ベランダに屋根を後付けするにはいくらかかる?快適に使うための7つの注意点もご紹介

お住いの家のベランダに屋根は付いていますか?洗濯物を干しっぱなしにできたり日光を程よく遮ってくれるベランダ屋根は付いているととても便利。今回はベランダに屋根を後付けする場合の費用相場や、注意点などをご紹介していきます。

後付けできるベランダ屋根はどう選ぶ?

後付けできるベランダ屋根には様々な材質や形による種類があります。どんな屋根を付けるべきか迷った時の選び方も解説していきます。

ベランダ屋根は形ごとに3種類ある

ベランダ屋根はその形によって「アール型」「フラット型」「ルーフ型」の3種類があります。それぞれに特徴や印象が異なりますので、ベランダ屋根を選ぶ際に参考にしてください。

アール型の特徴

屋根の前部分が丸くR形状になっている「アール型」屋根は、雨の吹き込みを防いでくれるだけでなく、日差しを軽減しやすく積もった雪が滑り落ちやすい特徴があります。またその形から柔らかい印象のベランダ屋根に最適。

和風の家にも洋風の家にも合わせやすいデザインのため、ベランダ屋根の中では一番人気のある形です。アールが付いた屋根形状ということで、フラットな形の屋根に比べると価格は数万円ほど高いことがあります。

フラット型の特徴

屋根部分がまっすぐ斜めに下りているのがフラット型。スタイリッシュでスッキリとした見た目から、モダンな住宅にお住いの方やデザイン重視の方に支持されています。

アール型のように屋根の前部分が下がっていないので解放感が感じられるのがメリットですが、雨が降った際に洗濯物が濡れやすい場合があります。こちらのフラット型はアール型に次いで人気の屋根となっています。

ルーフ型の特徴

屋根を支える柱がない種類のベランダ屋根はルーフ型と呼ばれています。柱が邪魔にならずベランダが広々使えるのが大きなメリット。また屋根の形はアール型とフラット型の二種類から選べるのも、ルーフ型の特徴です。

ベランダ屋根の素材で選ぶ

ベランダ屋根には様々な種類の素材が使われています。それぞれの特徴を知ることで、ご自宅のベランダに最適な屋根の素材を選んでください。

ベランダ屋根の素材特徴
塩化ビニル樹脂一枚当たり数百円と非常に安価で加工しやすい。
耐用年数は5年程度と短く、交換が必要になる。
アクリル板透明度が高くガラスよりも軽量で強度がある。
酸性雨にも強いが柔軟性が低く硬い。
ガラスネット塩化ビニル樹脂に格子状のガラス繊維が入っている屋根材。
費用も塩ビに次いで安いが10年前後で交換が必要。
ポリカーボネート強度が高く軽量で、多くのベランダ屋根で採用されている。
価格も安価だが耐用年数は10年以上と長い。
紫外線に強く、耐候性や耐衝撃性にも優れている。
鋼板屋根の庇や霧除けと同じ用途で使われている。
高耐久だが塗膜の劣化でサビが生じるため定期的な塗り替えが必要。

ベランダ屋根の主要メーカー・ブランドで選ぶ

ベランダ屋根の選び方として、メーカーやブランドで選ぶという方法があります。エクステリア商品を扱うメーカー各社では、多様な機能やデザインのベランダ屋根を取り扱っています。気になったものがあったら、カタログなどを取り寄せてみてはいかがでしょうか。

メーカー名ブランド特徴
LIXILスピーネ採光性と紫外線カットを両立するポリカーボネート製。
オプションで吊り下げ物干しもセット可能。
LIXILパワーアルファ屋根の色や目隠し付などのバリエーションが豊富。
移動機能付き物干しがオプションにあり雨でも外干し可。
YKKAPヴェクター屋根幅は張り出しあり・なしの2種類から選べる。
ホワイトやシルバー、ブラウンやブラックの4色がある。
YKKAPソラリア柱あり・なしから選べ、1階と2階以上のベランダに設置可能。

ベランダ屋根のサイズで選ぶ

ベランダ屋根には、横幅がベランダよりも一回り大きいサイズとベランダと同じサイズの二種類があります。費用のことを考えるとベランダと同サイズが一番安いですが、ベランダへの出入り時に雨に濡れないためや干している洗濯物が濡れないようにするには屋根の幅が広めを選びましょう。

ベランダ屋根のブランドによっては、二種類のサイズからチョイスできる商品もあります。価格や使い勝手によって「張り出しあり」「張り出しなし」のどちらかを選んでください。

ベランダ屋根を後付けする場合の費用相場

ベランダの屋根のみを後付けで設置するにはどの位の費用がかかるのでしょうか?屋根の種類ごとにその費用相場を見ていきます。

アール型屋根の費用相場

アール型屋根を後付けする場合の費用相場はこのようになっています。

工事内容費用相場
アール型屋根を後付け(出幅885mm)13万~16万円

屋根材の種類によって価格が変わりますが、出幅885mmサイズで13万~16万円が相場です。本体価格に施工費が3万~5万円と考えて屋根のグレードを選ぶようにしましょう。

フラット型屋根の費用相場

フラット型屋根の後付け費用相場は、アール型屋根よりも若干安くなります。

工事内容費用相場
フラット型屋根を後付け(出幅855mm)12万~15万円

出幅855mmの屋根で12万~15万円が相場です。こちらも屋根の本体価格に3万~5万円の施工費がかると考えましょう。

ルーフ型屋根の費用相場

ルーフ型屋根の後付け費用はこちらです。

工事内容費用相場
ルーフ型屋根の後付け(出幅855mm)7万~15万円

出幅855mmで7万~15万円が一般的。ただしアール型やフラット型に比べると取り扱いメーカーが少ないので、選択の幅はあまり広くありません。

オプションや仕様の費用相場

ベランダ屋根を後付けする際は、お住いの地域や使用目的によってオプションで追加工事が必要になります。こちらはオプションや追加仕様の費用相場です。

工事内容費用相場
耐風・耐積雪仕様5万円~
断熱・遮熱仕様1万円~
物干し1万円~
前面・側面パネル3万円~

海沿いなどの風が強い地域や豪雪地帯では、5万円からの耐風・耐積雪仕様の屋根がおすすめ。また西日がきつく部屋の温度が気になる方は1万円からの断熱・耐熱仕様の屋根を設置しましょう。

他にも雨や雪の吹き込みを防いだり、目隠しにもなるパネルの設置は3万円からになります。リビング前のベランダや道路沿いのベランダに設置してみてはいかがでしょうか?

そして洗濯物干しに欠かせないオプションは1万円からが相場です。こちらは屋根から取り付けるタイプや柱に設置するタイプ、着脱式や広く干せる種類などラインアップが豊富。使い勝手や洗濯物の量に合わせて選んでください。

ベランダ屋根を後付けする際の7つの注意点とは?

ベランダ屋根を後付けする場合にはいくつかの注意点があります。いざ屋根を取り付けてからこんなはずじゃなかった!と後悔しないためにも、しっかりと注意点をおさえましょう。

ベランダ屋根は方角に応じて後付けする

ベランダ屋根は向いている方角に応じて取り付けるのが失敗しない方法。ベランダが南や南東向きにある場合は、屋根を付けた方が良いでしょう。

そもそも南向きや南東向きのベランダは、一日を通して日が良く当たるため洗濯物を干す場所として最適です。そしてベランダが付いている部屋は強い日差しや紫外線によって、冷房の効きが悪くなったり室温が上がる傾向にあります。

そこでこの向きのベランダに屋根を付けることで、夏の日差しを遮って室温が上昇するのを防いでくれます。屋根により室内が暗く感じることがあるかもしれませんが、色の薄いものを選ぶ工夫をすれば気にならなくなります。

反対の北や北西方向は一年中日差しがほとんど入らないため洗濯物の乾きは良くありません。そもそもこの方向に洗濯物を干すためのベランダを作る意味がないため、ベランダ屋根も必要ないといえます。

このほかの方角のベランダでは洗濯物が乾かないということはありませんが、物干し場として考えるとあまり適していません。物干し以外の目的があるなら屋根を付けてもいいのではないでしょうか。

屋根サイズや勾配に気を付ける

ベランダの屋根はサイズや勾配に気を付けて設置しましょう。屋根の勾配によっては次のような影響が出ます。

  • 勾配が急すぎる・・・風の影響を受けやすく破損の原因に
  • 勾配が緩やかすぎる・・・屋根にごみが溜まりやすく掃除が大変

屋根のサイズは洗濯物を干す場合、物干し竿の位置から30~50㎝ほど出るように取り付けるのが理想。このサイズにすることで雨の入り込みを防いで洗濯物を効率的に乾かしてくれます。

住んでいる地方によって強度を変える

お住いの地域の気候に応じてベランダ屋根の強度を変えることが大切です。例えば北海道や東北地方などの雪が多いエリアでは、通常の屋根では雪の重みに耐えられず壊れてしまうことも。そこで耐積雪仕様の屋根や排雪機能が付いたベランダ屋根を選ぶようにしましょう。

また強風が多い地域、毎年のように台風被害が発生するエリアでは耐風性が高い屋根材がおすすめ。屋根材パネルの厚みを増したものや抜けにくく施工された種類がありますので、そういった屋根材を選びましょう。

特に2階のベランダは1階よりも約1.2倍もの風圧を受けます。風の強い地域では屋根ごと吹き飛ばされる恐れがありますのでご注意下さい。

バルコニー屋根を後付けすると固定資産税が高くなる?

バルコニーの屋根を後付けすると、固定資産税は高くなってしまうのでしょうか?結論から言うとバルコニーの出幅が外壁から1m以内に収まっていれば、固定資産税が高くなることはありません。

固定資産税は床面積に応じて計算されますが、そもそも屋根がないベランダは床面積に含まれません。ただし出幅が1m以上あるベランダに屋根を後付けする場合や敷地内に柱を立てる際には、課税の対象に含まれてしまうことがあります。

固定資産税の課税対象となるには主に下のような条件に当てはまる場合です。

  • 三方向以上を壁で囲まれている
  • 基礎が地面に固定されている
  • 屋根がある

これで見ると三方向以上を壁で囲まれていないタイプのベランダは課税対象にならないことが分かります。ご自宅のベランダが課税対象になるかどうかは事前に確認するようにしましょう。

建築確認申請が必要になる場合も

ベランダに屋根を後付けするリフォームでは、建築確認申請が必要となることも考えられます。もしベランダに屋根を後付けしようと思ったら、まずは建物の建ぺい率の計算をしてみましょう。建ぺい率の求め方は下記の計算式で算出できます。

建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積×100

建ぺい率はお住いの地域によって定められています。もし屋根面積がオーバーしてしまうと自治体に確認申請することが建築基準法で決められていることも覚えておきましょう。。

確認申請の書類は専門知識を必要とするため、通常は設計事務所やリフォーム会社に依頼することになります。手続きに関する手数料として15万~20万円ほど余分にかかることになるため、ベランダの屋根を増設する前に業者に確認申請が必要ないか確認することをおすすめします。

ただし以下の条件をすべて満たす場合は建築確認の必要がありません。

  • 増築部分が10㎡以下の面積であること
  • 建物の所在地が防火地域もしくは準防火地域に指定されていない

マンションによっては後付けできない

もしお住いの住宅がマンションの場合、自由にベランダを増設できない場合があります。マンションのベランダ部分というのは所有者が自由に手を加えられる「専有部分」ではなく、他の住人との共有の「共用部分」に当たるケースが多いため。これはマンションの管理規約に記載されています。

ベランダは火災時などは避難経路として使われることがあります。もし勝手に屋根などを増設してしまうと避難時の妨げとなり二次被害が発生する恐れも。

またベランダや外壁というのはマンションの広告替わりであるという側面もあります。「こんな外観のマンションに住みたいな」と考える新たな入居者を呼び込む目的でデザインされているこということも考えられます。

そんなマンションのベランダに勝手に屋根を増設してしまうと、外観に大きな変更が生じます。このような理由からベランダのリフォーム自体禁止されていることがありますのでご注意ください。

DIYでの後付けは危険

なるべくリフォーム費用を抑えたいといって、DIYでベランダ屋根を増設することは危険です。ベランダ屋根はキチンと施工しないと一部が剥がれたり、屋根が落下する原因に。大きな事故につながる恐れもあります。

また高い場所での作業ゆえ、慣れない素人が簡単に出来るものではありません。費用を安くしようとDIYでベランダ屋根を設置すると、思わぬ損害を被ったりけがをする危険がありますのでリフォーム業者などに依頼するようにしましょう。

住んでいる地域や住宅にピッタリのベランダ屋根を後付けしよう

ベランダ屋根は洗濯物を干しっぱなしにしていても、雨に濡れる心配が少ないのでとても便利です。ただしベランダの方角やサイズ、お住いの地域によってベランダ屋根を付けるべきか?どのようなベランダ屋根を付ければいいのか?が変わってきます。

3種類の形があるベランダ屋根ですので、外観や家の雰囲気にも合ったものを選びたいものです。エクステリア工事が得意な業者に依頼して、お宅のベランダにピッタリの屋根を増設してもらいましょう。