昔から部屋の床材として使われてきた畳ですが、近年では生活様式の変化や掃除のしやすさからフローリングへ張り替えたいと考える人が増えてきました。そこで今回は畳からフローリングへリフォームする場合の方法や費用相場などを紹介していきます。
畳からフローリングへリフォームする方法とは?
そもそも畳からフローリングへリフォームするのにはどのような方法があるのでしょうか?実は畳敷きの部屋をフローリングの洋室に変える方法が3つあります。
- 畳の上からウッドカーペットを敷く
- 畳の上からフローリング材を施工する
- 畳を剥がしてフローリング材を張り替える
他にもフローリング風のタイルカーペットを敷き詰めるなどの方法があります。施工方法の簡単さから、DIYで出来る工事もあるので挑戦してみても良いでしょう。それぞれの施工方法や費用の相場が異なり、メリット・デメリットもありますので予算や仕上がりの希望に応じて選んでみて下さい。
畳からフローリングへ変える方法とは?費用相場も解説

では実際に畳からフローリングへリフォームする場合の施工方法や特徴、費用相場などについて解説していきます。予算や仕上がり具合を考えながら、適切な施工方法を決めてください。
畳の上から敷くだけ!ウッドカーペットで簡単に
素人でも簡単にフローリングにできるのが、ウッドカーペットを畳の上から敷く方法です。ウッドカーペットとはフローリング風の床材をつなぎ合わせて作られている敷物。そのつなぎ目で折り曲げて、まるでカーペットのようにロール状に巻いて持ち運べることからウッドカーペットという名前が付けられました。
商品によっては「フローリングカーペット」という名前が付けられていることがありますが、使用方法は同じです。ウッドカーペットのメリットやデメリットは以下のようになっています。
【メリット】
- 手軽にフローリング風にできる
- 畳の上に敷くだけなので簡単
- 賃貸物件にも使える
【デメリット】
- 部屋の大きさに合った商品を探すのが大変
- 変形した部屋だと敷き詰められない
- 安っぽく見えてしまう
- 畳に湿気がたまりカビの原因になる
そしてウッドカーペットのサイズごとの費用相場はこちらです。ウッドカーペットは広げるだけで敷き詰められますので、商品を購入して部屋に持ち込めさえすれば素人でも施工可能です。
4.5畳 | 6畳 | 8畳 |
15,000円~30,000円 | 19,000円~50,000円 | 23,000円~60,000円 |
畳の上からフローリング材を張る
あまり大掛かりなリフォーム工事をしたくないという方には、畳の上からフローリング材を張る工事をおすすめします。こちらは簡易的な工事になるため工事費用や畳の撤去費用がかかりません。その他の特徴はこちらです。
【メリット】
- 手軽に安くリフォーム出来る
- 施工が簡単で素人でもOK
- メンテナンスが簡単
- 大きな傷が付いたらその部分だけ張り替えられる
【デメリット】
- 下の畳が傷んでしまう
- 畳とフローリング材との間に湿気がこもりカビが生えやすい
- 安っぽい印象になる
実際の作業は床材を畳の上に置くという表現が適しているほど施工は簡単。部屋の大きさに合ったフローリング材を入手できれば素人でも施工ができます。そして費用相場はこちらになります。
フローリングの種類 | 4.5畳 | 6畳 | 8畳 |
複合フローリング | 85,000円~ 115,000円 | 100,000円~ 140,000円 | 120,000円~ 170,000円 |
無垢フローリング | 90,000円~ 145,000円 | 105,000円~ 180,000円 | 135,000円~ 228,000円 |
畳を剥がしてフローリングへ張り替える
畳を剥がしてフローリングを張り替える工事は一番大掛かりですが、仕上がりにこだわる方にはおすすめです。こちらのメリット・デメリットは下記の通りです。
【メリット】
- 本物のフローリング材を使うため仕上がりが本格的
- 床の高さを合わせられ、段差ができない
- 湿気がこもるなどのトラブルが無い
【デメリット】
- 費用が高くなる
- 工事日数が1~3日ほどかかることもある
- DIYでするには難易度が高い
施工方法は既存の畳を剥がして下地材を補修、断熱材などを充填した後にベニヤを張り、その上からフローリング材を張り付けていきます。そのため部屋の種類やフローリングの種類によって費用の相場は大きく変わります。
特に無垢材のみを使用した無垢フローリングは、ベニヤの上に天然木を重ね合わせた複合フローリングよりも値段が高くなります。無垢フローリングの中でも使う木の種類や色、節の有無や木目の出方によって金額が異なります。
フローリングの種類 | 4.5畳 | 6畳 | 8畳 |
複合フローリング | 98,000円~ 135,000円 | 118,000円~ 165,000円 | 143,000円~ 205,000円 |
無垢フローリング | 128,000円~ 158,000円 | 150,000円~ 198,000円 | 185,000円~ 250,000円 |
これらの工事を業者に依頼する場合、工事日数は半日~1日程度です。床材を交換するリフォームの場合、室内にある家具などはすべて移動させてからの工事になります。
家具移動まで業者に頼むとすると時間が余分にかかり、工事完了まで2日程度となることも。そのため自分で移動できそうな小さな家具などは、あらかじめ移動しておくと工事がスムーズに始められます。
フローリングの種類や材質による特徴を解説!
畳の部屋をフローリングに張り替える場合、種類や材質によって金額や特徴が異なります。どんなフローリングを選んだらいいのか分からないという方のためにフローリングの種類による違いや、素材による特徴をご紹介していきます。
フローリングの種類は二種類
先ほども少し触れましたが、フローリングには「無垢フローリング」と「複合フローリング」の二種類があります。それぞれの特徴や㎡当たりの費用相場はこちらです。
無垢(単層)フローリングは木のぬくもりが感じられる
無垢フローリングは天然木を切り出した無垢材を使っていることから、木のぬくもりが感じられると人気の床材です。手触りや風合いが自然で、化学物質などを含んでいないためアレルギーやアトピーの家族が居る家におすすめ。
ただし木の種類によってはキズが付きやすかったり、反りが気になることも。また定期的なワックスがけといったメンテナンスが必要なのも無垢フローリングの特徴です。
複合フローリングなら費用を抑えられる
一方の複合フローリングは複数の薄いベニヤを張り合わせ、一番上に天然木や木目シートを張り付けた床材です。比較的安価で色や柄などのバリエーションが豊富なのがメリット。メンテナンスがほとんど必要なく、遮音性や耐水性、耐傷性が高いのも特徴です。
下の表は無垢フローリングと複合フローリングの価格や特徴を比べたものです。
無垢フローリング | 複合フローリング | |
価格(㎡当たり) | 7,000円~27,000円 | 3,000円~18,000円 |
経年劣化 | しやすい | しにくい |
掃除のしやすさ | しにくい | しやすい |
調湿機能 | あり | なし |
膨張や反り | 発生する | 発生しにくい |
耐水性・耐傷性 | 弱い | 強い |
色のバリエーション | 少ない | 多い |
フローリングの素材による特徴とは
特に無垢フローリングの場合ですが、使っている木の種類によって風合いや色目が異なってきます。下の特徴を参考にしながら、ご自宅のインテリアテイストや求める機能に合ったフローリング材を選んでみましょう。
素材の種類 | 特徴 |
ウォールナット | ダークブラウン色で耐久性に優れている。 古くから家具や内装に用いられ、シックで落ち着いた部屋に合う。 |
メープル | 白っぽい素地で木目はそれほど目立たない。 ナチュラルな部屋におすすめで耐摩耗性が高い。 |
チーク | 東南アジア原産の木材として耐久性や耐水性が高い。 色は重厚感がある濃いめのブラウン。 |
パイン | 比較的柔らかく加工しやすい。 全体的に白っぽい色が特徴で広くフローリング材として使われている。 |
畳からフローリングへリフォームする際の注意点

では畳からフローリングへリフォームする際にはどんな点に注意が必要になるのでしょうか?安くする秘訣もご紹介していきますので、チェックしてください。
畳の上から張る場合は湿気対策が必要
畳の上にウッドカーペットを敷いたりフローリング材を張る場合、畳に湿気がこもってしまいカビが生える原因になることも。これは畳が調湿機能があるという特徴に由来するものです。
畳が湿気を含んだ状態でウッドカーペットなどでフタをしてしまうと、行き場のなくなった水分が悪さをしてしまいます。そこで畳とフローリングの間に除湿シートや乾燥シートなどを敷き、対策をする必要があります。
壁や建具もリフォームする場合は費用がかかる
畳敷きの和室の床をフローリングにした時、壁や建具、押入れなども一緒にリフォームすると費用が余分にかかってしまいます。こちらは和室から洋室リフォームにかかる費用の相場です。
工事内容 | 費用相場 |
壁や天井のリフォーム | 80,000円~200,000円 |
押入れをクローゼットへ変更 | 80,000円~250,000円 |
襖を洋室用建具へ変更 | 50,000円~220,000円 |
上記のように和室を丸ごと洋室にするには、高額な費用がかかることも。そのためどこまでの範囲をリフォームするかが重要となります。押入れをクローゼットにするには25万円程かかる大掛かりな工事も、押入れの建具の表面を洋風のクロス貼りにすることで費用を抑えるという方法があります。
そのため予算をあらかじめ決めておくと、範囲内で出来るだけ工事をお願いすることができるのでおすすめです。
防音や冷え対策が必要になることも
畳はフローリングと比べると厚さが違うため、フローリングに張り替えた際に防音性や保温性が低下する恐れがあります。畳の厚さは平均で40~50mm程度であるのに対し、フローリングは12~15mmほどしかありません。この厚みが原因で防音性が落ちて音が響きやすくなったり、冬の寒い時に足元からひんやりとした冷気を感じることがあります。
特にマンションでは床材の張り替えを行う際、管理規約で定められた防音基準を満たすフローリングを使う必要があります。マンションごとに異なりますが、遮音等級がLL40~50といったグレードのものを使うようにしましょう。これによりフローリングにしたことでの防音性の低下が抑えられます。
また冷え対策としてはフローリングの下に断熱材を敷き詰めたり、複合フローリングの場合は床暖房を入れるという方法があります。フローリングは掃除がしやすいなどのメリットがある一方でデメリットもありますので、解消する手段を考えて張り替えることをおすすめします。
DIYでフローリングにしたいなら敷くだけの方法で
もし自分で畳からフローリングにしたいと考えているなら、敷くだけでOKのウッドカーペットやフローリングタイルなどを選択しましょう。費用だけを考えると自分で畳を撤去してフローリングに張り替えるという方法もありますが、床下の状態や採寸、フローリングの切断などのプロの技術が必要となります。
さらには張り替えた後のトラブルが起きることを考えると、ここは畳の上から敷くだけで簡単にフローリングにする方法がおすすめです。建物自体に傷をつけないため賃貸物件でも問題ありませんし、飽きたら撤去も簡単。道具がいらないはめ込み式の「イージーロックフローリング」といった商品もありますので、女性でも簡単に施工できます。
介護保険制度を利用すれば安くリフォームできる
もし家族に要介護・要支援認定を受けている方がいれば、介護保険を使ってお得にリフォームすることもできます。最大20万円までの工事費の約9割を負担してくれますので使わない手はありません。介護制度を利用したリフォームは次のような流れとなります。
- 工事前、市区町村の窓口に事前相談をする
- 市区町村の窓口に申請書・理由書を提出して申請する
- 工事を正式に発注する
- 工事が完了したら工事費用の支給申請を出す
介護保険制度を利用する場合は工事金額の上限が決められており、どのような理由で床材の変更が必要かという理由書の提出が求められています。
また改修前と改修後の日付入りの写真も申請に必要となるため、介護リフォームに詳しい業者に依頼することをおすすめします。さらに申請前には必ず担当のケアマネジャーに相談してから進めていきましょう。
施工方法や材質を上手に選んで畳からフローリングへリフォームしよう

今回ご紹介した通り、畳からフローリングへリフォームする方法はいくつかあることが分かりました。それぞれに費用の相場やデメリットなども異なりますので、どんな仕上がりを求めるか?予算はいくらを考えているか?に応じて適切な方法や床材を選択しましょう。
また家は持ち家か賃貸かによっても出来る工事が違います。畳や下地の状態によっては張り替えした方がいい場合もあるので、専門業者に見てもらってから施工方法を決定することをおすすめします。