トイレ増設にかかる費用や注意点とは?快適に使うための設置場所も教えます!

「歳を取った親のために寝室の近くにトイレを作りたい」「2階にもトイレを増やしたい」そんな希望をお持ちの方はいませんか?今回はトイレ増設に関する注意点や費用の相場を解説。トイレ増設が可能な場所なども詳しくご紹介していきます。

トイレを増設するには?必要な面積や条件をご紹介

実際にトイレを増設するにはどの位のスペースが必要なのでしょうか?トイレ増設におすすめの場所を具体的にご紹介していきます。

トイレ増設には1㎡のスペースが必要

トイレ増設にはトイレスペースの最小サイズである0.4坪から1畳ほど、約1㎡のスペースがあれば設置が可能です。1畳というのは畳一枚分の広さ。二枚のふすまがある押入れやクローゼットがそのサイズになります。

もしトイレを増設したいとお考えなら、ご自宅に使わない押し入れやデッドスペースがあるかを再度確認してみましょう。

トイレを増設できる場所は?

では具体的にトイレを増設できる場所について解説してきます。家の1階に増築する場合はもちろん、2階にトイレを増設したいと思っているあなたにもおすすめの場所があります。

元々あるクローゼットなどを活用

トイレを増設するには、もともと部屋にあるクローゼットや押し入れスペースを活用できます。先ほど解説した通り、最大1㎡ほどのスペースがあれば問題なくトイレを増設できるためです。

今ある収納スペースをトイレにするということで、リフォーム後の完成予想図をイメージしやすいのではないでしょうか?収納してあるものをどこかに移動させる必要はありますが、生活空間として使われていた場所ではないためあまり不便を感じることもないでしょう。

ただし和室の押し入れの床などはベニヤ張りなどのため、あまり頑丈に作られていません。トイレにリフォームする場合は床の強度を補強して、壁にも新たにクロスを貼る必要があります。

さらにトイレまでの動線を考えて、廊下側から入れる出入口を作ることをおすすめします。このようにもともとあるクローゼットや押し入れは、空間として区切られているため比較的トイレを増設しやすい場所です。

部屋を仕切ってトイレスペースを作る

押し入れやクローゼットなどが余分にない場合は、部屋を区切ってトイレにするというアイデアもあります。高齢の家族のために寝室から近い場所にトイレを作りたいという方には、こちらの部屋を区切る方法をおすすめします。

この方法なら足の悪い高齢の方が夜トイレに行きたくなっても、寝室のすぐ横にトイレがあるので便利です。

増築してトイレスペースを確保

収納スペースや部屋を区切ってトイレを増設することが難しいなら、家の空間自体を広げてトイレを増設することを検討してみては?たとえば玄関脇のスペースや勝手口のある場所にトイレを外側に増築するなど。

ただし増築すると既存壁を解体したり、新たに壁や屋根を作らなければならないため費用が高くなり、工期も伸びてしまいます。2階部分に増築すると、外から見た時に違和感のある形になることもあります。

そのためなるべくなら家の空きスペースにトイレを増設するようにしましょう。

階段横のデッドスペースを利用

2階にトイレを増設したいなら、階段横のスペースを使いましょう。階段を上がった横はデッドスペースになっていることが多いため、比較的トイレを増設しやすい場所となっています。

トイレを増設する際には、既存のトイレからの給排水管の長さによって工事費用が大幅に変わってきます。そこで2階にトイレを増設したいなら、既存のトイレの真上に作るのが一番費用をかけずに済みます。配管を真下に延ばすだけなので配管をまとめやすくなり、結果的に費用が安くなるという訳です。

とはいえ間取りの関係でトイレを上下に配置できない場合は、給排水管の工事がしやすいため階段横のスペースがおすすめとなるのです。さらに1階のトイレが使用中の場合も無駄な移動がなく、階段を上がってすぐ使えるので便利になります。

トイレを増設する際の注意点とは?

トイレを増設する時にはどんなことに注意しなければならないのでしょうか?リフォーム後も快適に使うために、あらかじめ様々な対策を施しておきましょう。

配管距離が長くなるほど費用が高くなる

先ほども少しご紹介しましたが、トイレの増設にかかる費用は新設したトイレまでの給排水管の長さに比例します。給排水管を延ばす工事には、床下の防水処理工事や水流を確保するためのポンプを追加で取り付ける費用などが発生します。

給排水管の長さに応じて、以下のような費用がかかると考えましょう。

  • 10mまでの延長工事費用・・・約10万円
  • 20mまでの延長工事費用・・・約20万円

ただし既存の給排水管の位置や建物の構造によっては配管工事が行えず、思うような場所にトイレを増設できない場合があります。あらかじめ図面や現場を業者に見てもらって、どの場所にならトイレ増設ができるのか相談が必要です。

寝室に隣接したトイレ増設には匂いや音対策が必要

寝室を区切ってトイレを作った場合や、部屋の押し入れをトイレにリフォームした場合は、トイレ使用中の音や匂いの問題を解決する必要があります。

夜中にトイレに行くのが大変だからと近くに作ったのはいいのですが、ドアを開け閉めする音や使用音が隣室や同室の人に聞こえてしまうという問題が発生します。特に夜は小さい音でも気になりますので、しっかりと対策を施しましょう。

また2階にトイレを増設する際にも注意が必要に。トイレの真下に寝室があると、水を流す音などで目を覚ましてしまうというとこも考えられます。そこでトイレの防音を高めるには次のような工事が有効です。

  • 壁を厚くする
  • 壁や床に遮音パネルを施工する
  • 建具に防音ドアを使う
  • 配管に吸音材を巻く

さらに匂い対策としては消臭機能のある便器を採用するなど、リフォーム工事前に業者としっかり打ち合わせをしておきましょう。毎日使うトイレですから、使う人も周りの人も快適に過ごせる空間にすることが大切です。

トイレを増設すると電気代や水道代がかさむ

当たり前のことですが、1つだったトイレが2つに増えることで水道代や電気代が余分にかかってしまいます。光熱費の請求書を見て後からビックリしないように、トイレを増設したら使わない電気は必ず消す、こまめに暖房便座をオフにするなどの節電を心掛けましょう。

マンションでは管理規約を確認

マンションでトイレを増設したい時は、あらかじめ管理組合に相談して管理規約を確認しましょう。というのもマンションによってはトイレ増設ができない場合があるためです。

マンションの給排水管は縦方向に通っている「立て管」と各家庭に分配されている「横枝(よこえだ)管」の2つから成っています。この立て管は共用部とみなされ、入居者が勝手に工事したり場所を移動させることはできません。

さらに立て管の問題がクリアされたとしても、汚物が詰まることなく立て管へ排水させるには、横枝管に一定の傾斜を付ける必要があります。この傾斜が十分に取れない場合は、トイレを増設することが難しくなります。

2階へのトイレ増設は給排水管の位置や水圧が重要

家族が増えたり使い勝手を良くしたいと2階にトイレを増設する場合は、給排水管の長さや位置、水圧が重要となります。先ほども少し触れましたがトイレを増設する費用は配管の長さに比例するため、1階に増設するよりも割高になります。

2階にトイレを設置するには、主に次のような方法があります。

  • 階段を上ったすぐ横に設置
  • 部屋の中を区切って設置
  • ベランダなどを利用して外部を増築

2階にトイレを設置したいスペースが1階のトイレの真上にある場合は、給排水管を真上に延ばすだけでということで横の延ばす必要がないため工事費が大幅に高くなるということがありません。ただし屋内配管を新設したり、外壁を経由して延ばす場合は工期や費用が余分にかかります。

またタンクレストイレは通常のタンクありトイレよりも水圧が低くなるため、2階に設置すると思うように水が流れないなどの不具合が発生することも。設置できるトイレの種類が制限される恐れもありますので、あらかじめ確認しておきましょう。

階段横のトイレでは転落対策をしよう

2階にトイレを設置するには階段を上がったすぐ横が最もおすすめだと申し上げましたが、階段から転落しないような対策を取ることが大切になります。特に家族に高齢者や小さなお子様がいる場合、夜中に足元の暗い中でトイレに行った際に誤って階段から落ちないように扉の向きや開閉方法、階段との位置関係には気を付けましょう。

階段からの転落防止には出入口ドアはなるべく階段から離して、夜でも足元がよく見えるように人感センサー付きの足元照明がおすすめ。また外開きのドアにぶつかって階段から落ちないように、引き戸にすることも有効です。2階にトイレを増設する際には便利さだけにこだわらず、安全第一で考えましょう。

条件別・トイレ増設にかかる費用とは?

間取りの関係や住宅の種類に応じてトイレの増設費用は異なります。そこで条件に応じた費用相場をご紹介してきます。

1階へのトイレ増設は場所や現状によって費用が異なる

1階へのトイレ増設は、増設する場所や現状によって費用が変わってきます。トイレリフォームにかかる費用はトイレ本体にかかる費用と工事費用に分けられます。その工事費用には以下のような内容があります。

  • 給排水管の工事費用(給排水管との繋ぎやすさ・距離)
  • 既存壁の解体・撤去費用
  • 壁や床の新設工事
  • 照明器具や電気工事

一番価格がはっきりしているのがトイレ本体の相場です。トイレには必要最低限の機能が付いたシンプルタイプとタンクレスや自動洗浄機能が付いたハイグレードタイプ、その間のミドルクラスに分けられます。それぞれの相場はこちらです。

トイレのグレード価格相場
シンプルタイプ(タンク式)6万円~
ミドルクラス(温水洗浄)
5万~10万円
ハイグレード(タンクレス・自動洗浄)10万~20万円

シンプルな機能のトイレは6万円台から、温水洗浄が付いたミドルクラスは5万~10万円が相場です。高機能のハイグレードタイプは10万~20万円ほどとなっています。

給排水管工事を含む工事全般では配管の距離や曲がる回数、既存のスペースが利用できるか、新しく増築しなければならないかによって費用が大きく変わります。一般的な1畳ほどのトイレを新設する場合の費用はこちらです。

工事内容費用相場
トイレ増設工事70万~200万円

1階のトイレ増設工事にかかる費用の相場は70万から200万円ほど。さらにトイレ内に収納などを付けたい場合は10万円程度の追加費用がかかります。詳しい金額は業者に見積もりを取って確認しましょう。

2階にトイレを増設する場合

2階にトイレを増設する場合の費用相場は、1階に設置する場合に比べて割高になるケースが多くなります。しかし間取りの関係で1階のトイレと離れた場所に設置しなければならないという時には、給排水管の延長工事や1階への漏水を防ぐ防水工事が必要となります。

工事内容費用相場
トイレ増設工事80万~250万円

2階にトイレを増設する場合の平均価格は80万~250万円と幅があります。特に水道の水圧が低い場合は、次のような費用が追加でかかります。

工事内容費用相場
ポンプ増設工事15万円~
低圧用トイレ設置工事20万円~

水圧を補正するための増設に15万円程度、低水圧でも使えるトイレの設置に20万円ほどがかかります。

バリアフリーリフォーム対応のトイレを増設

高齢者や体の不自由な方がいる家では、バリアフリー対応のトイレを増設することも検討しましょう。バリアフリー対応のトイレとは次のようなものを指します。

  • 介助者が介助しやすい広さがあるトイレ
  • 車いすでも開け閉めしやすい引き戸
  • クッション性があり滑りにくい床材
  • 便器への立ち座りや移動に便利な手すり付き
  • 車いすでも使える車いす対応トイレ
  • 介護用リフトを設置
  • ヒートショック防止の機能が付いたトイレ

このようなバリアフリーに対応したトイレや部材を設置する工事の費用相場はこちらです。

工事内容費用相場
バリアフリー対応トイレ増設工事50万~150万円

バリアフリー対応トイレを増設するには50万~150万円ほどかかります。ただし他のトイレ増設工事と同様に、排水管の長さなどにより相場が変わります。

とはいえトイレをバリアフリーにするいい機会でもありますので、トイレを増設する場合は同時にバリアフリーリフォームも行ってみてはいかがでしょうか。

マンションのトイレを増設

マンションのトイレを増設するリフォーム費用は一戸建ての費用よりも3割ほど安くなるのが相場です。

工事内容費用相場
マンショントイレ増設工事35万~140万円

マンションのトイレ増設工事には35万~140万円ほどが相場となります。ただしトイレをタンクレスにして手洗い場を設置する場合や、マンションの管理規約通りの床材を使用する場合にはプラスで20万~30万ほどの追加費用がかかります。

トイレ増設にかかる費用を抑えるには?

決して安くないトイレの増設費用を抑えるにはいくつかのポイントがあります。これらのコツをおさえて、なるべくお得にトイレを増設しましょう。

トイレ本体のグレードを落とす

トイレ本体のグレードを1ランクから2ランク下げるだけでも、全体の工事費用を抑えられます。どうせならと様々なオプションを追加したり、トイレの仕様にこだわりすぎるとあっという間に高額になってしまうことも。

今のトイレはたとえ低価格であっても最低限必要な機能やデザイン性は確保できます。トイレ増設の費用を少しでも下げたいなら、トイレのグレードを落としてみることが大切です。

2階よりも配管距離が短い1階に設置

トイレの増設費用を抑えるには、配管距離の長い2階よりは短い1階に設置した方が安く済みます。どうしても2階に設置したいなら、1階のトイレの真上なら給排水管の延長は最低限で済みます。

給排水管の距離や曲がる回数によって数万円~数十万円の差が出るため、なるべく短い距離で増設することがポイントとなります。

圧送式トイレを使用する

トイレ本体と給排水管工事の両方を安くしたいなら、圧送式の水洗トイレを採用してはいかがでしょうか?圧送式のトイレとは、介護やリハビリ用のリフォームに使用するために開発されたもの。寝室や地下といった排水勾配がとりにくい場所や、下水配管までの距離が遠くても使えるトイレのことです。

トイレ使用後の排水は圧送ポンプの中で粉砕されて、下水や浄化槽へ直接接続可能なパイプを通って流れます。この圧送ポンプによって細い配管でも汚物が詰まらず大掛かりな工事も必要なく、家のどこにでもトイレを増設できます。

費用は暖房機能付きなら28万円から、ウォッシュレット付きなら35万~40万円程で設置可能。工事期間は半日から1日程度と短期間なのもおすすめな理由です。

介護リフォームなら介護保険を利用

介護のためにトイレを増設する場合、その家の所有者が要介護や要支援認定を受けているなら介護保険が利用できます。例えば介護を目的として和式トイレを洋式トイレに改修する、手すりの設置や滑りにくい床材へ張り替えるリフォームの場合は支給限度基準額20万円の9割である18万円を上限に支給されます。

補助金の対象となるのは介護保険被保険者証の住所と同一であるなどの条件があります。トイレ増設というケースは一般的な条件とは合致しませんが、介護保険が利用できるケースもあります。まずは担当のケアマネジャーやお住いの市区町村の担当窓口にお問い合わせください。

トイレ増設リフォームは設置場所に気を付けて対策をしよう!

トイレ増設リフォームは、トイレ本体のグレードと給排水管の長さや接続方法によって相場の価格が大きく変わってきます。また2階にトイレを作る場合や部屋を区切ってトイレを増設する際には、転落などの危険防止対策やトイレ使用時の音や匂い対策が必要となります。

さらにトイレ増設工事をお得にできるポイントがいくつかありますので、トイレを増設しようと思ったら設置場所に気を付けて、なるべく安く快適に使用できるトイレを作りましょう。