キッチンタイルはどう選ぶ?タイル張り替えの注意点&優良業者の選び方

耐火性や耐水性に優れたタイルは、キッチンにぴったりの内装材ということをご存知ですか?今回はタイルの種類や選び方、張り替える際の注意点などを解説。タイル張り替えを安くするポイントや業者の選び方などもご紹介しますので、キッチンリフォームにタイルを使いたいと考えている方は参考にして下さいね。

キッチンタイルにはどんな種類がある?床タイルとの違いは?

キッチンタイルは昔から日本でもキッチンの壁に使われている内装材の一つ。耐水性や耐火性だけでなく耐久性や耐候性にも優れている素材です。そのためキッチンだけでなく、風呂場や外壁材にも幅広く使われてきました。そのタイルには素材や作り方によって様々な種類があることをご存知ですか?ここではタイルの種類について詳しく見ていきましょう。

素地の種類にによって磁器質や陶器質に分けられる

タイルは長石や陶石、粘土などの原料と、色を付けるための顔料を混ぜ合わせて形を作り、1,000度以上で焼成して作られています。タイルの種類は製造方法や用途などによって様々に分類されます。ここではタイルの質(素地)による分類を見ていきましょう。この素地による分類は、タイルが水をどのくらい吸うか?という吸水率によって分けられています。

  • 磁器質・・・素地(きじ)が綿密で吸水性が低い(吸水率1%以下)
  • 陶器質・・・素地に細かい穴が開いており吸水性が高い(吸水率22%以下)
  • せっ器質・・・素地が硬く吸水性は中程度(吸水率5%以下)

吸水率が低ければ低いほど耐久性や耐寒性が高く、汚れも付きにくいというメリットがあります。これは焼成温度により硬さが変わるタイルの特徴を利用して作られています。高温になればなるほど吸水率が低いタイルが出来上がるという訳です。

内装や床などの用途によって種類が違う

住宅のどの部分に使うタイルなのか?という用途でも様々な種類があります。上で説明した素地による種類ごとに、適した用途があります。

  • 内装タイル・・・建物の内壁に使われる。乾式成形の陶器質や磁器質、せっ器質など
  • 外装タイル・・・外壁には強度が高く耐久性に優れた磁器質やせっ器質を使う
  • 床タイル・・・耐摩耗性のある陶器質やせっ器質を使う
  • モザイクタイル・・・磁器質で小さなタイルが並んだシート状になっている

内装に使われるタイルは種類を選ばず、場所やデザインによって使い分けられています。一方の外壁タイルは強度が高い磁器質やせっ器質のタイルを使用。床に使われるタイルは内装タイルや外装タイルとは違い、タイル表面の質によって選ばれています。ツルツルしたタイルは汚れが落ちやすいので壁には向いていますが、床に使うと滑ってしまう恐れが。そこで床タイルは表面がザラザラしている、滑りにくいものが主に使われています。

製造方法や仕上がりによって名称が変わる

釉薬(ゆうやく)と呼ばれるガラス質のうわぐすりを使っている・いないでもタイルの種類が変わります。この釉薬により、吸水率の高いタイルでも水回りに使えるようになります。一方の無釉タイルは独特の質感で、土の持つ温かみが感じられます。原料全体に色づけするので、欠けや割れがあっても目立ちにくくなっています。

  • 施釉タイル・・・水や汚れが付きにくいツルツルとした釉薬をかけて焼いたタイル
  • 無釉タイル・・・素地自体のザラザラとした表面で顔料などで色付けしたタイル

また成型方法によってもタイルの種類は分けられます。乾式成形タイルはこれまでのモルタルによる施工をするタイルで、裏面に凹凸のある「あり足」があります。一方の湿式成形タイルは、裏面の凹凸がないタイプを指します。

  • 乾式成形タイル・・・粉状の原料をプレスして成形したタイル
  • 湿式成形タイル・・・土練機で原料を混ぜ、押出成形したタイル

初めてでも失敗しない!キッチンタイルの選び方

タイルはデザインや色が豊富で、組み合わせによっておしゃれなキッチンに仕上げられます。もちろん水や火を使うキッチンに適しているので、キッチンのリフォームをする際にはぜひタイルを取り入れてみては?キッチンのリフォームにタイルを使いたい!という方のためにタイルの選び方をご紹介していきます。

タイル選びに迷ったら施工例を見てイメージを膨らませて!

キッチンのタイル選びに迷ったら、実際に使用されている施行例などを参考にしてイメージを膨らませてみて下さい。「キッチンにタイルを使いたいけど、どう選べばいいか分からない」という方にもおすすめの選び方。タイルには上で紹介したように、釉薬の色や素材の種類によって様々な質感や色があります。また表面に模様をプリントしたタイルや、絵柄が印刷されたタイルなどもあり、その組み合わせは無限大に。

インタネットでは北欧風やナチュラル、モダンなどのテイストごとに様々なキッチンタイルの施工例が見られます。自分の好きなインテイリアスタイルや、現在の家具やシステムキッチンとの相性を考えながら、施工例を参考にしてタイルを選んでみてください。実際にリフォーム工事する前に「こんなイメージで」と業者に写真を見せれば、 施工もしやすいはずです。

シートタイプのキッチンタイルなら施工費が安くなる

キッチンタイルのリフォーム工事に予算があるなら、シートタイプのタイルを選ぶようにしましょう。タイルの施工方法にはモルタルで一つ一つタイルを貼っていく方法と、シート状になったタイルを専用のボンドで貼る方法の二種類があります。シート状になっているのは主に小さいサイズのタイルです。紙の台紙にタイルがキレイに並んでいて、壁の寸法や形に合わせてカットしたら貼りつけるだけ。

一つ一つモルタルで貼りつける施工方法と比べても短時間で仕上がるので、施工費が安く済みます。一般的に表面積が50c㎡以下のユニットタイルとして売られているので、DIYでキッチンリフォームする方にもおすすめです。

劣化しにくい磁器質やガラス製のタイルがおすすめ

吸水率1%以下の磁器質タイルやガラス製のタイルは、水を使うキッチンに特におすすめです。特に施釉タイプ磁器質のタイルは表面がツルツルしているので、油や水で汚れてもふき取るだけで手入れはOK。非常に緻密で硬いので、叩くと澄んだ金属音のような音色を発します。

ガラスタイルは文字通りガラス製のタイルのこと。ガラスならではの透明感とカラフルな色使いで、女性に人気の内装材です。もちろんガラス製ということで耐水性も高いので、安心してキッチンにも使えます。キッチン壁の下部やシンク周りにアクセントとしてガラス製のモザイクタイルを貼れば、カラフルでかわいらしいキッチンになりますよ。

白いタイルに模様入りをプラスして自分流に

あまりカラフル過ぎるタイルは…という方におすすめなのが、白タイルにアクセントとして模様入りをプラスする方法。清潔感のある白タイルに、こだわりの模様やイラストのような絵柄のタイルを取り入れるだけで、グッとオリジナリティあふれるキッチンになります。

タイルに描かれた模様はおしゃれでアーティスティックなものが多いため 、選ぶ楽しみもありますよ。全面に使うとうるさくなりがちな模様入りタイルですが、白タイルと組み合わせることによってグッと深みが増します。

モザイクタイルならアレンジも簡単

あらかじめシートに色合わせされている状態でそのまま貼ることができるモザイクタイルなら、アレンジも楽々です。このモザイクタイルは、キッチン壁のリフォームに人気があり、需要も多いため種類も豊富。自分でタイルを組み合わせる必要がないので、センスに自信のない方にもおすすめです。

キッチンタイルを張り替える際の注意点とは

それでは実際にキッチンタイルを選ぶ際の注意点について見ていきましょう。キッチンにタイルを貼りたいと思っている方は要チェックです。

タイルは写真だけでなく実物もしっかり確認

タイルを選ぶ際はカタログの写真だけでなく、現物もしっかり自分の目で見て確認しましょう。タイルは色やデザイン、質感などがさまざまです。写真だけでは分からない微妙な色遣いや手触りなどを確かめるためには、業者に相談して実物のタイルを取り寄せてもらってください。実は建築資材の中で、カタログの写真と実物の印象が違うものの第一位がこちらのタイルや石なんです。

実際にキッチンに貼ってから、「こんな色や素材感だったのか…」と後悔しないように、カタログでピックアップしたタイルはサンプルを取り寄せるか、ショールームに展示品がないかをリフォーム業者に聞いてみましょう。

キッチンや床などの相性もチェック

タイルを選ぶ際は、キッチンや床の色との相性も大事。キッチンの扉やカウンターの色、フローリングの色などを見ながら、キッチンの空間がちぐはぐな印象にならないように、タイルサンプルを並べて確認しましょう。デザイン性や装飾性が高いキッチンならシンプルで主張しすぎないタイルがおすすめ。逆にすっきりとしたキッチンには少し思い切った色や柄のタイルにしてみては?

メンテナンスのしやすさも大切

キッチンをタイルにした際、メンテナンスがしやすいかも選ぶポイントになります。タイル自体は表面がツルツルしているので、水や汚れは落としやすくなっています。ただタイルとタイルの間の目地(めじ)と呼ばれる部分に、汚れが付きやすいのがタイルのデメリットの一つ。この目地にはモルタルというセメント状にものが詰められており、触ると表面がザラザラしていることが分かります。ザラザラしているということは、そこについた油や汚れが落ちにくくなります。その汚れがたまると目地の黒ずみにも繋がります。

そのため目地の少ない大き目タイルを選ぶか、なるべく汚れが付きにくい場所にタイルを貼るとメンテナンスがしやすいです。とは言っても長年キッチンを使っているとどうしてもタイルの目地が汚れてきます。そんな時は以下の方法でお手入れしましょう。

  1. 塩素系洗剤や重曹を目地にしみこませる
  2. 使い古しの歯ブラシやアイスの棒で軽くこする
  3. 汚れや残った洗剤は水洗いしたのち、乾いたタオルでふき取る

こする時に力を入れすぎると、目地のモルタルを傷つけてしまいます。汚れが落ちないからとゴシゴシこするのは避けてくださいね。

タイルの大きさで張った印象が変わる

タイルの大きさによっても、キッチンに貼った時の印象が変わるということを覚えておきましょう。タイルにはモザイクタイルのような小さなタイルから、一枚の大きさが30㎝もある大判のタイルまでサイズがさまざま。小さなタイルを隙間なく貼るとかわいらしく見える一方で、大きなタイルは目地が少ないのですっきりと高級感のある印象が出ます。このようにタイルの大きさによっても見た目の雰囲気が変わるのもタイルの特徴です。

またタイルの目地の色も印象を変えるのに重要です。これまでは目地の色は白一色でしたが、現在はカラーバリエーションがとても豊富になっています。同じ白いタイルを貼るのでも、目地の色を変えるだけでキッチンの印象がガラッと変わります。主な目地の色と与える印象はこちらです。

  • ブルー・・・ホワイト×ブルーは清潔感のある落ち着いた印象の人気色
  • パステルピンク・・・かわいらしい優しいイメージのキッチンにぴったり
  • ブラック・・・引き締まった印象でモード感がアップ
  • グレー・・・ナチュラルや北欧風のインテリアにベストマッチ

このようにタイルと目地色をどう組み合わせるかでも、見た目の印象が変わります。タイルを選ぶのと一緒に目地の色も選んでみてはいかがですか?

キッチンタイルの張り替え費用やその内訳とは?

それではキッチンタイルの張り替え費用や工事内訳はどうなるのでしょうか。よく内容が分からない工事内訳の「諸経費」についても解説していきます。

張り替えの費用相場は1㎡当たり1万~3万円程度

キッチンタイルの張り替えにかかる費用は、接着工法で1㎡当たり1万~2万5,000円程度が相場です。キッチンスペースの床面積は3~4畳が一般的といわれていますがダイニングが一緒になった場合は約6畳と倍の広さに。キッチンのどこにタイルを貼るかにもよりますが、3~4畳のキッチンで壁のみであれば8~20万程度が相場となります。

もちろん貼る壁の面積が広くなれば費用は上がります。またタイルをまっすぐではなく斜めにするなどの特殊な貼り方や、コーナー部分が多いなどの手間がかる場合は通常よりも高くなります。もし金額が高くなるようなら、タイルを貼る場所や面積をもう一度検討してみましょう。

工事の内訳や諸経費とは?

5㎡の壁があるキッチンのタイル工事には、主に次のような費用が掛かります。

  • タイル材料代・・・45,000円~
  • 副資材(モルタル・目地材・接着剤)・・・6,000円~
  • 施工費・・・45,000円~
  • 既存壁撤去費・・・10,000円~
  • 産廃処分料(撤去した壁の処分料)・・・10,000円
  • 諸経費・・・費用総額の数%

ここでちょっと「諸経費」についてご説明。諸経費とは直接工事にかかる費用以外の、工事をマネジメントするための費用。大きく分けて「現場管理費」と「一般管理費」に分けられています。現場管理費には現場監督の人件費や職人さんの保険料などが含まれています。一般管理費には見積もりを作成した事務の人件費や通信費、領収書の印紙代など。建築工事をする上では、諸経費も大切な費用なんですね。

キッチンタイルの張り替えを安くするポイントや業者の選び方

最後にキッチンタイルの張り替え費用を安くするポイントや、賢い業者の選び方をご紹介。お得にタイル工事をするにはこのように業者を選ぶようにしましょう。

タイル工事の専門業者に依頼する

キッチンのタイル張り替え工事を安くしたいなら、タイル工事を専門に行っている業者に依頼しましょう。会社名に「○○タイル」や「△△陶工」など「タイル」や「陶」の文字が入っていたら、タイル専門業者の可能性が高いです。このようなタイル専門業者は自社でタイル職人を抱えていることが多く、外注に出す場合と比べると人件費がかかりません。またタイルの材料代も大量に発注していることから安くなる場合があります。

施工業者が多いエリアは価格が安く工事の質が良い

実は施工業者が多いエリアでは、安い価格で質の良い工事業者が多い傾向があります。これはタイル工事でも同じことが言えます。長い間その場所で会社を続けられるということは、他店との価格競争にも負けず工事の仕上がりに一定の評価がある業者という裏付けになるため。そのような業者を選べば価格、品質ともに満足ができるキッチンリフォーム工事ができるのではないでしょうか。

複数の業者へ見積もりを出してもらう

いくつかタイル業者をピックアップしたら、実際のキッチンを見てもらって見積もりを出してもらいましょう。見積もりで出された金額を比べるのはもちろんですが、現場調査やその後の会話で次のようなことを確認しましょう。

  • 工事内訳は詳細に出ているか?
  • 要望に沿ったリフォームを提案してくれるか?
  • 分かりやすく工事の説明をしてもらえるか?
  • 担当者との相性は良いか?

ともすると工事金額以上の重要な、業者との信頼関係が築けそうかをここでチェックできます。キッチンのタイル貼り替え工事をする場合には、相見積もりを取って信頼できる業者に依頼しましょう。