を行います。この基礎工事をおろそかにすると雨漏りや腐食などから建物自体が劣化する場合があります。また外壁に大きな穴を開けてサンルームを固定する作業では、少しの狂いもなく外壁に穴を開けなければ雨水やシロアリなどが侵入してしまいます。
もしサンルーム設置当初に問題が起きなくても、何年かたってからコーキングの施工ミスや素材選び間違いで雨漏りなどのトラブルが発生することも。結果としてプロに高い費用をかけて修理してもらう羽目になりかねません。このようなことからサンルームの設置リフォームは、住宅の基礎知識が豊富で作業に慣れているプロの業者に依頼することをおすすめします。
サンルームの広さは中に置くものを考えて
サンルームの広さを決める際には、中に何を置くかイメージしながら考えましょう。洗濯物を干したいのなら物干しの幅や奥行きを考える、お茶を飲めるスペースが欲しいならテーブルやいすのサイズを事前に計っておくことも重要。
というのも固定資産税はサンルームの広さによって金額が変わるため。せっかくだからとむやみにサンルームのスペースを広げてしまうと、余計な税金が課せられてしまうことを覚えておきましょう。
温度や湿度管理を忘れずに
サンルームの唯一のデメリットである外気に影響されやすいという点は二重サッシや断熱素材を採用するほかにも、エアコンや床暖房などで解消できます。これらの対策をきちんと行うことで、夏の暑さや冬の寒さを和らげられるでしょう。
またサンルームには湿気がこもりやすく結露しやすいというデメリットもあります。これは換気扇を付けたり換気窓を設置することで対処可能。いざサンルームを設置してから温度や湿度に悩まされるということが無いよう、温度管理や湿度管理は適切に行いましょう。
設置場所や目的を考えてリフォームする
サンルームを設置する場所や広さによってリフォーム費用が変わることをご紹介してきましたが、サンルームの目的を考えてリフォームすることも重要になります。例えば洗濯物を干す場所として使いたい場合は、日光が良く当たる方角に設置して通気性を考えて物干しなどをプラスすると使い勝手が良くなります。
またサンルームでガーデニングをしたいなら床の一部をコンクリートやタイル敷きにするとお手入れが簡単です。またペットの部屋として使いたいのであればペットの足に優しくてキズが付きにくい床材を選ぶと安心でしょう。
さらに床を土間仕様にすれば子供が外遊びをする感覚で雨の日も遊べますし、一部に折れ戸を設置して庭に出入りしやすくすることも可能に。くつろぎのスペースにしたいなら断熱性や結露のできにくさを考慮したサンルームに仕上げましょう。
採光を考えて設置する方角を決める
日差しがサンサンと入ってくるのが魅力のサンルームなので、キチンと採光できるかは重要なポイント。北向きは日光を取り入れられないのでサンルーム設置には不向きです。また西日しか入らない方角では、せっかくのサンルームを有効に活用できません。
サンルームを設置する方角としてふさわしいのはやはり東や南の方角です。とはいえ日の当たり方は季節や時間、設計によっても変わってきます。サンルームを増設する場合は採光にふさわしい設計方法に対応できるような、サンルームリフォームの経験豊富な業者に依頼するようにしましょう。