天窓が付いている住宅は太陽の光や涼しい風を取り入れられて、とても快適になります。ただ天窓は雨漏りが発生しやすい場所でもあります。そこで今回は天窓付近から水滴が落ちてきた時に有効な応急処置法や、雨漏り修理にかかる費用相場をご紹介していきます。
天窓から雨漏りがしたら!すぐできる応急処置法

天窓は屋根瓦よりも高い場所にあるため、風雨や紫外線の影響を強く受けてしまいます。また屋根や天井に穴を開けて設置しているということもあり、一度雨漏りが発生すると屋根全体が傷んでしまう原因となります。
天窓は雨漏り箇所としてはよく発生する場所でもあります。おうちに天窓があるという方は、いざという時に慌てないように応急処置法を覚えておきましょう。
雨漏りかと思ったら結露水の場合も
天窓が結露してその水がしたたり落ちて、雨漏りと勘違いするケースが多くありますので、まずは雨漏りが結露水でないかを見分けることが重要になります。次のような状況で水滴が落ちてきたら、それは結露水の可能性が高いといえます。
- 冬場に水滴が落ちてきた
- 雨の日でもないのに天窓が濡れている
結露水の場合は早急な修理は必要ありませんが、長時間放っておくと室内側の木枠が腐って窓が開閉しずらくなったり、壁の内側にまで水分が浸透してしまうと柱や梁などの構造材が腐る原因にも。
結露水には雨漏りと異なった以下のような対策や予防が必要となります。
- 近くに換気扇を取り付ける
- 窓を二重窓やペアガラスにする
- サッシを樹脂製に変える
- 防水シートを施工する
また結露水対策としては定期的にメンテナンスを行い、窓枠や壁の劣化を防ぐことが大切になります。
水が滴っている床に防水シートやバケツを置く
水滴が床にぽたぽたと落ちている時は、防水シートやバケツを使って水を受け止めましょう。天窓からの雨漏りで床が濡れてしまっている場合、そのままにしておくと床材や下地が腐る原因となります。
床が濡れていることに気が付いたら、濡れている部分を乾いたぞうきんなどですぐにふき取り、防水シートやブルーシートなどを広めに敷いてください。これは床が濡れるのを防ぐのに有効です。
ちょうど水滴が落ちてくる真下にはバケツを置いて水を受け止めるようにして下さい。バケツの中に雑巾や新聞紙を入れると周囲への水はねを防げます。
築浅物件の場合はハウスメーカーなどにすぐ連絡
家を新築して間もない場合は、施工した工務店やハウスメーカーにすぐ連絡してください。新築を建てて10年未満であれば、住宅品質確保促進法の「瑕疵担保責任制度」が適用されるからです。
これは国土交通省が定めている法律で、新築してから10年未満に柱や梁などの基礎構造部や雨水の侵入を防止する部分に欠陥が見つかった場合、売主はその責任を負うことが義務付けられているというものです。
つまり天窓は雨水の侵入を防止する部分に当たりますので、住宅を販売・施工した業者が全額雨漏りの修理代を支払わなければなりません。あなたの負担は実質0円で雨漏り修理ができますので、なるべく早めに購入したハウスメーカーなどに連絡しましょう。
万が一業者が倒産していた場合は、国土交通大臣指定の「住宅瑕疵担保責任法人」がその業者に変わって修理代金を負担してくれますのでご安心を。
天窓の雨漏りの原因は主に5つ
天窓からの雨漏りの原因として考えられるものは5つあります。それぞれについて詳しく解説していきますので、該当する原因がないかチェックしましょう。
ゴムパッキンの劣化
天窓のガラスとその周辺にある水切金具の間には、ゴム製のパッキンが使われています。そのゴムパッキンに穴が開いたり割れることで雨漏りが発生します。
ゴムパッキンの耐用年数は10年前後。その耐用年数が近づくと、長年風雨や太陽光にさらされたゴムパッキンは、まるでプラスチックのように固くなってひび割れや隙間ができてしまいます。
特に昔の家についている天窓は、外側にゴムパッキンが露出している種類があるため雨漏りの原因となることが多くあります。雨が降るとガラス付近からポタポタと雨水が落ちてくるならゴムパッキンが劣化している可能性があります。
ごみや落ち葉などが詰まっている
風で飛んできたゴミや落ち葉が天窓付近に溜まっていると、雨漏りが起こることがあります。
天窓は通常、屋根の下地に穴を開けて設置しますが、その下地には「下葺き」と呼ばれる防水シートを覆いかぶせています。天窓と屋根材の間に落ち葉やごみなどが溜まったままだと大雨の時に水が流れず、たまった雨水が下葺きを通り抜けてしまうと雨漏りが発生してしまうということに。
この雨漏りを放置すると野地板などの屋根の下地も傷んできます。修理の際には天窓以外の部分も補修が必要となるため、大規模なリフォームになってしまいます。
天窓の周りの壁や天井に水シミができている場合や、天窓の周りから雨漏りしている時にはゴミが溜まったことによる雨漏りの可能性があります。
防水シートや防水テープの劣化
防水シートや防水テープの劣化が原因で雨漏りが起こることもあります。天窓の周りには雨水が侵入しないように屋根の下地に鉛で出来た防水シート(下葺き材)が使われています。この防水シートは雨水の侵入を防ぐ、天窓設置工事には欠かせない部材の一つです。
また窓枠の周りには防水テープのをぐるりと貼り、水が入らないようにしています。これら防水シートや防水テープの耐用年数は10年程度。そのため20年以上そのままの防水シートやテープには劣化して穴が開いたり、切れていることがあります。
その状態で強い雨が降ると、防水シートの裂け目から水が入り込んでしまうことに。ゴミや落ち葉の詰まりと同じように、天窓周囲の壁や天井からじわじわと水がしみている場合は、防水シートや防水テープが原因となっていることがあります。
エプロンなどの板金部材の穴やひび割れ
屋根部品の一つであるエプロンや雨仕舞板金の劣化が原因となっていることがあります。傾斜がある天窓の下側には「水切りエプロン」という金属製の部品を設置します。
この取り合い部分やエプロン自体の劣化で穴が開いて、雨が侵入することが考えられます。部品の経年劣化でこうなることが多いので、劣化した部品を交換すれば雨漏りがぴたりと直ることがあります。
施工不良
天窓取り付けリフォームや前回の雨漏り修理をした後に雨漏りした場合は、施工不良を疑いましょう。天窓のリフォームや雨漏り修理というのは、防水や雨の返し方についての知識が豊富で経験や技術を持っていないと、再び雨漏りが起きやすくなってしまいます。施工不良には主に次のような箇所が考えられます。
- 水切り板の設置方法が悪い
- 防水シートの組み込み方を間違っている
- エプロンの取り付け間違い
特に新築時よりもリフォームで取付した場合に施工不良が起きやすくなります。古い部分と新しい部分をつなぎ合わせるリフォーム工事では、慣れていない人が施工すると不具合が起こりやすくなります。
新築して入居してすぐから雨漏りしている場合も、天窓自体の劣化は考えずらいため施工不良の確率が高くなります。天窓メーカーが設定したマニュアル通りに施工しないと、天窓の各部分から雨漏りしやすくなるためです。
天窓には寿命がある?天窓のメンテナンスや交換時期

天窓にも寿命があり、適切なメンテナンスをすることでその寿命を延ばすことができます。こちらでは天窓の寿命やメンテナンスに適した時期について詳しく解説していきます。
天窓の耐用年数は20年
天窓の寿命はどんなに長くても20年を目安としましょう。設置から10年を過ぎると経年劣化が出るようになり、25年を過ぎてしまうと破損や雨漏りが高確率で起きると考えてください。
特に天窓は普通の窓とは違い雨や雪を直接受けてしまうため、劣化の進みが早いとされています。ただし自分で出来る範囲で窓ガラスの清掃をはじめとするメンテナンスやチェックすることでその寿命を延ばすことができます。
天窓のサッシや窓枠にこんな症状が現れたら交換時期
室内側から見た天窓のサッシ部分や窓枠に以下のような症状が現れたら、天窓の寿命となります。
- 室内側の窓枠に5×5㎝ほどの水シミがある
- 2か所以上に変色が見られる
- 窓ガラスにヒビが入っている
- 天窓の窓枠自体が劣化している
天窓自体に劣化は見られないのに、その窓枠に雨が染み込んで腐食してしまう症状が出ることも。その場合は木枠を交換するのですが、同じ天窓を使えなくなる可能性がありますのでご注意ください。
天窓のメンテナンスに適した時期とは
天窓の業者によるメンテナンスに適した時期というのは、屋根の葺き替えや塗り替えリフォームを行うタイミングになります。屋根材の寿命も天窓と同じ約20年前後、そのため屋根材の劣化状況をチェックするのと一緒に天窓を見てもらうと良いでしょう。
屋根の葺き替えと同時に天窓を交換すると別々に工事する手間が省けますし、どちらの工事にも必要な足場工事の費用を節約できます。また瓦屋根や金属屋根の工事を行う屋根業者は、それぞれの施工方法に合わせた天窓の雨漏り対策技術を持っていますので安心して工事を任せられるでしょう。
天窓の雨漏り修理にかかる費用相場は?
実際に天窓の雨漏り修理にはどの位の費用がかかるのでしょうか?雨漏りの原因別に施工費用の相場をチェックしましょう。
天窓周りの清掃
雨漏りの原因が天窓付近のごみの詰まりの場合は、そのごみを取り除いて破損している屋根材があれば交換することになります。特に最近の屋根材は下地との間に空間を作って施工するタイプが増えてきているため、ごみが詰まりやすくなったり鳥が巣を作りやすい状態になっています。
天窓周りの清掃にかかる費用の相場はこちらです。
工事内容 | 費用相場 |
天窓周りの清掃・瓦交換 | 5万~10万円 |
清掃だけで済むなら5万円前後ですが、瓦の交換や撤去が発生すると10万円ほど費用がかかります。さらにゴミが天窓全体に覆いかぶさっているひどい状態の時は、復旧に手間がかかって20万円以上になることもあります。
防水シートの交換
防水シートが劣化して穴が開いたり破れている時には、新しい防水シートに交換してください。
工事内容 | 費用相場 |
防水シート交換工事 | 10万円~ |
防水シート交換工事にかかる費用は10万円前後となります。天窓自体に劣化が見られない場合、防水シートや板金を交換するだけでも雨漏りをストップできる可能性が高いと考えられます。
シーリング打ち換え
ガラス周りのゴムパッキンが劣化していることで雨漏りが起きていたら、シーリング補修を行ってください。シーリングの補修には、既存のシーリングの上から重ねて施工する場合と、既存の物を撤去して新しく打ち換える2種類の方法があります。それぞれの費用相場はこちらです。
工事内容 | 費用相場 |
シーリング補修 | 2万~5万円 |
シーリング打ち換え工事 | 4万~10万円 |
シーリング補修にかかる費用は2万~5万円ほど、シーリングの打ち換えには4万~10万円前後かかります。このシーリングは劣化しやすい部分でもありますので、雨漏りが再度発生しないためには5~7年ごとに点検することをおすすめします。
天窓のエプロン補修
天窓のエプロンを補修したり、穴が開いたものを新しく交換するだけでも雨漏りの発生を抑えられます。
工事内容 | 費用相場 |
エプロン補修・交換 | 7万円~ |
エプロンの補修や交換にかかる費用は7万円前後となっています。ただし使用している屋根材によってエプロンの種類や価格が異なりますのでご注意ください。
天窓の撤去・交換
天窓のガラスにヒビが入ったり、サッシや木枠自体が傷んでいる場合は、天窓を撤去したり新しいものと交換してください。既存の天窓が造りつけの時は、既製品でピッタリのサイズがないため一回り小さいサイズの天窓へ交換することになります。
もし天窓を撤去したいという場合には、その部分をふさいで下地を作成、新たに屋根を乗せ換えるなどの大掛かりな工事となります。しかし再び雨漏りが発生することが無くなりますので、後々のメンテナンスを考えれば費用を抑えられます。
工事内容 | 費用相場 |
天窓の撤去 | 20万~60万円 |
天窓の交換 | 10万~50万円 |
天窓の撤去工事には20万~60万円、交換工事には10万~50万円程の費用がかかります。天窓を一回り大きくしたい時には穴を大きく開ける工事が必要になりますので、費用は高めになります。
また屋根に足場を設置するかどうかでも上記の費用は変動します。この足場工事費を抑えるには、屋根工事と同じタイミングで行うことをおすすめします。
屋根の葺き替え
何度も天窓の雨漏り修理をしているのに一向に直らない、また雨漏りが再発してしまったという場合には、屋根材の葺き替えを考慮に入れておきましょう。屋根材を取り払い、劣化した下地を補修して新しい屋根材を乗せ換えるので、屋根部分からの雨漏りは確実に止まります。
工事内容 | 費用相場 |
屋根の葺き替え工事 | 170万円~250万円 |
屋根葺き替え工事にかかる費用は170万~250万円前後となります。ただし使う屋根材の種類によって費用は変わりますし、雨漏りする一面のみを張り替えすることで費用を抑えることができます。
天窓の雨漏り修理業者の選び方とは

天窓の雨漏りは雨漏り業者に依頼した方が良いのか、屋根業者にお願いするべきなのか迷う方もいるでしょう。ここではどんな業者に依頼したら一番間違いないのか?について解説していきます。
施工した住宅メーカーや工務店に依頼
施工して10年未満という築浅住宅の天窓から雨漏りがした時には、施工不良の可能性が高いため、住宅メーカーや工務店に連絡して修理をしてもらいましょう。冒頭でご紹介した通り10年以内であれば、瑕疵担保責任保険制度の対象ですので自己負担なしで雨漏り修理を依頼できます。
もし住宅の施工を行った業者が分からない場合は、家を販売したハウスメーカーに連絡すれば大丈夫です。10年以内の雨漏りは施工不良として無償で修理をしてもらってください。
屋根材の種類に応じた業者を選ぶ
天窓の雨漏りは、屋根との取り合いや屋根材の交換といった屋根工事が発生します。そこで瓦屋根なら瓦屋さん、金属屋根なら板金工事会社といった屋根材の種類に応じた業者を選ぶようにしましょう。
それぞれの工事会社では、屋根材の種類に応じた水の流れをきちんと把握して適切な雨漏りの修理が行えます。また部分的な屋根の補修が発生しても問題なく施工できます。
雨漏り修理の実績が豊富な業者がおすすめ
屋根材の種類に応じた業者の中でも、特に雨漏り修理の実績が豊富な業者を選ぶようにしましょう。天窓からの雨漏りというのは、防水シートや下地の施工、天窓と屋根の接続部分など、雨漏りが発生しそうなすべての部分に気を配る必要があります。
天窓の雨漏りを完全に止めるにはこのように高い技術力と豊富な知識が求められます。自宅の屋根材の施工ができる業者を見つけたら、「天窓の雨漏り修理の経験はありますか?」と聞いてみましょう。
3社ほど相見積もりを取って検討する
屋根材の種類に応じた雨漏り修理の経験が豊富な業者が2~3社見つかったら、同じ修理内容で相見積もりを取りましょう。相見積もりはリフォーム工事を依頼する際の基本です。相場の金額が知れるだけでなく、自分の家にはどんな工事が必要なのかが知れます。
さらに見積書の記載方法や内容の説明、見積もりを出してくれるまでの時間でも業者の対応や担当の人との相性が分かります。
天窓の雨漏りは応急処置をしたら専門業者にお願いしよう
天窓の雨漏りが発生したら防水シートやバケツで床に水がしみるのを防ぐ応急手当をして、専門の業者に雨漏り修理を依頼しましょう。家が建って10年未満ならハウスメーカーや施工した工務店に、10年以上なら屋根材に応じた修理業者に連絡してください。
天窓付近に溜まったごみを取り除くだけで済む場合もありますが、何度雨漏り修理をしても再発する時には屋根の葺き替えを検討した方が良いかもしれません。いずれにせよ天窓の雨漏りの原因を明らかにして、適切な補修工事を行うことが天窓の雨漏りの再発を防ぐことにつながります。