外に貼り出した出窓は部屋を広くメリットがある一方で、冬は寒く西日が当たって室温が上がることがあります。そんな出窓を快適に使い勝手良くするためのリフォーム方法をご紹介。費用の相場だけでなく、リフォームする際の注意点やお得にするコツなどもお教えします。
出窓の形&出窓リフォームとは?
ここでは主な出窓の形や、出窓をリフォームする際のポイントについて見ていきます。どんな形の出窓を設置しようかお考えの方、出窓リフォームにはどんな種類があるのか知りたい方は参考にしてください。
出窓には形によって6種類ある
出窓とはそもそも建物の外壁よりも外に出ている窓のことをいいます。建築基準法では、床から30㎝以上の高さがあり、奥行きが50㎝未満の出窓なら床面積に含まない決まりとなっています。
3枚から5枚ほどの窓を組み合わせて作ることが多く、サッシ窓の種類によっては両サイドをはめ殺しにしたり、全面を開けやすい引き違い窓にするなど柔軟に対応可能です。こちらは出窓の主な種類とその特徴です。
出窓の種類 | 特徴 |
角型出窓 | 張り出し部分が四角形の出窓。 スタンダードな形で和室と洋室のどちらにも合う。 |
台形出窓 | 張り出し部分が台形の出窓。 設置した後でもなじみやすい形。 |
三角出窓 | 三角形に張りだしている縦に長い出窓。 廊下やトイレなどスペースを取れない場所に設置することが多い。 |
弓型出窓 | 半円型の曲線に出ている出窓。 エレガントな雰囲気におすすめでデザイン性がある。 |
トップライト出窓 | 出窓の屋根部分がガラスになっている出窓。 上からも採光できるので日当たりを良くしたい部屋に。 |
ハーフ出窓 | 張り出し部分を半分の奥行にしている出窓。 見た目がすっきりとしていて開閉しやすいのが特徴。 |
設置する部屋や壁部分の広さに応じて、適切な出窓の種類を選ぶようにしましょう。
出窓をリフォームする際のポイント
出窓を実際に新設したりリフォームする際に、ポイントとすべき項目について解説していきます。
ポイント | 詳細 |
紫外線対策をする | 西日が入らない場所 シャッターやブラインドで紫外線をガード |
結露対策をする | 二重窓や二重サッシを取り付ける 既存の出窓の内側に樹脂製サッシの内窓を設置する |
高さの決め方 | 出窓を一番使う人の背の高さに合わせる |
窓ガラスの機能 | 遮熱性や断熱性の高いエコガラスや二重サッシを採用 |
防音対策 | 隣家との距離が近くなる場合は防音対策が必要 |
出窓は普通の窓よりも外側に張り出しているということで、外気や気候の変動による影響を受けやすくなっています。
また出窓は設置する場所や部屋の役割によって、理想的な高さが以下のように決まっています。
- ダイニング・・・70~80㎝
- リビング・・・45~50㎝
ダイニングは椅子に座ったり立っていることが多いため、70~80㎝ほどの高さに設置するのが一般的。リビングではソファ座ってくつろいでいることを想定して、それよりも低い45~50㎝の高さに設置することで、目線の高さで外を見られるようにします。
工事内容別の出窓リフォームにかかる費用とは
実際に出窓をリフォームする場合にはどの位の費用がかかるのでしょうか?出窓を撤去・新設する大規模なリフォームから、ガラスを交換するという軽微な工事までを詳しくご紹介します。
出窓新設工事
今まで壁だった場所に新しく出窓を作るという場合は、取り付ける出窓のサイズや壁の状態によって価格が大きく変動します。一般的に新しく出窓を作るには、既存の壁を解体し、出窓の枠から作っていきます。それから出窓のサッシ部分を取り付けて、取り壊した内装部分の補修を行います。
工事内容 | 費用相場 |
出窓新設工事 | 50万~100万円 |
出窓を新しく作る場合は50万~100万円程かかると考えておきましょう。もし予算に限りがあってどの位の費用がかかるか心配という方は、事前に現場を見てもらって業者に工事費の概算を確認することをおすすめします。
出窓撤去工事
出窓を撤去する場合は、上記の新設工事の逆の工程で進んでいきます。出窓を撤去して穴をふさぎ、壁紙貼りなどの内装工事を行うという流れです。出窓撤去費用に掛かる金額はこちらです。
工事内容 | 費用相場 |
出窓撤去工事 | 15万~30万円 |
出窓を撤去して穴をふさぐのに10万~20万円ほど、内装工事で10万円ほどかかるため全体で15万~30万円が工事費の相場です。
出窓交換工事
出窓のサッシ窓を新しいものへと変更する場合、既存のサイズと同サイズもしくはサイズ変更するということが考えられます。出窓交換にかかる費用の相場はこちらです。
工事内容 | 費用相場 |
出窓交換工事 | 20万~50万円 |
出窓交換工事では20万~50万円が平均の価格です。同サイズのサッシ窓を交換する場合は本体のグレードやガラスの種類によって価格が変わります。またサイズを変更する工事では壁を壊したり、逆に壁を新設する工事が発生するため費用が高額になります。
2階以上の部屋の出窓を交換する際には、足場代として別途費用がかかることを覚えておきましょう。
出窓に雨戸やシャッターを後付け
既存の出窓に風雨を遮る雨戸や防犯用のシャッターを後付けするというリフォームがあります。
工事内容 | 費用相場 |
雨戸・シャッター設置工事 | 6万~15万円 |
雨戸、シャッター取付工事の費用は6万~15万円が平均価格になっています。
こちらの工事では事前に出窓にシャッターの枠や雨戸を収納するスペースがあることを確認しなければなりません。出窓用シャッターを後付けできる窓の形は限られているためです。ただし最近では窓上部にシャッターボックスが取り付けられなくても、下に向かって畳むタイプのブラインド式シャッターがあります。
シャッターや雨戸を出窓に後付けしたい場合は事前に業者に見てもらって、取り付けられるシャッターなどがあるかを確認しましょう。
出窓の雨漏り修理
出窓の上部から雨漏りしている場合、窓枠とサッシのつなぎ目の劣化やサッシ廻りの防水処理の不具合が考えられます。そこでサッシ廻りや窓枠とのつなぎ目にシーリングを打ち直す工事を行うことになります。
工事内容 | 費用相場 |
雨漏り修理 | 700円~1,200円/㎡ |
シーリング打ち換えによる雨漏り修理の費用相場は㎡当たり700円~1,200円前後となります。ただし雨漏りの原因には上記以外にいくつかあります。きちんと原因を突き止めてから修理をするようにしましょう。
出窓の天板交換
出窓のカウンター部分、天板を新しくするリフォーム方法があります。日差しが差し込みやすい出窓では、木製の天板の表面塗装が剥がれたり割れが発生することがあります。出窓本体に劣化が見られない場合は、出窓の天板を交換するだけでも見違えるようにきれいになります。
工事内容 | 費用相場 |
カウンター・天板交換 | 3万~5万円 |
出窓のカウンターや天板を交換する工事は3万~5万円程の費用で済みます。既存の天板を撤去して新しい天板を造作するという大工工事になるので、一人で半日ほどあれば終了します。
内窓を取り付けて二重窓にリフォーム
内窓が付いている部屋のエアコンの効きが悪い、冬とても寒くて結露が発生しやすいという場合には、既存の窓の内側にもう一枚サッシ窓を取り付けて二重窓にするリフォームがおすすめ。
この工事は窓枠や既存のサッシ窓に問題がない場合に有効な工事です。内窓を取り付けるだけで間に空気の層ができ、外からの冷気を遮断したり室内のあたたかい空気を逃がさない役割を果たします。二重窓にリフォームすると他にもこのようなメリットがあります。
- 窓の内側に結露ができにくい
- 冷暖房効率が上がり電気代を節約できる
- 音が外に漏れにくく防音対策になる
工事内容 | 費用相場 |
内窓設置工事 | 5万~15万円 |
内窓設置工事にかかる費用は5万~15万円前後。取り付ける窓のタイプは、FIX(はめごろし)窓だと結露ができても湿気を外に逃がせません。換気ができるように開閉できるサッシ窓を選ぶようにしましょう。
さらに内窓に樹脂サッシを採用して内壁と段差なく設置することで、ショーケースのように物を飾れるというアイディアもあります。これは窓同士の空間を長く取れるため、防音効果や断熱効果がさらにアップする効果も期待できます。
既存サッシを二重サッシに交換
現在出窓についているサッシ窓を、ガラスが二枚の二重サッシに交換するというリフォーム方法があります。これは上で紹介した内窓リフォームと同じような効果があります。
既存のサッシ窓が劣化している場合やガラスに新しい機能を持たせたい時におすすめのリフォーム工事。二重サッシには使用するガラスの種類に応じて以下のような種類があります。
二重サッシの種類 | 特徴 |
一般複層ガラス | 二枚のガラス両方に3mmほどの板ガラスを使用。 空気層は6mm前後でペアガラスの中では価格が低め。 |
高断熱複層ガラス (室内側にLow-Eガラスを使用) | 薄い特殊金属膜を塗布したLow-Eガラスを室内側に使用。 冬に暖かい室内の空気が逃げるのを防ぐ。 窓辺付近の冷気も感じにくい。 |
高断熱複層ガラス (室外側にLow-Eガラスを使用) | Low-Eガラスを室外側に使用することで強い日差しを和らげてくれる。 西日の入る部屋や冷房をよく使う部屋におすすめ。 |
そしてガラスとガラスの間に含まれる気体の違いでも、もたらされる効果が変わります。
- 空気…スペーサーに乾燥材を入れた乾燥空気。
- 真空…断熱効果が最も高く、空気中の熱移動をシャットアウトできる。
- アルゴン…熱を伝えにくく空気よりも比重が重い。
工事内容 | 費用相場 |
二重サッシ交換工事 | 8万~10万円 |
既存窓を二重サッシへ交換する工事は8万~10万円が平均となります。取り付ける部屋に応じて、二重サッシにどのような機能を持たせたいかで選ぶようにしましょう。
出窓のガラス・サッシ交換工事
窓枠はそのままでサッシとガラス、ガラスのみを交換するリフォーム工事の相場はこちらです。
工事内容 | 費用相場 |
ガラス交換工事 | 2万~5万円 |
サッシ交換工事 | 10万~30万円 |
ガラスのみを交換する工事では2万~5万円が相場、サッシ+ガラスを交換するには10万から30万円ほどかかります。使用するガラスの機能やサッシの種類、窓の大きさに応じて価格が変わりますのでご注意ください。
また2階以上に出窓がある場合、ガラス交換リフォームにも足場が必要となることがあります。
出窓リフォームをお得にするには?
出窓のリフォーム工事をお得にするにはいくつかのコツがあります。自宅の工事がこれからご紹介する内容に該当するのであれば、積極的に取り入れてください。
二階の出窓リフォームは外壁工事と同じタイミングで
今までもご紹介した通り、二階以上にある出窓のリフォーム工事では足場が必要となります。そこで同じように足場を必要とする外壁工事や屋根工事と同じタイミングにすることで、足場費用を節約できます。
足場の相場単価は㎡当たり700円~1,000円ほど。大がかりな出窓工事となると壁一面を覆うように足場を設置する必要があります。そこで外壁の塗装工事や貼り替え工事、屋根の葺き替え工事などを一緒にすることで、その足場費用を抑えられるという訳です。
断熱リフォームには補助金が出ることも
住宅に高性能な断熱材や窓を使用した「断熱リノベ(高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業)」や「次世代省エネ建材支援事業」では、一定の基準を満たすと補助金が支給されます。
これら二種類の補助金の対象工事などはこちらです。
補助金の種類 | 断熱リノベ | 次世代建材 |
対象者 | 個人所有の戸建て・集合住宅 管理組合の代表者 | 個人の住宅の所有者 賃貸住宅の所有者 (法人・個人) |
対象工事 | 高性能建材を使用したガラス・窓の改修 | 断熱パネル改修 + 併せて行う窓の改修 |
ポイント | 省エネ効果が従来の15%以上 見込まれる工事に対して補助される | 短工期で施工できる省エネ建材を 使用することが条件 |
補助額 | 戸建て住宅:120万円 集合住宅:15万円 | 戸建て住宅:200万円 集合住宅:125万万円 |
省エネリフォーム減税を申請する
「省エネリフォーム促進税制(エコリフォーム減税)」という制度では、出窓リフォームが減税対象となります。以下の条件を満たせばこの制度が適用され、工事をした年の所得税から対象金額の10%が、上限25万円以内で控除されます。
- 賃貸ではなく持ち家のリフォームであること
- 総床面積が50㎡以上であること
- 全ての部屋のすべての窓リフォームをする
- 工事費用の総額が50万円以上であること
- 複層ガラス以上のガラス・サッシを使用すること
- 既存のサッシに内窓を取り付ける際のガラス種類は不問
ただしこちらの制度は自分で確定申告をしなければいけません。所定の期日に申告場所に出向くか、オンラインの確定申告システム「e-Tax」で手続きをしてください。
出窓リフォームの注意点5つを解説!
最後に出窓リフォームをする場合の注意点を見ていきます。せっかくお金をかけてする工事ですから、これからご紹介する内容を押さえて出窓リフォームを成功させましょう。
北側に出窓を設置すると結露が発生することも
間取りや部屋の位置の関係で北側に出窓を設置すると、結露がひどくなることがあります。出窓のデメリットとして、湿気や熱気が他の窓よりも溜まりやすいということがあります。特に北側の窓では冬季の温度差が激しくなるため結露が発生しやすくなります。
この二つの悪条件が重なって、断熱性の低いガラスを使った出窓では結露が起きやすくなります。カウンターが木製であれば、この結露が原因で内部まで腐食してしまうということも考えられます。
できれば北側に出窓を設置しないのが一番の解決法ですが、どうしても北側しか付けられない場合は、以下のような対策を取ることをおすすめします。
- こまめに窓を開けて換気する
- 気が付いたら水滴をふき取るようにする
- ペアガラスや内窓を設置する
出窓の高さは慎重に決める
どうせなら大きな出窓を付けたいと、高い場所に出窓を設置すると開け閉めに苦労することがあります。窓を開けようとしても手が届かないと、せっかく設置した出窓が閉めっぱなしになることも。
このような失敗をしないためには、一番窓を開け閉めする人の身長に合わせて出窓の高さを決めましょう。出窓を置物やインテリアを飾る場所としたいのであれば、床から70~100㎝ほどの高さが理想的。
高すぎる出窓は開け閉めしなくなるばかりでなく、掃除の手も行き届かなくなります。解放感のある明るい出窓にするには、出窓の設置する高さを考えましょう。
外通路の妨げにならないか?
出窓は外側に飛び出た構造になっているため、家の外を歩く際に邪魔にならないかをチェックしましょう。特に出窓の脇に通路がある場合、歩く幅が狭くなり出窓に体をぶつけてしまう恐れも。
また隣家との距離が一層近くなりますので、騒音やプライバシー保護の観点からも出窓を取り付ける位置を考慮しなければいけません。
もし外通路の妨げになりそうな場合や隣との距離が近すぎる場合は、張り出し部分が普通の半分ほどのハーフ出窓を選ぶと良いでしょう。出窓を設置する計画段階で、家の内側だけでなく外側にもどのような影響があるかをチェックすることが重要です。
カーテンレールは窓に沿って取り付ける
出窓にカーテンを取り付ける際、窓に沿ってカーブを描くようにすると使い勝手が良くなります。出窓の手前側にカーテンを取り付けると、カーテンを閉めていても出窓に置いたものが外から丸見えになってしまいます。
植物など日に当てても差し支えないものならいいのですが、日焼けが気になる置物や外から見えてほしくないものの場合はカーテンで目隠ししてみては?出窓のカーブに合わせて設置できる、曲げられるカーテンレールがありますので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
キッチン奥の出窓は開閉を考えて
キッチンのシンク奥の出窓は、開け閉めする時のことを考えて設置しましょう。出窓に奥行きがありすぎると、窓の開閉にも苦労してしまいます。キッチンによく立つ方が開け閉めしやすいサイズや奥行きのものを選ぶようにしましょう。
またキッチンの出窓はいつも清潔にしておきたい場所でもあります。窓ガラスなどを拭く姿勢をイメージしながら出窓のサイズを選ぶと失敗が少なくなります。
出窓リフォームはデメリットの解消がポイント
出窓リフォームには出窓を新しく設置する工事や、断熱性の高いガラスやサッシに変更する工事など、さまざまな内容があります。また出窓には部屋が広く明るく見えるなどのメリットの他に、夏暑くて冬寒いなどのデメリットがあります。
出窓のリフォームでは、そのようなデメリットを解消するのが工事を成功させるポイントになります。出窓を使いやすく高性能にリフォームして、出窓のある部屋を一層使いやすく快適にしましょう。