冬場の窓の結露や室温の保持には、二重窓リフォームがおすすめです。意外と簡単に費用もそれほど掛からずできるので「窓周辺がなんとなく寒い」「エアコンの効きが悪い」とお悩みの方はリフォームしてみてはいかがでしょうか?
二重窓ってどんな窓?二重窓の種類や施工方法を解説

二重窓とはそもそもどんな窓かご存知ですか?二重窓リフォームができる場合とできない場合があるので、リフォームを依頼する前にチェックしておきましょう。
二重窓とは?ペアガラスとはどう違う?
二重窓とは、窓の内側にもう一枚の窓を取り付けたものを指します。つまり既存の窓にもう一枚を追加で取り付ければ、二重窓ということになります。
よくペアガラスと混同される方がいますが、ペアガラスというのはガラスの種類のことで、二枚のガラスの間に空気やガスなどが充填されているもの。二重窓とペアガラスの違いを分かりやすく表にしましたのでご参考ください。
二重窓 | ペアガラス | |
特徴 | リフォームの施工方法を指す。 二組のガラスを二列に配列した窓のこと。 | 二枚以上が合わさったガラスの種類を指す。 ガラスの間に空気やガスを充填、 真空状態のものもある。 |
別名 | 二重サッシ 内窓 インナーサッシ | 二重ガラス 複層ガラス |
二重窓にリフォームするのにペアガラスを使って施工することも可能です。断熱性がさらにアップするのでおすすめの方法となります。
二重窓リフォームができる窓の条件とは
家のどんな窓にでも二重窓リフォームができるという訳ではありません。基本的には二枚のサッシを左右に開け閉めする引き違い窓のみが設置可能となります。外窓が内窓に干渉するような次のような窓の種類は、二重窓にできませんのでご注意ください。
- 上げ下げ窓
- 天窓
- 内倒し窓
さらに内窓を設置するには、窓枠に十分なスペースがあることがリフォームの条件になります。もし取り付けられるスペースがないという場合には「ふかし枠」という専用部材を窓枠に新たに設置することで、二重窓リフォームが可能になることがあります。詳しくは専門の業者までご相談ください。
二重窓に使われるガラスの種類は?
二重窓リフォームに使うガラスは、より機能性が優れたものを採用することで断熱性や結露の防止により効果を発揮します。下の表では窓によく使われる単板ガラスとその他の機能性ガラスの比較をしています。二重窓リフォームにどんなガラスを使おうか検討する際の参考にしてください。
ガラスの種類 | 特徴 |
単板ガラス | 厚さ3mmと5mmがある1枚の板ガラスを使用。 価格は安いが断熱性や結露防止効果は低い。 |
ペアガラス (複層ガラス) | ガラスとガラスの間に空気の層を作って1枚にしたガラス。 単板ガラスの二倍の断熱効果で結露がしにくくなる。 |
真空ガラス | 複層ガラスの中でもガラスとガラスの間が真空になったもの。 真空は熱を伝えないため、断熱効率が大幅にアップする。 |
高断熱複層ガラス (Low-Eガラス) | ガラスとガラスの間にアルゴンガスが詰め込まれているガラス。 また室内側のガラスには特殊な金属膜がコーティング。 空気よりも熱を通しにくいため外気温を伝えにくい。 断熱性が優れていることで寒冷地での使用におすすめ。 |
遮熱高断熱複層ガラス (Low-Eガラス) | 直射日光と紫外線をカットしてくれるガラス。 西向きの部屋や日焼けによる部屋の物の色褪せが気になる時に。 |
防音合わせガラス | ガラスとガラスの間に防音効果のあるフィルムを挟み込む。 音の周波数ごとにガラスの種類が異なるため どんな音に悩まされているかによって選ぶ。 |
二重窓で得られる効果とは
二重窓にリフォームすると様々な効果が得られます。代表的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
断熱効果
二重窓リフォームで一番効果が発揮されるのが、外気の影響を受けにくくする断熱効果です。実際の住宅では、冬は50%前後、夏は70%ほどの空気が絶えず窓から出入りしています。二重窓で空気の出入り口をふさぐことで、温度差のある外気と室内の空気が混ざらないようにする仕組みです。
つまり冬は暖房で暖まった空気が、夏場はクーラーで冷やされた空気が外に逃げるのを防いで、室温を長時間キープしてくれるということ。この高い断熱効果によって、電気代も節約できるので省エネにも有効です。
結露発生抑制効果
二重窓は冬場の結露の発生も防ぐ効果があります。そもそも結露というのは室内で温められた湿った空気が、窓の周辺に近づくことで急激に冷やされて空気中の水分が固まって液体になる現象のこと。
この水分が窓ガラスに水滴として付着して結露になります。結露はサッシやカーテンにも付着して劣化の原因となるだけでなく、放っておくとカビの発生の原因にもなります。吸い込んでしまうと体にも悪いため、こまめな手入れが必要に。
しかし窓を二重窓にリフォームすることで、二つの窓の間で空気の流れを遮断。内窓の温度がそれほど下がらないので結露自体の発生を抑えることができます。さらにサッシを樹脂サッシにすることで結露を大幅に軽減することが可能です。
サッシによく使用されているアルミは金属製ということで熱を伝えやすい性質があります。しかし樹脂は熱の伝導がほとんどないという性質があるため、樹脂サッシは内窓の断熱化に大きな効果が持てるのです。
気密性が高いため防音・遮音効果がある
二重窓は断熱性だけでなく気密性も高まるため、防音や遮音効果が期待できます。音というのは空気を伝わって薄い窓ガラスやサッシの隙間から室内に入り込んできます。そこで窓自体の気密を高めることで防音対策にするという考え方です。
実際に交通量の多い道路わきや線路の近くの地域では、窓を二重窓にしている住宅が多数見受けられます。人間は音量が50dB(デシベル)を超えるとうるさく感じるとされています。一般的な単層ガラスの遮音効果は20dBなのに対して、二重窓にリフォームした場合の遮音効果は40dBとほぼ倍になります。
さらに外からの騒音だけでなく家の中の音も外に漏らさないという効果が期待できます。そのため家が商業地域や繁華街、交通量の多い道路や線路わきにあるという方には特におすすめのリフォーム方法です。
防犯にも効果あり
二重窓リフォームは防犯対策としても効果的。警視庁によると、空き巣や泥棒が一戸建ての住宅に入る場合、約6割が窓を破壊して侵入してくるという報告があります。
空き巣が実際に窓を破壊してカギを開錠、室内に侵入するまでの時間はあっという間。逆に室内にスムーズに侵入できない場合は、外を歩いている人に発見されて通報されるリスクが高まることになります。これまでの統計で、侵入までに5分以上かかると7割もの空き巣が諦めるとされています。
つまり二重窓にリフォームすることで実際に侵入までの時間がかかり、空き巣に「この家は防犯対策しているな」と思わせる効果もあるため防犯対策に有効となります。さらにガラスを不透明な種類にすれば、目隠し効果やプライバシー保護にも役立つでしょう。
二重窓リフォームの施工方法や手順とは?
実際に二重窓へリフォームする場合はどのような手順で進んでいくのでしょうか?窓枠にスペースがある場合は、既存の窓枠の室内側に新しい窓を設置することになります。
- 左枠→右枠→下枠→上枠の順で枠を設置
- ガラスを枠にはめ込む
- 窓枠と枠の隙間にコーキングをする
作業は簡単で慣れた職人なら1つの窓につき、最短で30分~1時間程度で終了します。ただし枠と窓枠の間に注入するコーキング材が固まるまで時間がかかるため、半日から一日程度は窓の開け閉めを控えましょう。
主要メーカーの商品ラインアップ
ここで主要メーカーの代表的な二重窓商品をご紹介していきます。商品によって断熱性や防音性に差が出てきますので、二重窓にどんな効果を求めるかによって選んでみてはいかがでしょうか。
メーカー名 | 商品名 | 特徴 |
LIXIL | インプラス | 静電気でホコリの吸着を防ぐ「ダストバリア仕様」を採用。 木調のサッシ「インプラスウッド」も人気。 和室にもおすすめな和紙調ガラスなどデザイン性が豊富。 |
三協アルミ | プラメイクEⅡ | 後付けの二重窓リフォームにおすすめな商品。 既存の窓枠のサイズが合わない場合はオプションで調節可能。 |
YKKAP | プラマードU | サッシ色が6色あり、部屋のテイストに合わせられる。 |
旭硝子 | まどまどstd | サッシ部分はシールラッピングを施した4色展開。 アルミと樹脂を使用した複合断熱構造で熱の伝わりを抑える。 |
大信工業 | 内窓プラスト | オーダーメイドでのみ内窓を製造しているメーカー。 超高気密かつ高品質の内窓が特徴で、 高い防音・遮熱効果が期待できる。 |
AGC | まどまどplus | 割れてもケガしにくいガラスを採用し、安全性抜群。 防音性が高い高性能な内窓をお探しの方におすすめ。 |
二重窓リフォームの費用相場をご紹介!

二重窓リフォームにかかる費用は使用するガラスのグレードや窓の大きさによって大きく異なります。こちらでは窓の大きさやサイズによって大体の費用相場をご紹介していきます。費用はサッシの本体価格に施工費をプラスしたものです。
工事内容 | 窓サイズ(cm) | 費用相場 |
小窓 | 60~100×100~150 | 4万~6万円 |
腰高窓 | 100~140×150 | 6万~8万円 |
掃き出し窓 | 190~240×200 | 10万~14万円 |
お風呂やトイレなどにある小窓は4万~6万円ほどでリフォーム可能。腰高窓では6万~8万円、床までの掃き出し窓では10万~14万円ほどかかる場合があります。
さらに住宅の構造や立地条件などによっても費用が変動する可能性があります。詳しくは現場を見てもらった業者にお問い合わせください。
二重窓リフォームをする際の注意点
二重窓にリフォームする際にはいくつかの注意点があります。施工後にこんなはずじゃなかったと後悔しないように、これらの点に気を付けましょう。
窓のサイズによっては換気や掃除がしにくい
二重窓は内側と外側に二枚のガラス窓があるため、それぞれを掃除する手間や開け閉めする換気が面倒というデメリットがあります。今まで一回で済んでいた手間が倍になるわけですから、慣れるまでは面倒に感じることもあるでしょう。
しかし掃除に関しては外からのホコリやごみは内側の窓ガラスには付着しないため、それほど汚れることはありません。ただし外側にベランダやバルコニーがない二重窓の場合は、安全性を考えると外側からの掃除ができないこともありますのでご注意ください。
マンションではリフォーム可能か事前に確認
マンションでは窓を二重窓にリフォームする際には事前に確認が必要になります。というのもマンションには戸建て住宅にはない「共有部分」と「専有部分」があるためです。専有部分は所有者が自由に手を加えることが可能ですが、共有部分は勝手にリフォームすることは禁止されています。
外に面している窓は共有部分としているマンションも多いため、規約によってはリフォームができないということもあります。そのため必ずリフォームを計画している段階でマンションの管理規約を確認するか、管理組合に相談するようにしましょう。
また専有部分であっても自由にリフォームできない規約となっているマンションもあります。そこでマンションでは工事をしたい部分がどこであっても、事前に管理組合などに問い合わせることをおすすめします。
二重窓リフォームは一部屋すべてに施工する
二重窓リフォームの注意点として、一つの窓だけを二重窓にしても十分な断熱効果が得られないことがあります。部屋に一か所しか窓がない場合は有効ですが、複数個所窓がある部屋では、すべての窓を二重窓にしないと室内の空気が外に漏れ出てしまうため。
複数個所を二重窓にリフォームする場合、一枚当たりの施工費を値引きしてくれる業者もありますので、事前に値段を交渉するのもおすすめです。また複数個所のリフォームとなるとそれだけ時間もかかりますので、余裕のある工事日程を考えておくことも大切です。
二重窓リフォームをお得にするには?

最後に二重窓リフォームがお得になる情報をご紹介します。窓の断熱工事というのは様々な助成金の対象になっていますので、それを利用することをおすすめします。
火災保険が適用される場合がある
住宅にかけている火災保険が適用されれば、費用の一部を補償してもらえる可能性があります。火災保険という名称ですが、実は様々な自然災害や事故などによる補償が受けられる場合があります。
- 熱割れによる窓のひび
- 台風・竜巻・大雪等の自然災害での割れ
- 空き巣による窓の破損
- 強風により物が飛んできて割れた
- 家具の移動中に窓にぶつけて割った
- 外から鳥やボールがぶつかって割れた
ご自宅の火災保険が何を補償対象としているかをチェックして、条件に当てはまる場合は申請することをおすすめします。
ただし火災保険には「免責金額」というものがあることをご注意ください。この免責金額とは契約時に契約者が指定したもので、実際の修理にかかる金額がこの免責金額を超えなければ補償を受けられないというもの。
1万~10万円前後の幅がありますので、修理の見積もりを取ったらこの免責金額を確認して金額が超えているかどうかチェックしましょう。ただし火災や自然災害といった原因では、窓だけでなく外壁や屋根なども破損している可能性がありますので、修理費用を合算した金額で請求すれば保険が適用される場合があります。
次世代建材制度を活用
全国共通の制度で「次世代省エネ建材支援事業(次世代建材)」 というものがあります。これは指定する建材を使用して、断熱リフォームや家の機能を向上させるリフォームを行った場合に、国が補助金を支給する制度のこと。
他にもバリアフリー工事やエコ住宅設備の設置などが制度の対象です。二重窓リフォームは開口部の断熱改修という項目に当てはまりますので、ぜひ申請してみてはいかがでしょうか?
この制度はポイント制で、事務局に登録されている指定の型番の建材を使用した工事にのみポイントが発行されます。1ポイントを1円として、後で様々な商品と交換できるようになっています。
断熱リノベでお得になる
断熱リノベと呼ばれる「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業制度」という制度もあります。これはエコや省エネを目指す住宅のリフォーム工事費用を国が一部を負担するというもの。
対象となる窓のリフォーム工事はこちらとなります。
- 二重窓(内窓)工事
- 真空ガラス工事
- アルミサッシ交換工事
これらのリフォーム費用を上限15万円として、1/3程度の補助金が受け取れます。この制度は毎年決まった件数のみの先着順ですが、実施されなかった年もあることから事前に確認が必要です。
また申請時には下記のような書類が必要となります。
- 住民票
- 印鑑登録証明書
- 平面図・立面図
- 申請書類
マンションの場合は上記の書類に追加で、このような書類が必要になります。
- 管理組合理事長への工事申請書のコピー
- 承認書のコピー
- 管理規約
ご自分で準備するのが難しい場合は、このような制度の申請になれた業者に依頼するのも一つの方法です。
二重窓をお得にリフォームして快適な室内空間にしよう
二重窓リフォームは一窓当たり最短で30分程度で完了し、付けたその瞬間から十分な断熱効果や遮音効果が得られます。機能性の高いガラスを使用することで、さらにその効果をアップさせることが可能に。
次世代建材や断熱リノベといった国の補助金制度を上手に活用しながら、お得に二重窓リフォームをしてみませんか?二重窓リフォームで、冬の寒さや夏の暑さが気にならない、快適な室内環境を手に入れましょう。